山本貫太(たんかともま)

なで肩。何でも書きます。スキ欄は日記以外の文章をまとめています。日記の内容は架空です。…

山本貫太(たんかともま)

なで肩。何でも書きます。スキ欄は日記以外の文章をまとめています。日記の内容は架空です。 ご連絡はメール(akaimukade@gmail.com)かX【Twitter】(@tankatomoma)にお願いします。

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題名をクリックするとAmazonの商品ページが開きます。 【小説】 「ソルター・マーシー」 江古田文学101号掲載 「パッチワーク」 江古田文学102号掲載 「毛穴」 江古田文学105号掲載 「執筆用資料・メモ」 江古田文学108号掲載 【官能小説】 「一回だけで、いいの?」 新鮮小説 2020年4月号掲載 「お義母さんは、僕専用のオナティッシュ」 特選小説 2021年9月号掲載 「×××ゲーム」 新鮮小説 2021年12月号掲載 「わたしで抜いたことある?」

    • 日記0438あるいは欲寝多

      めちゃめちゃ寝たなぁ、と思って目を覚ますと世界は滅んでいた。いや、私の目に映る範囲だけが壊滅的に、それこそ、瓦礫の山になっていたので、まあ、本当は滅んでないのかもしれないけれど。 「君が生き残ってる、その時点で滅んじゃいないさ」 男勝りな女が瓦礫の下から腕だけをのばし、揺らし、私に話しかける。 「挟まってるの?」 「潰されている、が正しい。助からないだろうね」 「世界は滅んだのか?」 「さあね、喋ると肺が痛いな」 女は二度咳き込むと静かになった。そのあと、何かが破裂し

      • 日記0437あるいはキービョ

        「病院へ行こうね」 熱っぽい身体、手を引かれる。たぶん、親だろうと思う。いや、でも親は手を引いてくれていなかったのだっけ? 「病院……、行かなくていいかな」 「……どうして? つらいでしょ?」 僕は少し考える。 「病院へ行くと、自分が病人だって思い知らされるから……」 「病人だもん、仕方ないって」 病人、そうか。病か。 治さないといけないのはわかっている。 脳を巣食っている何かを取り除かないといけないことも。 でも、その一部も僕だと思ってほしかった。自分の全部が

        • 日記0436あるいは病気か

          おまえ、ココの病気か? うるせぇ 毎日、つまんねぇか? うるさい

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          日記0435あるいは匕問゛

          無常、とはよく言ったものだ。川の流れを見て思ったのならば、なかなかの慧眼だと思う。 先輩は遅刻して現れた。ごめんごめんと、ごめんを二度繰り返して。 「川眺めてたんで、大丈夫です。面白いですね、川って……、無常というか、切ないというか。……無常の反対は通常ですかね?」 先輩に、少しおどけて尋ねてみる。 「ゆうじょう、じゃないか?」 「友情ですか?」 たしかに、友情は不滅の香りがする、なんとなくだけれど。 「ちがうちがう、有常。有限会社のゆーに、常日頃の常で」 「あ

          日記0435あるいは匕問゛

          日記0434あるいは伏線怪獣

          「アレは、山なんかじゃない……。か、怪獣だったんだ!」 きづいてほしい作者の心と、書き記すまでは隠し通したい作者の心、果たしてどちらが大きいのか。 「どこまで構想しているのか、はたまた、後付け設定や行き当たりばったりなのか……」 最終章か序章か、それすら読者にはわからないだろう。

          日記0434あるいは伏線怪獣

          日記0433あるいは憎肉欲

          「肉が食べたい」 肉欲は性的な意味で用いられているため、この場合、焼肉欲が高まったと言うべきなのだろうか? 「いや……。別段、焼肉でなくてもいいな。ハンバーグ、角煮、唐揚げ、チキンでも……」 それこそ生肉でもよかった。となると、やはり肉欲だろうか? 私は焼かずに様々な肉を口に放り込んだ。ぬるぬるとした舌触りと血の匂い。 当たり前に腹を下した。 おうちにかえりたい。

          日記0433あるいは憎肉欲

          日記0432あるいは快尿

          「快便があるなら快尿って言葉もあるんですかね?」 「さあなぁ」 我が社の健康診断は変わっていて、効率のため、三人ずつ検尿をする。 「木村さん、めっちゃでますね」 「オレンジジュース……、がぶ飲みよ、がぶ飲み」 「え、ビタミンとっちゃだめですよ、検査前」 「マジか?」 検尿コップから黄色い尿がボタボタと溢れる。 「ちょっと、木村さん、溢れてますって」 よく見ると、検尿コップだけではない。あらゆる便器が逆流し、水かさが増え、溢れている。 「なんだよ、これ、なんなんです

