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夜8時、フォートナイトで会おうね

すごい時代になったと思った。
こどもの遊び方が進化している。

僕がこどもの頃は「学校終わったら、公園に集合ね!」とか、そんな約束をすることがほとんどだった。でも、今は違う。

「○時に、フォートナイトで会おうね」

なんと!そんな待ち合わせがあるのか。
8歳の息子と友達のやりとりを聞いた時は、思わず「今なんて?」と聞き返した。

フォートナイトというのは、オンラインで出来るゲームのことだ。ダウンロードもプレイも無料。息子はNintendo Switchを使ってやっている。友達とは、同時刻にタイミングを合わせてゲームにログインして一緒に遊ぶ。今の時代、世の中にはそんなゲームであふれている。

もともとフォートナイトを始めたのは僕だ。当時、世の中はコロナ真っ只中。自粛が叫ばれていて外出もロクに出来なかった時に、初めてアカウントを作ってログインした。
その時息子は特に興味を持っておらず、僕が1人でボチボチやるくらい。まさか、こんなゲームの中で待ち合わせするような時が来るとは思ってもみなかった。

実は会社の中にも同じゲームをやっている家族がいる。今日はお互いのこども同士が初めてオンライン上でゲームをする場を設けてみた。言い出したのは、ウチの息子だ。

「フレンドになって、一緒にやってみたい!」

アカウントを教え合って繋がることを「フレンドになる」という。相手の家族の子も、ウチの息子と同じ年齢。昼の休憩時に会社で声をかけてみた。すると、「フレンドの件、こどもに聞いてみますね」と言ってくれた。

そして、会社から帰った夜8時。
両サイドの親とこどもが了承した上で、お互いの家族がフォートナイトにログインした。ゲーム中、こども同士はイヤフォンマイクを付けて会話ができる。

「こんばんはって言いなよ」

隣で僕が言うと、恥ずかしそうに「こんちは」と言う息子。言葉も少なくて、明らかに人見知りしている。

まぁ、そりゃそうだ。

僕は相手の親を知っているし、向こうも僕のことを知っている。でも、こども同士は初めての交流。顔も知らない2人なのだ。

8歳同士が言葉少ないながらも一緒にゲームをしている。デュオと呼ばれるモードで、2人で一緒にバトルフィールドに降り立ち、50組100人の中で1位を目指す。横から眺めてみるが、2人での連携は上手そうだ。

そうか、これなら言葉はいらないのか。

同じ目的に向かっての共闘。相手をサポートしたり、相手からサポートされたり。顔を知らなくても、言葉を使わなくても、相手の人となりがそれとなく分かる。

なるほど。これは面白いかも。

いつのまにか、2人での連携はピタッとハマり、初回でいきなり100人中の1位を獲得した。

「すげー…」

隣で思わず漏れた声に、息子がニコリと笑う。これで2人は知り合いになれたわけだ。お互いにまだ顔は知らないが、今度実際に会うことがあれば「あの時の!」となることは間違いない。少なくとも、1回ゲームを一緒にやったことで心の距離は近付いたはず。

「すごく嬉しそうでした。敬語で喋ってて緊張してたみたいです」

ゲーム後に相手の親からLINEが届いた。僕らの時代には考えられなかった出会い方、遊び方だ。
もちろんリスクもあるが、そこは管理しながらメリットをうまく活用できるといいなぁと思った。

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