隣のPW第90回未使用部分・あの二人の描写比較

https://article.hareruyamtg.com/article/34116/

この回では主に灯争大戦前日談で明かされたラル・ザレックの過去や何やらを紹介し、またトミクについて「同じ場面を小説版で読むとラルとの関係がさらによくわかるようになっています」と書きました。そして具体的にどの場面を紹介するかについては幾つか候補があったのですが、あまり長くなりすぎるのもな、と思って使用しなかったものがこちらです。

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トミクとラルは小説版を読むとウェブ版よりずっと親密な描写がされていることがわかるんですよ。こんな具合に。

Magic Story『灯争大戦』ウェブ連載版第5話(https://mtg-jp.com/reading/ur/WAR/0032589/)より引用

 ザレック様が睨み付けると、ヴラスカ女王が進み出て、来たる何かへと身構えた。けどヴラスカ女王が口を開くよりも早く、別の声が届いた。「ここにおられます」
 え? どういうこと? ヒカラ?!
 入口へ振り返ると、トミク・ヴロナ氏が、一体のオルゾフのスラルを連れていた。それは布に包まれた屍を運んでいた。
 いや、嫌、そんな、そんなこと、やめて……どうして私にそんなことするの?
 ヴロナ氏はスラルに止まるよう合図をした。そして屍の顔を露わにした。ヒカラの顔を。「ヒカラ殿を、然るべき人々の所へお返し致します」
 私はヒカラの隣へ走った。スラルは大きくて、だからヒカラの姿を見て青白い頬にキスするために、爪先立ちしないといけなかった。本物だった。正直、いいことなのか悪いことなのか、わからなかった。
 イクサヴァ様は短気に咳払いをした、「その剃刀魔女を私の足元へ」

同場面・『灯争大戦』小説版(「War of the Spark: Ravnica」チャプター46より訳)

 ラルが睨みつけると、ヴラスカは進み出て来たるものへと身構えた。だが彼女が口を開くよりも先に、別の声が届いた。「ここにおられます」
 全員が入り口を振り返った。トミク・ヴロナが、オルゾフのスラルを一体連れていた。それは布に包まれた屍を運んでいた。合図をしてスラルを止めると、トミクは屍の顔を露わにした。「ヒカラ殿を、然るべき人々の所へお返し致します」
 全員が、ラルがトミクの所へと急ぐのを見た。だがケイヤとテヨだけは、ラットがヒカラのもとへ駆け寄る様を。彼女は爪先立ちになって友の姿を見ると、青白い頬に口付けをした。
 ラルはトミクへの口付けを寸前で思い留まったが、明らかにそうしたかったことをケイヤはわかっていた。
 そこでようやく、イクサヴァが短気に咳払いをした。全員の目が向けられた。「その剃刀魔女を私の足元へ」

同回続き・ウェブ連載版より引用

 ヴロナ氏がザレック様へと話していた。「ラルさんにはラルさんの責務がありましたから。私には私の、です」
 ザレック様が見つめた。「何をしてたんだ、具体的には?」

同場面・小説版

 そしてラルはトミクの両肩を掴み、不機嫌に言った。「ずっと探してたんだぞ!」
 トミクはパートナーへと微笑み、そしてラルの額へと自らのそれを寄せた。数呼吸の間、二人はそのまま立っていた。そしてトミクは離れ、肩をすくめた。「ラルさんにはラルさんの責務がありましたから。私には私の、です」
 ラルは一歩下がった。「何をしてたんだ、具体的には?」

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灯争大戦ストーリーはウェブ版と小説版で二度美味しい。同じ場面でも語り手が異なるため、印象がだいぶ違うものになっています。むしろこの二人の本領発揮は前日談なのですけどね。記事でも書いたけれど一緒にカレーを食べていたり、お揃いのマグカップがあったり、トミクの方が年下と判明したり(=つまりトミクはあの外見で実はお爺さんとかそういうことはなかった、オルゾフ組の富裕層の外見年齢は信用ならないため。テイサ様は112歳)、テイサとケイヤとの板挟みになってピンチに陥るトミクをラルが救い出したり、魔法の相合傘で雨の中を歩いたり。いつか紹介する機会あるかなあ。