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3× 第一話

あらすじ
篠塚喜助30歳は殺人者である。自分が許せないと思った人物は殺してしまう。しかし、すぐに殺すわけではない。喜助も我慢はする。その我慢は3回まで。メモを取る。そして×が3つ並んだら殺すのだ。

なぜこんな人間になったのか?それは15年前のこと。赤沼光一郎45歳に出会ったからだった。

喜助は父親にDVを受けていた。母親も父親の味方。それを許せなかった赤沼。赤沼はそういうものを許せない。しかし赤沼はヒーローではない。そういう許せない奴らを殺すのだ。そして、赤沼は喜助の両親を殺す。

喜助は両親を殺した赤沼に復讐をする。それから赤沼に自分のしていることを喜助に託すのであった。
では本編始まります。

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『3×』

篠塚喜助は、箱に閉じ込められたマジシャンを冷ややかな目で見下ろしていた。
箱は古典的なマジックショーで使われるもので、マジシャンの頭と腕が外に出ているが、片腕はすでに地面に落ちていた。マジシャンは自由を求めてもがくが、身動き一つ取れない。

「お願いです。助けてください」とマジシャンは懇願する。

しかし喜助は、軽蔑の笑みを浮かべながら首を横に振る。
「ダメかなー」と彼は言った。
「あなたは3バツになっちゃったのよ。だから、残念ですが…」
彼の言葉は冷たい冬の風のように、マジシャンの希望を凍らせた。

マジシャンは必死になって交渉を試みる。
「何でもしますんで。ここから出してください!」

「あなた、おかしなこと言うなー。脱出の達人でしょ?どうぞ、出ていいですよ」と喜助は嘲る。

「えーとですね、あれは特殊の箱でして…」とマジシャンは言い訳を始めるが、喜助はそれを遮った。「え?あなた、種も仕掛けもないって言ってたでしょ?」
論破する一歩手前のドヤ顔を披露する。

マジシャンは言葉に詰まる。「いや、それはですね、なんと言いますか…」

「嘘?」喜助の声には疑念が滲む。

「…うーん、いや、嘘というか…」マジシャンは弁解するが、喜助はさらに追い詰める。

「あ、そうか、緊張感が足りないかな?」と言いながら、喜助は箱に刺す刃を取り出す。その刃は、冷酷な運命の使者のように、マジシャンの運命を決定づける。
マジシャンは恐怖に顔を歪め、「ちょっと待って」と懇願する。

喜助は容赦なく刃を箱に突き刺す。マジシャンの叫び声が響き渡り、もう片方の腕が落ちる。「おー、切れちゃったよ。大丈夫?痛い?」と喜助は皮肉を込めて尋ねる。

「お、お願いです。助けてください」とマジシャンは再び懇願するが、喜助は冷酷に「だから、出ていいよって」と返す。

「無理です」とマジシャンは絶望的に言う。「あれは手品用のやつで…」
彼の言葉は、砂漠の中のオアシスのように、救いを求める。

「やっぱり種も仕掛けもあるってこと?」喜助は確認する。

「はい、そうです。助けてください、お願いです」とマジシャンは認める。

「よし、わかった」と喜助は言い、刃を取り出す。
「さあ、最高のショーを見せてもらおうかな?」

喜助は刃を構え、「皆さん、今から最高のマジックをご覧いただきます!」と宣言する。
マジシャンは慌てて「ちょっと待って」と言うが、喜助は自らドラムロールを言いながら刃を首近くの穴に刺す。

喜助は、静かに刃を一つずつ取り除いた。
それぞれの金属が軽く響く音が、部屋の静寂を切り裂く。
そして、彼はゆっくりと箱の蓋を開けた。
その瞬間、時間が止まったかのように、全てが静まり返る。
マジシャンの首が、無慈悲にもポトリと落ちた。
喜助は、その光景に向けて、感動の余韻を込めた拍手を送った。

「ブラボー」

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