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服薬する薬が多いほど、腸内細菌が減って、薬剤耐性菌が増える可能性が!?東京医科大学発表。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

私たちの大腸には、100兆個もの色々な細菌が住み着いています。近年の研究で、この色々な細菌が免疫から脳の機能まで、身体に欠かせない機能を維持するために重要な役目を任されていることが判明しました。

その上で、この腸内細菌のバランスが乱れたことで、色々な病気に至ることも明らかになりました。

東京医科大学などの研究グループが、この腸内細菌に関しての大規模なデータベースを作成し、薬の使用や病気と腸内細菌の因果関係を解析する研究を加速させています。

今回は研究で明らかとなった、腸内細菌と服薬の因果関係について考えていきます。

東京医科大学が明らかにした、腸内細菌と服薬の因果関係

身体はおよそ37兆個の細胞から作られていますが、その3倍近い細菌が、お腹の中で、今この瞬間も住み着いています。特に酸素がほぼない大腸は、細菌にとって住み着きやすい場所で、多くの細菌が集中的に住み着いています。

東京医科大学の永田尚義准教授によりますと、「この15年余りで、腸内細菌の解析技術が遥かに高まり、腸内細菌の思いがけぬ機能をすることが判明しました」と語ります。心を落ち着ける機能をするGABAや幸せな感情をもたらす脳の神経伝達物質セロトニンを、腸内細菌が生み出していることが明らかになりました。脳の機能と腸内細菌の因果関係を解析する「脳腸相関」は注目が注がれ、うつや自閉症、認知症と腸内細菌の因果関係も研究が続けられています。

細菌は、私たちが食事をして、腸まで運ばれた炭水化物などを食べ、色々な物質を置き換えます。この物質が、脳などの神経だけじゃなく、感染症のウイルスなどの外敵と闘う免疫の機能にも重要な働きがあります。

腸は食べ物を消化して、その栄養素を身体内に吸収する器官ですが、ウイルスにとっても身体への入り口になります。これを予防すべく、腸管には抗体や免疫細胞が集中して住み着いています。この腸管免疫の機能を維持するために、腸内細菌が欠かせないものだと判明しました。

ヒトと腸内細菌も深い共存関係にあります。ヒトは細菌に食べ物や住処を提供し、細菌はヒトでは作れない色々な大切な物質を作ります。

腸内に住み着いている無数の常在菌の個別の役目を解析することは容易なことではありません。永田准教授は「どの常在菌が健康長寿や健康維持と関与する常在菌なのか、どの常在菌がどの病気と関与する常在菌なのかが明らかになった部分も多いですが、まだまだ知見の積み重ねが必要です」とします。何千種類もの腸内細菌とヒトの細胞は、連携し合う複雑なネットワークを合成しているからです。

病気と関与する常在菌に見えても実は別のところで大事な役目があるかもしれません。1種の常在菌だけを増やしていって病気が完治する、という効果も現状ではまだまだ期待しにくいといいます。 

参考:東京医大がデータベース作り 解き明かされる腸内細菌 免疫や脳の働きにも作用 東京新聞(2022年)

後日談

ヒトはそれぞれの腸内細菌が異なります。環境や遺伝の影響を受けて3〜5歳までには腸内細菌の集まり「細菌叢」のバランスが決定します。ですが、その後の食事、アルコール、煙草、治療薬の使用など色々な要因で腸内細菌の「細菌叢」のバランスが崩れると、アレルギー、胃腸疾患、肥満、自己免疫疾患などに影響を与える恐れがあります。

永田准教授など東京医科大学の研究グループは、東京都内の病院を通院している患者さんの協力を得て、4000人分に及ぶ腸内細菌環境と病気、生活習慣、服用している治療薬などの因果関係を解析したデータベースを作成しました。「病気や治療薬との因果関係をこれほど詳細なまでに解析した研究は他にないのでは」と説明します。

研究の第一歩として腸内細菌に影響を与える要因を調べた結果、服用する治療薬が、食、運動習慣、生活のどれよりも3倍以上も強く影響を与えていました。特に、糖尿病の治療薬や、胃酸を抑える胸焼けの治療薬の一部が、腸内細菌の「細菌叢」の環境を大きく変化させていました。

多数の治療薬を飲み続けるほど、免疫の機能に重要な腸内細菌が減少していき、感染症を発症させる病原菌や、抗生物質が効きづらい薬剤耐性菌が増加していきました。永田准教授は「多数の治療薬を併用することの負の効果が、腸内細菌の観点からも鮮明に分かりました」と話しています。

東京医科大学の研究グループではそれ以外にも、早期発見が困難な膵臓がんに関与する腸内細菌を特定する知見も明らかにしています。

この様な知識は、病気を早期発見することや、病状の悪化の仕組みの解明に役立つ可能性を秘めています。

今回の研究結果は、色んな病気や障害の関係で、様々な薬を服薬している私には、耳の痛い話でした。

沢山薬を飲むのは身体には悪いと知っています。でも生きていくためには、治療薬は必要です。この葛藤は、ずっと続くのでしょうね...。

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