一日一句【菜根譚】#82 『一時の孤独と永遠の孤独』:観物外之物、思身后之身
意味
**「観物外之物、思身后之身」**とは、中国の古典『菜根譚』にある言葉です。現代語訳では、「世俗を超えた価値あるものを見つめ、死後の名声を思いなさい」となります。
この言葉は、人生における価値観と生き方について深く考えさせてくれます。
世俗を超えた価値あるものとは、目先の利益や名誉ではなく、真の徳や道義、そして永遠に残る名声などのことを指します。
死後の名声とは、自分がこの世を去った後も、人々に良い思い出として記憶に残ることです。
一時の孤独とは、世の中の流れに逆らったり、自分の信念を貫いたりすることで、周囲から理解されず、孤立してしまうことを指します。
永遠の孤独とは、権力やお金にしがみつき、真の徳や道義をないがしろにすることで、人々から見捨てられ、心の中に深い孤独を抱えることを指します。
この言葉は、私たちにこう訴えているのです。
目先の利益や名誉に惑わされず、真の徳や道義を貫くことで、たとえ一時の孤独を味わっても、死後までも人々に敬われるような生き方を選ぼう。
一時の孤独と永遠の不名誉
現代社会は、目に見える結果や評価を重視する風潮が強くなっています。そのため、人々は周囲の目を気にして、自分の信念や価値観を貫き通すことが難しくなっていると感じることがあります。
しかし、**「観物外之物、思身后之身」**という言葉は、そのような風潮に惑わされることなく、自分の生き方を貫くことの大切さを説いています。
確かに、自分の信念を貫き通すことは、周囲の人々から理解を得られなかったり、孤独を感じたりすることがあるかもしれません。しかし、そのような一時の孤独は、永遠の不名誉と比べれば取るに足らないものです。
真の成功とは、目先の利益や名誉ではなく、自分の信じる道を貫き、後世に名を残すことです。
自分の生き方を貫くためのヒント
では、自分の生き方を貫くためには、どのようなことが大切なのでしょうか?
自分の価値観を明確にする
まず、自分が何を大切にし、どのような人生を送りたいのかを明確にすることが重要です。自分の価値観を明確にすることで、周囲の意見に流されることなく、自分の判断基準を持つことができます。
勇気を持つ
自分の信念を貫くためには、勇気が必要です。周囲の目を気にして、自分の意見を言えなかったり、行動できなかったりすることがないようにしましょう。
周りの理解を得る
自分の生き方を周囲に理解してもらうことも大切です。そのためには、自分の考えや思いを積極的に伝えることが重要です。
**「観物外之物、思身后之身」**という言葉は、現代社会を生きる私たちにとって、大切な指針となる言葉です。
この言葉を胸に、自分の生き方を貫き、真の成功を収めたいものです。
屈原と韓愈: 一時の孤独と永遠の名声
屈原と韓愈は、中国の歴史と文学において重要な役割を果たした人物であり、彼らの孤独な人生は後世に感銘を与え続けています。二人の信念と行動は、一時の孤独を乗り越えて永遠の名声を築いたと言えるでしょう。
屈原は楚国の政治家であり詩人でした。彼は国の腐敗に心を痛め、政治改革を訴えましたが、理解されずに流刑に処されてしまいます。その後、汨羅江(べきらこう)に身を投げて命を絶ちますが、彼の詩や政治思想は後世に高く評価され、中国文学史上屈指の偉人として記憶されています。
韓愈は唐代の文人であり、儒学者でもありました。彼は仏教や道教を批判し、儒教の復興を訴えましたが、その思想は保守派の反発を受け、左遷されることが多かったです。しかし、彼の文章や詩は後世に影響を与え、中国文学の伝統を守る重要な存在となりました。
**「観物外之物、思身后之身」**という言葉は、物事を客観的に見つめ、自分の信念を貫くことを意味します。屈原と韓愈は、まさにこの言葉を体現した人物と言えるでしょう。
**彼らは、目先の利益や名誉に惑わされることなく、真の徳や道義を貫くことを選びました。**その結果、一時の孤独を味わいましたが、死後までも人々に敬われるような生き方を実現したのです。
現代社会においても、「観物外之物、思身后之身」という言葉は、私たちに大切な指針を与えてくれます。
流行や世間に流されることなく、自分の信じる道を貫き、真の徳や道義を磨くことで、たとえ孤独を感じることがあっても、死後までも人々に敬われるような人生を送ることができるでしょう。
屈原と韓愈の生き方は、私たちに勇気と希望を与えてくれます。
一日一句【菜根譚】#83 『事無圓滿,處處留余』物事には常に余地を残しておくことが大事
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