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あのころ〜31歳、親友〜

朝まで男の子たちと渋谷のカラオケで散々騒いで、ガラガラになった喉とタプタプの胃に、明け方になるとなぜだか食べたくなる富士そばを無理やり流し込む。

これは、決して学生時代の話ではなくて、30歳をすぎて彼氏なしの年増女子2人のよくある週末の風景だった。

いつだって疲れてた。

この日も始発が動き出す渋谷の街には、ゴミのように女の子が転がっていて、それを持ち帰ろうとするゴミみたいな男の子がいて、それを横目でチラリと見ては、汚いところだなと思ってた。

自分も大して変わらないのに、自分は違うと思っていた。

毎日仕事しかしていない。

結婚したいけど彼もいないし、いい寄ってくる男は、大体くずだった。

もちろん例外もいたのだけれど、私が自分に自信がなさすぎて、表面ズラだけはいいくずに惹かれ、今でもたまに思い出すほどのトラウマを残す恋愛をした。もちろんうまく行くわけなく、短い恋愛だったわけだが、さらに自信をなくして自分を見失った。

“こんなはずじゃなかったのに”。

いつから道を踏み外しちゃったのだろう。

20代の頃は、なりたかった職業に就けて、仕事ができることで幸せいっぱいだったのに、気がついたら、まさに行き遅れ状態。

先の見えない不安に押しつぶされそうになる。

そんな30代女子2人が集まると、大抵いい話にはならないものだ。

だけれど、いつだって彼女は味方だった。

辛いときは一緒に泣く明かし、忘れたいときにはとことんカラオケに付き合う、考えたくないときには朝までLINE電話。嬉しいときは、あんまりなかったような、気がする。

ただ、いつもそばにいてくれる親友の存在があるだけで、あのころの私は救われていた。

それから4〜5年。私達は、ぐだぐだ愚痴をこぼしながら、もがきながら、正解がわからないながらも、とにかく動いた。行動した。

そして、今、お互いに結婚をした。まったく想像もしていなかった出逢いを経て、素敵な旦那様と幸せに暮らしている。

親友とは昔とは違う距離にいることは少し寂しくもあるけれど、お互いが望んでいた幸せを手に入れた。

あのころがあったからそこ、今の幸せが当たり前ではないとわかる。

私の“あのころ”と親友に感謝したいと、ふと、窓から差し込む秋の西日を見て思った。

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