成田ゆめ牧場ではない牧場での開催

昨日12月25日のクリスマス、俺は、朝も明けきらぬ5時に起き果て、雨の降りそぼる中歩いて、6時には駅におり、そして遙か2時間もかけた旅路へとついた。電車をひとつ乗り継いでもまだ、雨は降りそぼり、夜も明け切れておらず、大変暗い気分であった。ほんの隣の県なのに、永遠のように遠い。だから駅への道すがら購入したおにぎりをホームにてコソコソと食べて、急な飲食であったことから胸焼けがして、とてもではないがこれからのパフォーマンスも期待できるものではなかった。電車はひとつの胸焼けを運ぶ。デズニーランドや幕張などを経て蘇我というところについた。ここでカトウ・チャンと合流する。ひさしぶりの再会で有った。電車はさらにふたつの寝不足を運んでいく。そこでふと、俺には疑問があった。俺は成田ゆめ牧場にいくはず。成田は空港があるから海沿いのはず。ちーばくんの後頭部あたりのはず。だのに、木更津などを通る。なぜだ。木更津は海ほたるを出てすぐだから、ちーばくんのおなかあたりのはず。俺たちは電車を間違えているのでは?そのようなことをおうごえで大騒ぎしていたら、寝不足のカトウ・チャンがめんどくさそうに「成田ゆめ牧場ではなくマザー牧場に行くのだよ」と低い声で云った。俺はマザー牧場に行くのだった。そんなことをしている間に、君津という駅に着き、立派なバスに吸い込まれていった。そう今日という日は、クリスマストレイルランという基地外たちのイベントがここで開かれるので或る。クリスマスなのに、山を走らせ上へ下への大騒ぎ。馬や牛のように苦役をさせられる人外のイベントで或る。俺はそれに参加するのである。バスの中では、俺がもこもこの服を着ていた関係上、羊に仲間と思われるのでは、などの懸念も有った。廃墟となったラブホテル、たとえばHOTEL土曜の午後などを経て、バスはマザー牧場へと到着した。ここで俺たちは20キロのトレイルランに参加する。とはいえ20キロを4人で走るので、俺は5キロだけ、第一走者だった。ほんとは4人だが俺はチームメンバーのU子が仕事だったので杉原さんが2回走ることになっている。俺はわりと早く走っても遅く走っても疲れ方が同じで、周りの人につられて走る特性があるので第一走者に選ばれたので有った。

なんだか羊をふかふかと触ったり、シャウエッセンの出店を眺めたり、着替えたりしておる間にすんなりレースが始まる。俺は杉原さんとカトウ・チャンに見守られ、スタート地点に並ぶ。肩にかけた襷をしっかり結んで待機。なんぼアホでもカスでも、これだけは繋げなければならない。とはいえ5キロを40分くらいで帰ってこればいいのでしょうみ全然平気だとヘラヘラしている。スタートとなる。よし、速い人について行こうと張り切ったが、いきなり誤算。道が狭くて抜かせない。まるで軍隊の行軍のように走って行くことに。前にいるスパイダーマンのコスをしている少年について走る。下り坂ではあるが、自分のペースではないので逆にくだびれている。景色が開け、抜かせるタイミングになるとやばいくらいの上り坂。控えめに言っても約75度くらいあった。俺は天を見上げた。するとまじで天のほうに人が走っていてまじでウンザリした。あんなに上るのかよ。これはもう牛や馬がすることで或る。苦役で或る。羊などとふれあえるゾーンで有ったらしいが、俺は一切記憶がない。羊には以前から好感を持っている俺なのに、さっぱり記憶がない。俺は考えていた。どんなにつらくても残りはせいぜい15分くらいのこと。2キロもない。では2キロってなんだらう。1キロを7分で走って、それが2回。2回がつらい。1回ですら絶対につらいのに2回なんて絶対にいやだ。道案内をしているおじさんに泣きついておんぶしてもらって帰りたい。そのため足を骨折したと嘘を言おう。泣きたい。泣こうか、よし今から泣きますよと考えていると、いちごをたくさん食べられるゾーンに到着。とりあえずいちごは2つ取って食べる。うまい、染み渡る甘さ。キウイも取る。なんだかもうすこしだけ走ってやってもいいような気持ちがする。よし、行こう。優勝を目指そう。そんな感じで走り始めるとまたやばいくらいの上り坂。もうだめ。本当の本当にだめ。おじさん、おんぶ。だがどうだろう、会場で流れていたラジオのDJが聞こえてきた。もうすぐゴールでは?そうなんだかんだで15分くらい経ってるやんけ。ゴール手前では愛奴らが待ってる。ここは走らな、大会後のジンギスカンパーティーで袋だたきにされるだらう。足を前後に動かす。ほうほうのていでゴールに近づくが次のランナーがたくさんいて、杉原さんが見つからない。キョロキョロしていると、よしむらー!との声。手を振るチームメイト。ここで割と感動する。骨折したって嘘言わなくてよかったと心から思う。襷を取る俺。あの瞬間すごくかっこよかったと思う。そんなこんなで俺の初トレイルランは終わった。いちよう全員走り終えて、足きりにも合わず完走。ジンギスカンパーティーにて薄っぺらい肉を食べそぼる。俺たちあんなつらい目にあったのに、つぎはどういう大会に出ようかと話し始めていた。米兵に応援されながら米軍基地を走る大会に出たいとなるも、今はやっていないとのこと。出店などもあり、米兵がフランクフルトなども焼いてくれるらしい。米兵のフランクフルトを食べたいなどのピンクワードも飛び出しながら、どわはははと盛り上がりつつパーティーは終了。帰りはみなくたくたで、900円払って特急みたいなので帰る。全然良い。なんやったら行きも乗りたかった。俺は潤沢に乗り過ごしながらもなんとか自宅に到着。19時に眠った。羊たちとわいわいする夢を見た。

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