低電力モードの夜

畳にゴロンと仰向けに寝転がると、天井の照明が目に障った。いっそのこと消してしまおうかと、周りを軽く見渡したがリモコンが見つからなかった。諦めて自分の腕で目を覆う。

ふーっと深呼吸をすると、そのまま身体が畳の中に沈んでいくような感覚を覚えた。水中で息を吐ききった身体が水底へゆっくりと落ちていくような感じ。

「ちょっと横になろう」くらいの感覚だったが、気が付けば何もせずに40分近く時間が経っていた。

「布団、敷こうか?」

見かねた家族から声をかけられた。

「あぁ、いや大丈夫…なような」

自分でもよく分からないが、とりあえず動きたくない。
ただ、主だって体調が悪いわけではない。
晩御飯のちらし寿司は美味しかったし、少し熱めのお風呂も気持ちよかった。

「父ちゃん、大丈夫?」

6歳の息子からも心配される始末。

これはいけない。
ようやくむくりと起き上がり、息子の話に耳を傾ける。Nintendo Switchのマインクラフトというゲームで、新たな建造物が作れるようになったらしい。作り方をレクチャーしてくれる。

おぉ、すごいねぇ。
そんな感想を述べながらも、何だか自分の中の充電が切れかかっているのが分かる。いわば低電力エネモード。

あぁ、今日はもう寝よう。
気が付けば、さっきの部屋に布団も敷かれている。

今度はうつ伏せで布団の上に寝転がってみる。  
肌にあたるシーツは冷んやりとしていた。
今日は終日雨だったせいか、夜は少し肌寒い。

リラックスするには、これくらいがちょうど良い。
そう思いながら、部屋の電気を消した。

家族の誰よりも早いのが少し忍びないが、今日は閉店。


おやすみなさい。


(note更新195日目)

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