          日記0432あるいは快尿

          日記0431あるいは麻美と水槽と赤いランプ

          目的地に付く前に、男は必ず僕を見つけ挨拶もなしに本題、あるいは、一聞しただけでは真意をつかめない話をし始める。 「遊びの語源は麻美(あさび)、要するにタイマですよ」 男のタトゥーは顔にまで及んでいた。痩せこけた頬には脚の本数が三本余計な蜘蛛が彫られている。 「こんな人混みでクスリの話なんかするな」 「タイマはクスリじゃないですよ、草です、ハッパです」 「まあ、そうかな」 人が人を避けたり、避けきれずにぶつかったり、諦めて座り込んだりしている。誰もがどこかを目指すか、迷

          日記0431あるいは麻美と水槽と赤いランプ

          日記0430あるいは禍の素

          「コレを入れるだけで料理に禍が生まれます!」 禍学調味料だそうで。 「不味いのに、不思議と癖になりますね」 こんなアホな調味料に大金を払って、睡眠時間も削って金を稼いで、ゲップも臭くなって、何がしたいんでしょうね、私は。 瓶を割る。 「禁断症状ですか?」 「かもしれません」 「つらいですか?」 「いや、慣れました」 頭が重い。眠れていないからか、調味料のせいか。 「あれ、ただのアミノ酸ですよ、無害です」 「え、じゃあ、私のつらさはどこから?」 「生まれつきでしょ

          日記0430あるいは禍の素

          日記0429あるいはツマランオチダナ

          予想通りとはこうもツマラナイのか。 「落下します、手すりにお掴まりください」 ツマラナイ、だけならまだいい。 ツマラナイし、不快だ。 手すりはガムテープで補強されている。 一握りでいいから、何か越えてきてほしい。 頼むよ、おれの予想を超えてくれ。 フタを開けてみる。小人が歩いていた。いや、止まっていた。横断歩道の信号待ち。 「ステーキご注文のお客様ァー」 おれは茶碗蒸。無視無視。 「お客様ァ、おきゃ、お客様ァアア」 金払ってるだけの人間に様なんて、つけなく

          日記0429あるいはツマランオチダナ

          日記0428あるいはthe kenner

          正義感を拳でしか表現できないような馬鹿に殺されてたまるか。 「お前がやったんだろぉ、なぁ、おい、お前がやったんだろぉ?」 まず、何を疑っているのかくらい言語化してくれ、と思いながら頬を殴られる。内頬が切れ、話そうにも痛みで話せない。 「なんか言ったらどうだ、あ?」 クォーターだかハーフだか知らないが、ずいぶんと背が高く、また、力強く、片手でおれの身体は宙に浮く。 「おいっ!」 ちらちらと男は後ろを振り返って、女たちに自分は強いんだぞアピール。 「ファイトー!」

          日記0428あるいはthe kenner

          日記0427あるいはぶち猫が横切る

          黒い猫は幸福を意味するらしく、だからこそ、横切ることが不吉とされる。 「ぶち猫は?」 ふと気になって、占い師に尋ねた。吉凶混合、あるいは、平々凡々とかだろうか? 「猫は猫よ」 なんとも悲しい現実。ひどく疲れた。こんな言葉を聞くために、私は大金を払ったのか。 「立ち止まってはくれないね、野良猫だもの」 「抽象的な言葉で誤魔化すなよ、占い師なら未来の一つでも当ててみろ」 占い師は「当てるも何も……」と言ってから、鼻で笑った。 「破滅。自分でも気づいてるでしょ?」

          日記0427あるいはぶち猫が横切る

          日記0426あるいはドドド

          きょうはでんしゃにのりました。 にんげんはどうぶつみたいにちゃんとくさいです。 ぼくはくちこきゅうしました。 ほんとうに にんげんは つまらなそうです。 にんげんはたぶん のうりょくとかでじゃなくて うまれでおおよそのことがきまってるみたい。 どんどんたべものはたかくなって おにぎりもたべられないんだって。 おなかいっぱいたべた。おかねはないです。 でんしゃにゆられます。

          日記0426あるいはドドド

          日記0425あるいは予約未来振込遊戯

          逃げて捕まって、闘うくらいなら、はじめから闘え。 「そうも言ってらんないのさ」 車を片手で運転しながら、生意気な弟が笑う。 「一度逃げて、有利な環境を整える。はじめから闘うより勝率は高い。仲間も増やせる」 私は爪楊枝の数をかぞえながら、シートベルトをガチャガチャといじる。 「そんなにいやか?」 「わからない」 「降りたいか?」 「わからない」

          日記0425あるいは予約未来振込遊戯

          日記0424あるいは6分と拍手と

          「見事、お見事!」 拍手、拍手につぐ、拍手。そんなに褒められるようなことはしていない。 「実にご立派、よッ!」 心にも無い褒めに囲まれて、下駄を履かされて、腹立たしいな。 「ほら、たーんとおたべ!」 日本食をご馳走になる。何もわかってない。手を加えることが料理だと思っているのだろう。本来料理とは素材の魅力を引き出すことのはずだ。女性の化粧だって、元々の魅力あってのもの。女の肌を舐めたい男はいても、チークを舐めたいとは思う男はごくわずかだろう。それがどうしてことに料理

          日記0424あるいは6分と拍手と