東大文系がオールラウンダーになってしまう理由

ビジネスの世界で成功するには、オールラウンダーよりも、ある程度専門性があり、尖った人物のほうが良い。慶應SFCは英語と小論文、または数学と小論文で合格できるために何かと批判されがちだが、慶應はビジネス志向の大学であるため「わざと」ではないかとも思える。

東大の場合、共通テストで英数国理社2情(文系の場合)が求められる。理科も基礎の場合は2科目だったはず(センター試験時代は1科目で良かった)。二次試験は、英数国社2が求められる。特に世界史の論述は一橋大学と並んで日本の大学では最難関に近く、社会2科目は非常に負担が重い。東大は官僚的なオールラウンダーを求めている。

さらに、東大は入学後の負担も大きい。慶應であれば、進級ギリギリの成績でインターンシップばかりやっていても問題はないが、東大は進学振り分け競争に勝つために、入学後もまた競争だ。全ての科目を手抜きできない。

東大文系が、国内文系ではぶっちぎりの最難関の割には、就活であまり有利ではない理由がここにあると思う。日本企業は学業成績よりも面接でのコミュニケーション能力と、インターンシップを重視している。学問でオールラウンダーの東大は、実はJTCと相性が悪いのだ。

昔であれば、都市銀行はMOF担(大蔵省・財務省担当)として東大法学部を入れていたが、今はそういう時代ではない。メガバンクは海外で稼いでいる。

別に東大の肩を持つわけではないが、もう少し学問でオールラウンダーの東大を評価するべきだ。たしかに若いうちは専門性のほうが重要だが、JTCは年功序列なので、中年あたりからやっと頭脳労働ができる。そのとき、幅広い教養が役に立つこともあるのだ。

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