【Eras Tour予習用】 曲の内容をざっくり紹介
2024年2月に開催されるテイラー・スウィフトのEras Tour来日公演に参戦される方向けに、セットリストに含まれる曲の歌詞の内容をざっくりと紹介してみます。
この記事は「テイラーの曲は好きだけど歌詞の内容までは知らない」「有名曲なら知っているけど知らない曲も結構ある」という方に向けたものです。
テイラーのソングライターとしての真髄は歌詞にあるといって差し支えないでしょう。ライブでの演出も歌詞の内容に合わせたものになっているので、なんとなくでも知っておけたらきっと更にライブが楽しくなると思います。
詳細な歌詞の和訳をしてくださっているブログはたくさんあるので、しっかりと歌詞を読み込みたい方はぜひ検索してみてください。ここでは、セットリストをざっとおさらいできるよう、なるべく短く大まかに纏めてみました。といっても43曲もあるので随分長くなってしまいましたが…!
もちろん、全ての曲を完璧に把握していく必要はありません。何も知らずに行っても充分すぎるほど楽しいライブになっていると思います。
その上で、なんとなく気になる曲があれば覗いてもらえたら嬉しいです。
Apple MusicやSpotifyなどの配信サービスで検索するとEras Tour Setlistなどのプレイリストが出てくると思いますので、そちらと合わせて予習できたら良いのかなと思います!
1.Miss Americana & The Heartbreak Prince
トランプ政権下のアメリカを典型的なアメリカの高校生活に例えることで、国の状況に対してテイラーが感じた失望を表現している曲。チアリーダーのGo! Fight! Win!という勝利へのかけ声を利用して"And I don't want you to go / I don't really wanna fight / Cause nobody's gonna win (見放さないでほしい/本当は争いたくないの/誰も得をしないから)"とシニカルな歌詞に反転させているところが流石です。
ツアーでの注目ポイント: サビの“It’s been a long time coming / It’s you and me, that’s my whole world (ずっと待っていた /あなたと私、それが私のすべて)”という歌詞がコロナ禍を経た5年ぶりの公演のオープニング曲としてぴったりです!
2.Cruel Summer
秘密の逢瀬を重ねている相手に対して、お互い遊びだと割り切っていたはずなのにいつの間にか本気で惹かれてしまっている自分に気がつく夏のお話。
ツアーでの注目ポイント: ブリッジ部分を歌えるようにしておけたら楽しいです!(1:40-2:04くらい、”I’m drunk in the back of the car”から”He looks up grinning like a devil”まで)
3.The Man
「もし私が男だったら」という想定で進む思考実験。
これまでテイラーは恋愛遍歴、容姿や服装などプライベートな部分ばかりが取り沙汰され、「彼氏を取っ替え引っ替え」「計算高い」「〇〇のお陰で売れただけ」などと叩かれてきました。
もし男だったら、プライベートは仕事やキャリアの評価からは切り離され、成功に”裏の理由”など求められなかったはず。もし男だったら、「尻軽」ではなく「モテ男」と言われたはず。もし男だったら、私は「男の中の男(the man)」と評価されていたはず、という業界の歪な偏見に対する痛烈な批判。
4.You Need To Calm Down
LGBTQ +コミュニティへのヘイトを巻き散らかす人を諌めるアライとしての歌。「なんかわーわー言ってるけど、朝早くから大変だね」とテイラーの皮肉が光ります。LGBTQ +の有名人が集った豪華MVも注目!
5.Lover
どこへ行くにも恋人と一緒にいたい、一緒に人生を作っていきたいと願うロマンチックな王道ラブソング。結婚式御用達バラードで、結婚式での誓いの言葉をもじった歌詞も出てきます。
6.The Archer
孤独感や無力感、自己嫌悪に押しつぶされそうな時に少しでも希望を探そうともがく歌。”I’ve been the archer, I've been the prey / Who could ever leave me darling, but who could stay? (私は狩人になり、獲物にもなった / 私から離れる人なんていない、私から離れない人なんていない)"と不安定に揺れ動く情緒が響きます。
7.Fearless
思春期真っ只中のテイラーが書いた甘酸っぱい恋愛ソング。”I don’t know why but with you I’d dance / In a storm in my best dress, fearless (なぜか分からないけど、あなたとなら踊りたい /嵐の中で、お気に入りのドレスで、恐れを知らずに) “だって…可愛いね…。
ツアーでの注目ポイント: Fearlessリリース当時の若かりしテイラーのトレードマークといえば、ライブ中にやるハンドハート🫶。カムバックなるか?
