インフレで日本政府の債務が実質的に減少している

インフレになると、政府債務が減少する?どういうことなのか、わからない方も多いと思う。

今の日本は、「低金利」と「インフレ」を両立している、特異な状況である。通常は、インフレ傾向が続くと金利も上昇し、政府や企業の資金調達コストは上昇する。だが、日銀の政策だけが理由とは思わないが、色々な事情が重なって、日本では低金利が持続している。

その結果、政府も企業も、債務を減らしやすい状況になっている。なぜならば、モノの値段が上がれば、売上数量がそのままならば売上高(と営業キャッシュフロー)は増える。だが、金利は低いままなので利払い費はあまり増えない。そのため、債務を返済しやすくなる。特に日本の巨大企業はトヨタ自動車のように、海外で稼いでいるので円安効果も大きい。政府も同じだ。税率は変わらないのに、インフレが進めば、消費税が大幅な増収となる。これが、「インフレは税金の一種」と言われる理由だ。

わが国の場合、第二次世界大戦で莫大な国債を発行したが、戦後のインフレでほとんど帳消しになり、戦後に積極的な財政出動を実施することが可能になった歴史がある。

ただ、政府や企業にとっては嬉しい事態かもしれないが、庶民(労働者)にとっては違う。名目賃金の上昇率よりも物価上昇率が高いため、実質賃金はマイナスが続いている。庶民を苦しめて政府の財政を健全化させるのは、正直どうかと思う。政府は「国民のために」あるのではないだろうか。財政がある程度健全化したら、消費税を5%程度に減税するのもありだと個人的には考えている。そうすれば、円安による輸入インフレに苦しむ庶民も、少しは生活が楽になるだろう。

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