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R5年 第三回定例会 決算特別委員会 意見開陳

初めての決算特別委員会でしたが、意見開陳を任せていただきました。
決算特別委員会は9日間あり、8日間は、分野別に決算に関しての一問一答形式でのやりとりがあり、最終日には各会派の代表が「意見開陳」をして、認定・不認定の理由を述べる機会があります。意見開陳の持ち時間は各会派20分なので、なかなかのボリュームでした。監査報告書などを読み込んでいても、聞き慣れない言葉ばかりでしたが、会派の仲間の力も借りて、なんとか仕上げることができました!!

認定・不認定については、個人ではなく会派の意見ですので、会派の議員と協議をして決め、我が会派は、一般会計は不認定、その他特別会計については、認定としました。

詳細は、以下意見開陳の原稿をご覧ください。


「無所属・都民ファーストの会」を代表し、R4年度、杉並区会計歳入歳出について意見を述べます。
 
R4年度は、目指すまちの姿を「みどり豊かな住まいのみやこ」とする新たな基本構想がスタートを切り、予算編成は「新ビジョンスタート予算〜希望に満ちた杉並の100年へ〜」と名付けて行われました。基本構想スタートに合わせ、実現に向けた具体的な道筋として、新たな総合計画・実行計画等の6計画が策定され、柱として、8つの分野に沿った29の施策と128の実行計画事業が示されました。最終的な各施策指標の実績をみると、目標値を達成できたのは90件中31件とたった3割です。また、29の施策のうち、六つの施策では、目標値がすべて未達となりました。コロナの影響で先行き不透明な年ではありましたが、計画が甘かったのではないかと懸念を抱きます。
 
以下、これまでの定例会や決算特別委員会を踏まえて、1、財政、2、議会対応、3、区長の認識とリーダーシップ、の3つの視点より意見を申し述べます。
 
まず一つ目の、財政についてです。
「区政経営報告書」「杉並区各会計歳入歳出決算書」「杉並区各会計決算審査意見書」「杉並区基金運用状況審査意見書」「杉並区健全化判断比率審査意見書」等の資料により、各分野で、概ね適切に予算執行されていることが確認できました。計10回の補正予算は、総額319億円となり、コロナ対策や物価高騰対策等に関わる経費で、区民のために迅速に執行されていることが確認できました。区民生活に密接に関わる区政運営は、概ね正しく行われていたと認識しています。
 
財政調整基金については、危機管理の観点からも大変重要なものであると考えます。
当該年度の財政調整基金は一般財源の不足額を補填するために3億5578万9千円を取り崩したものの2年連続で増加しています。「区政経営改革推進基本方針」の中で、基金の残高の目安として示されている、350億円を大きく上回っており、23区でも1位とのことです。財政調整基金が増加していること、また、取り崩しの使途が明確であり、区民のために利用されたと認識できることから、この点については一定の評価をいたします。しかし、区民一人当たりの基金総額にすると14万2千330円となり、23区では下位でした。決算特別委員会では、その理由として、「人口が多いからだ」とのご答弁がありましたが、杉並区の人口は、約57万人で、23区中6位です。約90万人と特別区で一番人口が多い世田谷区の、約6割の人口であるにもかかわらず、世田谷区の16万6千698円より低くなっています。その他、人口上位の区をみましても、杉並区ほど、財政調整基金と区民一人あたりの基金総額の差がある区はありません。基金のあり方については、多面的な分析や検討がされているとは言えず、いざという時の命綱とも言える、基金についての認識の甘さが明らかとなりました。景気の不透明さは、歴史が証明するところであり、過去をみれば、バブルの崩壊、デフレ、リーマンショック、東日本大震災やコロナウィルス感染症など、予測できないことが多くありました。今後30年以内に首都直下型地震が発生する確率は70%ともいわれており、ますます危機感を持たねばなりません。コロナ対策においては、財政調整基金を躊躇なく活用することで、時期を逃すことなく必要な対応を取ってきました。これは、今まで健全な財政運営に努めてきた結果であり、平時における備えが重要であることは言うまでもありません。
 
