見出し画像

未経験者にAgileを教えた話 プロローグ

転職した会社がファンキーすぎた

最近、ITとは縁遠い業界の、とある伝統的大手企業のIT部門に転職した。決め手は、面接で会った人たちがことごとく会社のイメージを覆し、「あぁ伝統的な会社なのにこんな先進的な考え方の人がいるんだ、こんなおもしろいプロジェクトが始まるんだ」と思ったことだった。

入社して知ったが、たまたま私の面接をした人たちが特殊だった。全体的には、部門長の言葉を借りれば Traditional OYAJI way of technology を推進する部門だった。騙された。

しかし、いくつもの新しいプロジェクトを開始するにあたり部門長はこれまでのやり方に危機感を持っていて、役員を説得し、採用する人材の方向性を急激に変えたのだった。そうして入社したのが私だった。

変革は採用だけにとどまらなかった。彼は無邪気に「全部アジャイルにシフトするよー」と部門全体に言ったらしい。勤続30年とかのOYAJI達に、いきなり。私が入社する直前の出来事である。

チームの状況

部門長と、私の上司である部長はがっつりアジャイル経験者。それ以外のメンバーは、一部を除き、アジャイルに関する経験はあまりなさそう。

入社時に「既にアジャイルで進めているプロダクトを担当してもらう」と言われていたものの、実際のところ引き継ぎを受けてみると「思ってたんと違ーう!」という状態。これには私も、アジャイルとは何ぞやと1日悩んだ。

未経験者達の知識はというと、「ウォーターフォールとは違う何かで、スプリントっていうのがあって、結構な頻度で関係者にレビューしてもらう機会を持つやり方」ぐらいの認識をされていた印象。

ただし、一部のメンバーに関しては、私の上司によって、デイリーのスタンドアップミーティングが定着していた。(ちなみに上司も私の直前に同じような感じで入社していて、入社わずか3日目に私の採用面接を担当するという苦行を経験している。)

よかったのは、アジャイルの導入に対して明確にネガティブな態度をとる人がいないことだった。多くの人にとって海の物とも山の物ともつかぬものであるにもかかわらず、部門全体として素直に受け入れようというマインドがあるように見受けられた。

最初に教えるべきは何か

ある日、部門長は私に「時間ができたら、チームにアジャイルについてのレクチャーをしてほしい」と言った。

ユーザーストーリーとかエピックについて説明してほしい」と。

私は瞬時に心の中で猛烈にツッコミを入れていた。「スタートポイントにしてはハードル高すぎやろ!」と。

私は、周囲のメンバーとの会話から、

なぜ我々はアジャイルにシフトするのか?

これに対する理解が不足しているのではないかと思うに至った。

「そういう方針になったから」という心の声が各所から聞こえたが、なぜそういう方針になったのかまで咀嚼しないと必ずどこかで行き詰まる。
新しいやり方を導入しても、自分が正しいと信じた道だからやるんだ、と各々が思わない限り続かない。

・普段の仕事で困りがちなのはこういう部分である。
・アジャイルにはこういう特徴がある。

ワークショップを通じて上記の2点を感じてもらうことで、

アジャイルがもしかしたら今ある課題の解決に役立つかもしれないと感じる
→なぜアジャイルにシフトする必要があるのかを自分なりに噛み砕く

ということができる状態を目指そう、と決めた。

次回につづく

ありがとうございます。いただいたサポートは、脳の栄養補給のため甘いお菓子となり、次の創作に役立つ予定です。