8.You Belong With Me
派手なチアリーダーと付き合う幼馴染に想いを寄せる地味な女の子視点の歌。テイラーが一人二役を演じたMVがウルトラキュートです。
ツアーでの注目ポイント: ブリッジ部分の“I’m the one who makes you laugh / When you know you’re about to cry” の後に拍手2回するのがお約束!みんなで出来たら楽しいです👏👏
9.Love Story
悲恋の代名詞「ロミオとジュリエット」の二人がもしハッピーエンドを迎えたら?という内容。テイラーが世界的に知られるきっかけとなった歌です。
10.‘tis the damn season
久しぶりに故郷へ戻った語り手と、かつて親密だった人との再会。あの時に別の道を選んでいたらどうなっていたのだろう…と数日だけの再会を通して思いを馳せる、郷愁とも未練ともつかない曖昧な感情を歌う曲。
11.willow
“I’m begging for you to take my hand, wreck my plans / That’s my man (お願い、私の手をとって、計画を台無しにして/それでこそ私の恋人)” と、人生の軌道を狂わせるほどの強烈な恋慕を歌う曲。暗い海、秘密の暗号、柳を揺らす風、幻の生物などの比喩が使われ、どことなくダークで幻想的な雰囲気を醸し出す歌詞です。
12.marjorie
亡くなったお祖母様のMarjorieさんに向けて作った曲。小さな頃の思い出や、色々なことを聞きそびれたことへの後悔、今も近くにいるかのように感じる絆が詰まった歌です。オペラ歌手だったMarjorieさんの歌声が音源の中で使われています。
「賢さを忘れてしまうほどに優しくなってはいけない。優しさを忘れてしまうほどに賢くなってはいけない。自分の力を忘れてしまうほどに気を遣ってはいけない。気遣いを忘れてしまうほどに自分の力に溺れてはいけない。」という歌詞は、お祖母様の教えだったのでしょう。テイラーの謙虚な人格はこういうところで形作られてきたのだなと感じます。
ツアーでの注目ポイント: この歌の時はMarjorieさんへの敬意を込めてスマホのライトを掲げるのが観客の中での定番になりつつあります。
13.champagne problems
長年付き合った彼女にプロポーズをした彼氏と、プロポーズを断った彼女、双方の視点を描いた曲。”champagne problems”とは「贅沢な悩み」のような意味を持つ表現で、断る理由をうまく説明できない彼女に対する周囲の揶揄、そして自嘲する彼女の心の声としても使われます。
ツアーでの注目ポイント: 曲とは直接関係ないけれど、champagne problemsを歌い終わった後、テイラーに対するスタンディングオベーションが自然と湧き上がるのがお約束になっています。今までの最長スタオベ記録はなんと8分。その間テイラーが心底嬉しそうにニコニコしながら歓声を聞いてくれるのでこっちも嬉しい。
14.tolerate it
心が離れていっている恋人に語りかける歌。語り手は恋人を何よりも優先し、精一杯気遣い、自分の全てを捧げて愛情を注いでいるけれど、恋人にとってはその愛情が鬱陶しいだけということも分かっている…胸が締め付けられるような切ない描写が続きます。
15....Ready for it?
つよつよテイラーのターンです。噂話が先行しがちな荒んだ世界の中で、しのぎを削るような直球勝負の恋愛に挑もうとする歌。
16.Delicate
自分を取り巻く噂や世間の評価を気に留めず、本当の自分を見てくれる相手を想う歌。ここまで気持ちを曝け出してしまっていいのかな、こんなに惹かれてしまっていいのだろうか、恋はデリケートなものなのに…と逡巡する語り手がいじらしい。
ツアーでの注目ポイント: 冒頭のサビ終わり(0:18くらい、”But you can make me a drink”の後)に観客が”One, two, three, let’s go bitch!”と叫びます。前回のツアー時に観客の間で流行ったのですが、今ではすっかりテイラー公認のチャントになっています。
17.Don’t Blame Me
今までは男性を手玉にとるような遊びの恋愛ばかりしてきた語り手が初めて本気の恋の狂おしさを知る歌。”Love made me crazy / If it doesn’t you ain’t doing it right (狂ってなければ恋愛じゃない)”とまで言い切っちゃうあたり、完全に沼に嵌ってますね。
18.Look What You Made Me Do
色々あって長い間姿を消していたテイラーが鮮烈なカムバックを果たした曲。これは是非MVを見てほしい。”Cause she’s dead!(昔のテイラーは死んだ!)”と高らかに宣言する通り、これまで悪い大人に利用されてきた優等生的なイメージを全て蹴散らしていくという力強い決意表明です。
19.Enchanted