次にふるさと納税についてです。
「ふるさと納税」の本来の趣旨は理解いたしますが、年度当初から、減収の懸念材料の一つとして認識されており、監査でも指摘されていました。制度開始以降、流出額は年々増え、令和4年度は40.9億円、令和5年度は47.9億円と過去最高額の流出となっています。これまでの流出額の総額は、214億円にのぼることを顧みると、決算特別委員会でもあったように、区の産業振興シティープロモーションにもつながる、返礼品の追加を頑なにせず、寄付行為のみで区民の意識改革を訴えるだけでは、流出金を止めることはできません。制度が存続する以上、流出額が増えていくのはあきらかです。ふるさと納税流出額は、区の財政を圧迫し、行政サービスの低下に繋がりかねない深刻な問題であり、早急に対策を講じるべき、と考えます。
 
二つ目の視点は議会対応についてです。
まずは、第一回臨時会で報告された、専決処分についてです。
専決処分が行われた経緯について、ここでの詳細な説明は致しませんが、R5年3月24日に、報告第2号地方自治法第179条第1項の規定に基づき専決処分された、令和4年度一般会計補正予算(第10号)は、正当な理由なく専決処分されたものと認識しております。
当該事案判明時点においては、予備費対応ができず、また、議会を招集する時間的余裕がなかったことが、原因との報告を受けました。今回の専決処分は、区職員の事務の誤りに起因するものであり、組織的なチェック体制の徹底を図り、再発防止に努めていただければと存じます。しかし、本当に議会を召集する時間的余裕がなかったのでしょうか?過去を見るとコロナ禍で、緊急的な事態が生じ、時間が切迫した事態においても、常に速やかに議会を召集し、補正予算案を提案してきました。この間の対応と比較すると、今回の専決処分の「時間的余裕がない」という理由には大きな疑念が残ります。当該事案に気づいた段階で、速やかに、臨時議会の召集を検討すべきだったと考えます。
 
次に、ボートマッチ事業についてです。この事業には、問題が大きく二つあったと認識しています。第一に、予算編成では例年通りの選挙啓発グッズに充てる予定として、選挙啓発費、217万円が計上されていました。しかし、年度途中に、この選挙啓発費が当初予定していなかった、目的外の事業に流用される方針となりました。すなわち、ボートマッチ事業は、予算編成時は、誰も考えていない新事業であることは、区においてもあきらかで、それを自認しながらも、旧来の選挙啓発費を充てようとしたことは、目的外流用と評価されても仕方ありません。したがって、ボートマッチ事業の予算は、補正予算を編成し、議会に付するべきことは明白でありました。
第二に、東京都選挙管理委員会から再三にわたる助言があったにもかかわらず、全く聞く耳を持たず、事業を進めた挙句、最終的には、通常であれば区の自治を最大限に重んじ、よほどのことがなければ口を出すことをしない、総務省が技術的助言をし、中止に至ったという経緯があります。これは区の自治能力の低さを全国ニュースで周知してしまうという事態となったと理解しています。そんな状況にもかかわらず、区長がボートマッチ事業の中止について「大変残念」と発言されたことは、まさに「大変残念」です。
 
区長は所信表明で、「議会では、区民に対する思いに与党・野党の別はなく、誠実な答弁を心がけます。その前提として、すべての会派に等しく可能な限りの情報を提供します。二元代表制という地方自治の本旨に立ち返り、自由闊達で生産的な議論を戦わせて参りたい」と発言されていました。しかし、実際はどうでしょう?前述の二例を見ても、むしろ重要な問題や議論が割れる問題について議会に付することなく、執行部の独断で進めようとしているようにしか見えません。そのような問題こそ、きちんと手続きを踏み、密室の区政ではなく、公明正大な区政を心がけるべきです。
 
