紙片の、おそらくは、ほんの一部
卵を割った。右手に、糸くずのようなものが付いていた。ぼんやりした頭で、そうか、鶏の羽か、と思う。糸くずと同じように捨てた。
思い出せなかったことを、思い出した。
「あたたかい飲みものは、やさしい仲間」じゃない。
「あたたかさは、やさしい仲間」じゃない。
村上春樹の『1973年のピンボール』にあったくだり。カバーの折り返しを、その頁に挟んでいた。ぼくは、『螢』だと思っていたけど、違ったみたいだ。
隣の市に行こうと思った。新しくできたコーヒー屋に。切符を買った直後に、一駅先