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シングルのわたしが共同親権について思うこと

元夫はモラハラ男だった。
よく飲み、よく食べ、そしていつも誰かに怒っていた。わたしへは、わたしがしたことで直接怒ることはそんなになかった。あったとしても話し合えばいい。悪いことは謝って、納得できないことは突き詰めて、行動や発言への理解ができたらそんなに悪いことにはならない。

わたしへは直接怒らなかったけど、わたしのまわりの人には何かにつけて怒っていた。俺への態度が悪い、なぜ不躾なことばかり言ったり聞いたりしてくるのか、なぜ俺のことを敬わないのか。お前のまわりはおかしい。小さな世界で付き合っているからそれがわからないだけじゃない?と。

「そんな意味で言ってないと思う」「そんな人たちじゃない」。
いくらわたしがそう言っても、それはお前がそう考えるだけで、おれはそうは思わない。なぜわからない?なぜお前は俺を庇わない?俺はそう言われた!お前はずっと横にいたのか?聞いてなかっただけだろう!
大声で恫喝されて、壁を殴ったり、大型家具を壊したりする。

まて、まて。そんなに怒ることって人生である?
わたしはいつも気持ちが引いてしまって、側から見たら何にも動じない強い女のようになっていたと思う。どんどんヒートアップする元夫と、冷たく見下すわたしとの間にゴールの糸口は見えない。

「そんな意味で言わない。言うわけがない」というと、じゃあ俺が嘘をついてうるというのか?俺の前に連れてこい。土下座したら話を聞いてやると言われる。
「なにを言っているの?そこまでのこと?」と言うと、おれが酷いことを言われるのがその程度だとお前は感じるのか?おれのことをなめているのか?
「土下座なんてそんなこと誰にもしてほしくないし、されている夫を見たくもない」そう言うと、俺のいうことの方が正しいから、認めなくてできないだけだろ、と言われる。

本当に意味がわからなかった。みんなで楽しく仲良くしたいだけなのに、いつもいつでもバッドエンド。
ふたりでいたら楽しいことだってあるのに、だれかと会わせるとだいだいいつもこんな感じだった。

ああ、思い出すとしんどい。まだ心がざわつく。もう離婚して何年もたってるし、そのあと元夫は亡くなったのに。そう、元夫は亡くなっているのに。

共同親権のこと

最近、ニュースで共同親権のことが流れる。
離婚したあとでも子どものことを決めるときに、元配偶者の意見を聞かないと進められないというやつだ。大きな命にかかわる病気ならまだしも、パスポートを取ったり、住む場所も対象になるらしい。

極力連絡はとりたくない

いまは彼女と幸せで毎日ほかほか暮らしているのに、別れて何年もたつ死んだ元夫のことをことを思い出すだけで心が苦しいのがモラハラだ。

怒号を受けているときは動じなかったわたしの心は、別居してからガチガチに凍っていた氷が少しづつ溶けるように柔らかくなっていった。そしてそのときに初めて自分があのときすごく怖かったのだと知った。急に涙が出て、身体が震える日が続いた。いまでも書いているだけで冷や汗が出る。死んでいるのに。それがモラハラだ。

共同親権なんかなくても、こどものことで連絡をとりあえる元夫婦もいる。でもわたしは極力連絡はとりたくなかった。いつも「おれは子どもがいなくなってつらい。お前はおれがいなくて幸せだろうね」「家族がいなくなって活力が湧かない」と恨み言しか言わなかったから。
全部お前が招いた結果だ!自分で頑張れよ!と今なら思うけど、わたしだってこどもがいなくなったらそうなるだろうなと同情したり、わたしが悪いのかなと申し訳なくなったりしてしんどかった。連絡をとる前後は震えたり、涙が急にとまらなくなったりするのは亡くなるまで続いた。

子どものためには、今でも生きていてほしかったと思っている。
もっと自分を大切にしっかり栄養を取ってちゃんと生活をしてほしい。子どももお父さんのこと心配していたよ。伝えたらよかった言葉を探してしまう。

でも正直、わたしのためだけなら。書かないけどそういうことだ。
それがモラハラだ。
共同親権はしんどい。






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