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2024年6月から漬け物を保健所が管理!「家庭の味」がスーパーなどで買えなくなる⁉

こんにちは、翼祈(たすき)です。

皆さんにとって、漬け物はどんな存在ですか?

スーパーなど身近なところで色んな種類が買えますし、定食屋さんとかに行くと、うどんや丼ものなどと合わせて、必ず漬け物はついてきますし、普段から近くにある日本のソウルフードだと思います。

私自身はたくわんが1番好きで、カレーなどには福神漬けを入れたら美味しいですし、去年通常のキムチと乳酸菌の入ったキムチの2種類を入れた、豚キムチが美味しかったので、今年も作ろうかなと思っています。

そんな漬け物ですが、2024年6月からある法律の改正のために、家庭から身近な食材だったけど、消えてしまうかもしれません…。

毎日の食卓を彩ってきた漬け物が危機に瀕しています。改正される食品衛生法に伴って、2024年6月から漬け物を販売するためには、保健所の「営業許可」が必須になるからです。

厳しい衛生基準が要求され、漬け物の生産者の大部分を占める個人事業者や小規模事業者は設備投資をする余力はなく、廃業する事業者が続出するのではないか?と危惧されています。

それぞれの地域ごとに多様な作り手に支えられた、日本の漬け物文化はどこに向かうのでしょうかー?

今回は漬け物に迫る社会問題について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

漬け物が今後食べられなくなるかも?生産者の苦悩、消費者の悲しみ

「自分が作った漬け物が売れると嬉しく感じます。生き甲斐の1つです」。福岡県糸島市にある農協が運営する直売所としては日本一の売り上げを誇る「伊都菜彩」の漬け物コーナーには、ぬか漬けやキムチ、福神漬けなど農家など30人近くが出品する100品ほどの漬け物が陳列されています。2024年2月の「伊都菜彩」の開店前に、手作りの大根の漬物や梅干しを出品していた糸島市内に住む70代女性はそう充実感を口にしました。

ですが、女性は2024年6月以降は漬け物の出品はやめます。「1人で漬け物づくりをやっていて後継ぎもいない中、設備投資まで漬け物づくりをしようと思っていません。同じ様に細々と漬け物づくりをしている生産者で、法律が改正された後でも、漬け物を作り続ける人は少ないのではないでしょうか?」と肩を落とします。

漬け物を目当てに「伊都菜彩」を訪れた糸島市内在住の男性Aさんは、「作り手によって違う『母の味』が楽しみでした。今後漬け物を食べられなくなるのは寂しいです」と残念がりました。

2024年3月、危機感を抱いたJA糸島は、保健所の担当者を呼んで生産者向け講習会を開催し、事業継続に必要な設備投資などを周知しました。JA糸島の直販課の課長の男性Bさんは、「漬け物は人気が高く、目当てに来るお客様も多いです。現時点でどの程度の生産者が漬け物づくりを継続するのか見通せませんが、一人でも多く漬け物づくりを継続して頂きたいです」と願います。

食品衛生法が改正されるきっかけとなった出来事が、2012年8月に発覚した、北海道であった集団食中毒です。食品会社が製造した浅漬けで病原性大腸菌O157の感染が拡大し、8人が亡くなりました。

それまでは、漬け物の製造は各地の条例の規定に基づいて届け出制が多かったとしますが、2018年6月の法改正で漬け物を作るのに保健所の許可が必要になりました。2021年6月の施行から3年間の経過措置が設置されていましたが、2024年5月末に期限が迫っています。

漬け物づくりの営業許可を得るには、国際基準の食品衛生管理手法【HACCP(ハサップ)】に沿った衛生管理が義務付けられ、指を触れずに水を出せる蛇口の設置や、住宅と加工施設の分離などが要求されています。自宅で漬け物を作ってきた生産者には、数十万~100万円の持ち出しが必要となる場合もあるといいます。

漬け物づくりに与える影響は大きく、大根をくん製にした漬け物「いぶりがっこ」の産地、秋田県横手市が2023年に生産者などを対象にアンケートを実施した結果、回答した187人の4割が「いぶりがっこ」づくりの事業継続に否定的でした。