3つ目の視点区長の認識・リーダーシップについてです。
多心型まちづくりの推進や都市基盤の整備、都市計画道路、公共施設の再編整備は区民の命と暮らしを守るためにも大切なインフラであり、着実に進めるべきものであると考えます。しかし、計画の見直しを行ったことにより、多くの事業が遅滞しています。大震災への備えという面も含めて、待ったなしの課題を遅滞させた責任は大きいと考えます。「対話を大切にしたまちづくり」として開催されている、「さとことブレスト」や「阿佐ヶ谷北東地区まちづくりを振り返る会」については、確かに区民の声に耳を傾ける機会ではありますが、そこに足を運ぶ人・運べる時間的立場的余裕のある人は、区民の極一部に過ぎません。選挙で半数近くが対立候補に投票して選出されたことを今一度自覚する必要があると考えます。
 
次に、重点事業にも入っていた、「浜田山駅南口の整備」の再検討についてです。本事業は、賃借についての協議が整わないとの理由で断念し、再検討となりました。令和5年、第一回定例会報告時の都市環境委員会のやりとりを見ましても、多くの議員がなんとかならないのかと、浜田山駅南側に住まう方の声を代弁しています。浜田山地域住民は、この事業に本当に期待をしていました。20年越しの事業を、地権者との契約が合意できなかったとのことで、早期に賃借断念とし、事実上の白紙としたのは、安易な判断だったのではないか、区民の気持ちを軽く考えているのではないか、と言わざるを得ません。事業が前に進まない時こそ、トップマネジメントのあり方が問われます。決算特別委員会では、区長から、「浜田山駅南口の整備は必要であり、事業が前に進む機会をきちんと捉えて、問題を解決していきたい」とのご答弁をいただきましたが、これまで区長が前面に出て、事態打開に動いた形跡はなく、必要性を強く認識しているようには思えません。浜田山駅周辺は商店がひしめきあい、南口整備に適した場所は限られており、今の場所を逃すと、この先何十年と進展しない可能性が高いことは容易に想像ができます。代案の可能性を探りつつも、地権者とも粘り強く交渉を続けるべきではないか、と考えます。また、必要性を認識しつつも、他の地区で行われているような対話集会が開かれることもなく、区長自身が、浜田山地域住民と直接話す場を持たないのは、区長にとって、重要な事業である認識がないのではないか、と懸念を抱きます。
以上、区民生活の安心安全の維持のためにも、区長の責任のもと、各事業を前に進めていただきたいと存じます。
 
これまで、ルル申し述べてまいりましたが、行政の最高責任者として、住民の直接選挙によって選ばれた区長の責任は大きいと考えます。     
区民と共に、区政を前進させていくのが、区長、議員、職員、の役割です。
加えて、地方自治体の首長として大切な要件は、職員を束ね、職員の力を組織の力に結集させ、問題解決に向け、力強くリーダーシップを発揮していくことであると考えます。対話を大切にするという岸本区政ですが、大きな声を上げられる人たちだけではなく、声をあげない、あげられない、多くの区民の声を幅広く拾い上げる、幅広い方法・方策の立案検討を求めます。また、議員や職員からの意見にも平等に耳を傾け、区政を正しい方向に導いていただくことを強く要望します。
 
以上の理由から、我が会派は、一般会計は不認定といたします。
なお、その他特別会計については、各保険事業が、それぞれの制度趣旨に沿って適切に執行されたと評価できるため、認定といたします。
最後に、本委員会の審議にあたり、誠意を持ってご答弁くださった理事者の皆様、資料作成に尽力くださった職員の皆様、また、円滑な委員会運営に努められた正副委員長に、心から感謝を申し上げ、「無所属・都民ファーストの会」を代表しての意見開陳とさせていただきます。
 
 
 
 

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