再び甘酸っぱい青春ソング!パーティーで一目惚れした相手に対して、あなたは私のことをどう思っているんだろう、私はあなたに出会えてこの夜が魔法みたいにキラキラしているけど、と逡巡する乙女心を歌い上げます。
20.Long Live
ファンやバンドメンバーとの絆について語る曲。何者でもなかった私たちが、一緒に冒険して、ドラゴンと戦って、輝かしい王国を作り上げた…とこれまでの軌跡を語ると同時に「いつか子供が生まれたら私の名前を教えて、この素晴らしい思い出について話してね」とお願いするところもテイラーらしいです。
21.22
22歳であることの素晴らしさについて。”We’re happy, free, confused, and lonely in the best way (幸せで、自由で、何も分かってなくて、孤独で、それが最高)”という一文、あまりにも的確で大好き。
ツアーの注目ポイント: テイラーはここで帽子を被って出てくるのですが、毎公演、選ばれた観客一人がテイラーにその帽子を被せてもらえます。ファンとの交流を大切にするテイラーならではの演出。
22.We Are Never Ever Getting Back Together
別れては復縁して、結局何も変わらずまた別れて…を繰り返している相手に対し、今度こそ二度と復縁しない!と突きつける歌。”Find your peace of mind / With some indie record that’s much cooler than mine (あなたは不機嫌になるとどっかのインディーアーティストを聴きだす/私の曲はダサいんだもんね)”という歌詞とか、テイラー節の皮肉が繰り出されていて最高です。
23.I Knew You Were Trouble
明らかに大切にしてくれなさそうな相手に嵌ってしまった時を振り返る曲。「一番悲しいのはあなたが私のことも、あの子のことも、自分自身のことすらも愛していなかったこと」とさらっと核心を突いています。
24.All Too Well (10 minute version)
初めは5分半の曲としてリリースされましたが「実は元々10分の尺だった」とテイラーが口を滑らせたことでファンが「そっちを聴きたい!」と長年訴え続け、ついに再リリースされた本来の10分バージョン。本気で愛していた相手に雑に扱われてしまった悔しさ、それでも相手との思い出を今でもしっかりと覚えている切なさを歌っている、ファン人気が根強い不動の名曲です。
25.the 1
かつては「この人と結ばれますように」と願っていた相手に語りかけるような曲。今はもうお互い元気にやっているし、もう会うこともないけれど、たまにふと「何かが違っていたら、今頃一緒にいたのかな」と考えてしまう瞬間を切り取った内容です。
26.betty
浮気をしてベティという女の子を傷つけてしまったジェームズという男の子視点の曲。舞台はまさに彼女の家に謝りにいく直前。彼女は許してくれるだろうか、それとも完全に嫌われてしまっただろうか、と思い悩む心の内が描かれています。この曲はジェームズ視点の話ですが、後ほど登場するaugustという歌では浮気相手となった女の子視点、cardiganという歌では浮気されたベティ視点の話が語られます。
27.the last great american dynasty
レベッカという1900年代を生きた女性の話。彼女は資産家の屋敷に嫁ぎましたが、その奔放な性格は町の人々に疎まれていました。彼女の派手好きのせいで夫が死んだんだ、頭のおかしい女だ、などと噂される中、彼女は破天荒な人生を謳歌します。
そして時が経ち、現代になり、その屋敷の新たな主となったのはなんとテイラー自身。これはテイラーが実際に購入した家の歴史を辿った物語であったことが明かされ、レベッカとテイラーの境遇を重ねるようにして歌が締めくくられます。
28.august
先ほどのbettyという曲の語り手だったジェームズの浮気相手の視点から語られる曲。彼女は全てを差し置いてでも彼と一緒にいたかったのに、彼は最初から自分のものではなかったことを悟る苦しい夏の終わりを描きます。
29.illicit affairs
おそらく誰かの不倫相手になってしまった語り手の話。自分の愚かさを分かりつつ、香水を付けないよう気をつけながら友達に嘘をついて会いに行く様子や、綺麗に始まったはずの恋愛が駐車場での雑な別れ話で終わってしまう虚しさが描かれていて、テイラーの文章力が光ります。不倫がこんなに綺麗な言葉で綴られることがあるのか…と聴くたびに驚かされる名曲だと思います。
30.my tears ricochet
かつては理解し合えていたはずなのに今では憎み合うようになってしまった人との関係性を、結婚式がお葬式に変化していく様子に例えた曲。”My tears ricochet (私の涙は弾丸のように跳ね返る)”というタイトルの表現もしかり、美しい比喩がふんだんに使われている文学作品のような曲だと思います。
31.cardigan
