自作キーボード:分割キーボードを作ってみた話
はじめに
すべては自作したキーボードのAkashaを分割型にしたいと、4月1日にXへ投稿したことが始まりでした。いつか分割キーボードを作ってみたいという気持ちはあったものの、まさかこんなに早く実現するとは思いませんでした。
今回は、多くの失敗も経験しましたので、そのことを中心に書いていきたいと思います。
分割Akashaを作る
分割キーボードは作成した経験があるため、4月9日には下の画像のキーボードを組み立てることができました。
しかし、期待通りに動くものを作るのは大変でした。
基板での失敗①
まず、右手側のスイッチの並びがSW6、SW5、SW4…と、本来のSW1、SW2、SW3の順序とは逆になっていることに気づきました。左手側の基板を反転させて右手側の基板を作ったため、スイッチの順番が逆転してしまったようです。このミスにより、キー入力が期待通りに機能しませんでした。
基板での失敗②
RP2040 Zeroを基板に直接実装しましたが、はんだ付けが不十分だったか、基板の配線に問題があったため、TRRSケーブルによる通信がうまくいきませんでした。この問題は私一人で解決できず、Discordで詳しい方に相談させていただいたところ、なんとか解決できました。
この失敗のおかげで、基板を5枚、PR2040 Zeroを5枚無駄にしました…
ケースを作成する
基板作成中にやはりケースも欲しいと思うようになり、ケースを作成していたところ、あることを思いつきました。それは、Xでフォローさせて頂いている方に教えて頂いた「RP2040 Tiny」というコントローラーボードを採用すれば、さらに小型化できるのではないかというものです。
RP2040 Tinyは、USBポートが独立した基板になっているため、コントローラーボードの配置自由度を高め、基板面積をさらに小さくすることができます。
そして、思いつきの基板に対応したケースを作成しました。
ケースを作成中、一体型のAkashaをフォロワーさんに触っていただく機会があり、「傾斜があると良いのではないか」というご意見をいただきましたので、その意見も取り入れ、試行錯誤した結果、8度の傾斜をつけました。
基板とケースが届く
今回もJLCPCBさんに発注し、無事に基板とケースが届きました。
新しい基板では期待通りキー入力を行えることが確認できたので、ケースの取り付け作業に取り掛かりましたが、ここで思わぬ苦戦を強いられました。
ケースでの失敗①
TRRSケーブル用の穴がケーブルの太さに合わず、奥まで差し込むことができない問題が発生しましたので、金属ヤスリで穴を拡張し、ケーブルが差し込めるサイズまで穴を拡張し問題を解決しました。
ケースでの失敗②
ねじ穴が十分にプリントされておらず、ねじがスムーズに入らない問題が発生しました。
ねじを回しても全く入っていきませんが、力を込めて無理やりねじを回すと入りました。しかし、ねじがまっすぐに入らず、非常に固く回りにくいため、解決策としてねじきりタップという工具を購入しました。現在は到着を待っている状況です。
ケースでの失敗③
基板上のスイッチソケットとRP2040 TinyのUSBポートが干渉し、ショートして動作不良を起こしていました。
ケース内部の空間不足が原因だと思いますが、修正が難しいため、絶縁テープで干渉部分に絶縁処理をすることで、動作不良を解消しました。
ケースでの失敗④
ねじ穴が目立つ仕上がりになってしまいました。キーキャップで隠れる位置にねじ穴を配置する方がより洗練されたデザインになったと反省しています。
Akasha Amritaの完成
4月19日、無事にAkashaを分割することができました。
分割したAkashaは「Akasha Amrita(アカシャ アムリタ)」と名付けました。Amritaは「不死」を意味する言葉ですが、同時に「死からの解放」つまり「苦しみからの解放」という意味合いもあり、Akashaを分割することで、肩こりなどの「苦しみから解放」されるという思いを込めています。
分割以外にも、Akashaの使用中に不満が出たキーレイアウト部分の最適化も行い、より打ちやすいキーボードへと改良しました。しばらく使用してみて、気になる点があれば、さらにレイアウトを変更して改善していく予定です。
さいごに
X、そしてDiscordの皆様のご協力により、Akasha Amritaをひとまず完成させることができました。最終的な目標はガスケットマウントケースの開発ですが、まずは形にできて良かったです。
今回の件では多くのことを学ぶことができました。今回得た経験を次回のキーボード開発に活かしていきたいと思います。とはいえ、Lotus配列は完成には至っておらず、AkashaとAkasha Amritaについても、まだまだ改良の余地があると感じています。そのため、当面の間はこの2つのキーボードを磨き上げていきたいと思います。
おまけ
オリジナルデスクマットも作成しました。こちらはサンスクリット語で「ここ」や「この場所」という意味を持つ「Iha(イハ)」と名付けました。
初めてのデスクマット作成でしたが、想像以上に印刷が綺麗で満足しています。
AkashaやAkasha Amritaとの相性も抜群で、作成して良かったと思っています。また別のデザインも検討し、発注してみたいです。
この記事はAkasha Amritaを使用して書きました。
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