東京商工リサーチによりますと、野菜漬け物メーカーの2023年の廃業や休業は11件で、業歴40年以上だった野菜漬け物業者は5割強に上りました。東京商工リサーチ情報部の男性Cさんは、「老舗の小規模事業者は高齢で自宅で漬け物を加工する場合が多いです。一部は施設整備への投資を避けて廃業を決断したのではないでしょうか?」と考えています。

漬け物の中には、地域や家庭で独自の製法が代々受け継がれてきたものもあります。日本三大秘境の1つに数えられる宮崎県椎葉村で数百枚のシソの葉を重ねて、みそと塩に漬ける「シソの千枚漬け」もその代表的な漬け物の1つです。「シソの千枚漬け」は元々、家庭の保存食でしたが、数年前から村のふるさと納税の返礼品になり椎葉村を代表する物産となりました。

規制強化の波は椎葉村にも押し寄せています。椎葉村によりますと、「シソの千枚漬け」を生産している3事業者の中で、グループで製造する1事業者は既に「シソの千枚漬け」の営業許可を取得し、「シソの千枚漬け」の製造を継続する予定ですが、残りの2事業者は高齢の個人事業者で、うち一方は2024年5月末で「シソの千枚漬け」の生産終了を決定しました。もう一方は現在の加工所で営業許可が出なければ、設備改修の見積額次第で「シソの千枚漬け」づくりの事業を廃業するといいます。

椎葉村の担当者は「施設の改修費などの椎葉村の補助事業を『シソの千枚漬け』の生産者には伝えましたが、製造を止める意思を変えられませんでした。高齢の個人事業者には設備投資で数十万円の負担でも厳しい状況です。生産量が減少することで椎葉村の文化が伝わる機会も減ってしまいます」と不安を口にしています。

漬け物づくりの支援に乗り出す自治体も出ています。秋田県では2022年度から生産者の施設整備に最大1000万円の補助を行っています。2年間でおよそ130件の補助の活用がありました。

福岡県では2024年度から、漬け物を製造する農家など数人で組合を立ち上げて頂き、共同で設備投資をして頂くことを前提に1つの組合当たり最大150万円を補助します。福岡県の担当者は「共同作業の中で生産者同士がそれぞれの漬け物の製法を伝え合うなどして、漬け物の伝統の味を継承して頂きたいです」と期待を込めています。

参考:迫る漬物衛生規制 梅干し、たくあん、キムチ…「家庭の味」ピンチ 毎日新聞(2024年)

漬け物に詳しい、食品微生物学が専門の東京家政大学大学院の客員教授の男性Dさんは、「元々個人の漬け物製造業者は高齢者が多いことで、後継者が少なく担い手が少なくなっていました」と漬け物製造での厳しい現状を指摘し、「食品衛生法の改正をきっかけに一斉に漬け物製造をするか止めるかの判断を迫られ、廃業する引き金になりました。自治体は申請や補助の手助けなど漬け物の生産者に寄り添った支援で伝統的な漬け物という食文化を守る後押しが必要となります」と説明します。

私の身近な漬け物の話

母が2024年冬に入院していた時、4人部屋でした。その中で味噌や漬け物など、料理を作るのが得意な人がいたそうです。

周りが「どうしてそんなに大量に漬け物を作るの?」と聞くと、「作った漬け物を商品としてお店や道の駅に販売している」と言われ、漬け物づくりの極意などを話していたそうです。

その話を母から聞いていたのと、母に「漬け物が食べられなくなるらしいよ」とこの記事の話をしたら、「⚪︎さん、70歳過ぎているし、こんなに規制が厳しくなるなら、もう今後漬け物を作って販売しなくなるかもしれないね」と言っていました。

漬け物は味がついていることで、特におかずがない日でも、ご飯が進む、とても美味しい食べ物です。

私も漬け物が好きです。それが法律の改正で、作らなくなる人が増えて、食べられる数が減る、もしくは食べられなくなる日が来るー?。

昔からある身近な日本人のソウルフードを、食中毒問題があったとはいえ、絶やさないで欲しい、と思っています。


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