ジェームズ視点のbetty、浮気相手視点のaugustに続き、今度は浮気された彼女であるベティ視点の曲。これまで彼に救われてきたこと、浮つかずに彼女を繋ぎ止めておくべきだったこと、そして最後には彼女の元へ戻ってくるはずだという静かな確信を大人びた口調で語ります。
32.Style
曖昧な関係を続けている相手を想った歌。あなたはとても魅力的だし、私も魅力的だし、そりゃお互い離れられないよね、と歌う色気たっぷりの曲です。
33.Blank Space
「彼氏が途切れない悪女」というメディアに付けられたイメージを逆手にとった曲。いわゆる「危険な女」になりきって情緒不安定に翻弄してみせたり、ゴルフクラブを振り回したり、次はあなたを籠絡しようかな?と品定めしてみせたりと、演技派なテイラーが楽しめる内容です。
34.Shake It Off
批判も悪口も全部言わせとけ!!こっちはなりふり構わず踊って楽しむぞ!!という明るいナンバー。この曲がリリースされた頃、テイラーは「ダンスが下手」という理由で叩かれたりもしていましたが、MVではそれを逆手にとり、下手でもなんでも楽しんでみせる!というメッセージを送っています。
35.Wildest Dreams
きっと上手くはいかない恋愛と分かりつつ、どうしようもなく相手に惹かれている気持ちを描いた歌。「全てが終わっても、目の前にいる今の私を覚えていてほしい、それだけは約束してほしい」と歌うサビが大人っぽくてぐっと来ます。
36.Bad Blood
仲が良かった人に裏切られた怒りを込めた歌。修復不可能な関係になってしまった無念さを思い切り相手にぶつけるような歌い方が印象的です。
ツアーでの注目ポイント: この曲には「Bad Blood feat. Kendrick Lamar」という別バージョンがあり、ケンドリックがラップを追加しているのですが、そのうちの一節をファンがテイラーに向かって歌うことがあります。feat.の方の音源でいうと、2:13からの”You forgive, you forget, but you never let it go”という部分です。
37.Lavender Haze
“Lavender haze”とは直訳すれば「薄紫の靄」という意味で、恋に落ちているときの気分を表した言い回し。この曲では、大好きな恋人との時間をただ楽しんでいたいだけなのに周りのおせっかいな詮索から逃げられないもどかしさを歌っています。
38.Anti-Hero
テイラー曰く「自分の不安定な部分を一番曝け出した曲」。自分の欠点ばかりに目が向き、こういうところが嫌われているんじゃないか、大切な人たちにもいつか見放されるんじゃないかという恐れや、「将来、義理の娘に遺産目当てで殺されるんじゃないか」というスターならではの不安まで綴られています。
39.Midnight Rain
地元での落ち着いた暮らしを望んだ元恋人と、そんな生活に耐えられず夢を追いかけた自分を振り返る曲。互いに欲しかった生活を手に入れた今、彼はテレビで見かけるたびに自分を思い出し、自分は真夜中一人でいるときに彼を思い出す…という映画のような締めくくりが素敵。
40.Vigilante Shit
とある男性への復讐の物語。"Vigilante shit (正義の味方気取り)"という曲名通り、語り手は男性の妻と仲良くなって不貞の証拠を渡したり、FBIに彼のしでかした犯罪を密告したりと、逞しい復讐劇が繰り広げられます。
41.Bejeweled
自分をないがしろにする恋人を置き去り、自分のために着飾って輝いてみせる曲。相手を気遣うあまり忘れてしまっていた自分の真価を取り戻していく力強いアンセムです。
42.Mastermind
好きな人を手に入れるために画策してきた語り手の話。チェスのように綿密な戦略を練り、ドミノのように計画通りにあなたを手中に収めたことを知ったらあなたはどう思うだろう、と歌っていますが、曲の最後には相手も全てお見通しだったことが判明します。
43.Karma
カルマとは因果応報をもたらす「業」を表す仏教用語ですが、この曲ではテイラーとカルマの蜜月を歌っています。彼女はやましいことのない人生を送ってきたので、カルマは彼女にとってまるで恋人や頬を撫でるそよ風のように素晴らしいもの。一方で、これまで彼女を騙してきた人たちにとってカルマはいつか我が身に跳ね返ってくる悪行であり、彼らはカルマに怯えて生きていかなければいけません。
テイラーの高らかな勝利宣言のような爽快な歌です。
※以上に、毎公演変わるサプライズソング2曲が加わります。日本公演ではどんなサプライズソングが来るか楽しみですねー!
※言うまでもなく、私個人の解釈が含まれる部分も多くあります。解釈の余地が色々ある器の広さもまたテイラーのソングライティングの魅力。それぞれの聴き方で楽しみましょう✌️
※2024.06追記: 日本公演終了後に新アルバムThe Tortured Poets Departmentがリリースされ、6月以降のツアーセットリストは一部変更になっています。ここでは2月時点のセトリを基に書いています。
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