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電子書籍と紙書籍の違い

電子書籍紙書籍では、作る際に、
最初からコンセプトや作り方が違います。

紙書籍は大体が電子書籍として売られていたりしますが、
電子書籍は必ずしも紙書籍になるとは限りません。
つまり、電子のみで売られている作品も多くあります。

電子のみで売る作品と、紙&電子で売る作品
編集者の中では、それは明確に違いがあります。

まずは、電子書籍は簡単ですよね。
個人でもkindle出版できてしまうくらいなので、
印刷する手間もないし、各書店への物流もない

ですので、気軽に作れる、というのが電子オンリーの利点です。
また、電子書籍は本来、大長編の読み応えのある作品を
読むのにはあまり向いていません。
まぁ、それを読む方もいるとは思いますが…。

電子書籍として好まれるのは、読みやすくて短い作品
そして値段もそこまで高くないもの。
インパクト優先で、キャッチ―でさらっと読めるもの。

そういった傾向があるので、「電子書籍で大長編を作ろう!」
というのは、あまりないわけです。

さらっと読めるように、なるべく短く
そして読者が好みそうな要素を入れて、
短い分だけお安い値段をつける。

そんな風に電子書籍は作ります
一般でもそうだと思いますが、小説であっても、
「電子オンリー」ということを考えた場合は、
読者の傾向というのを意識して作ります。

例えば作家さんが「電子オンリーであっても、
けっこうな長さの読み応えのある作品を書きたい」、
と言ってきた場合はどうするか。

その場合は、例えば4分割にしてシリーズとして売るとか、
各章ごとに読み切りのような形にしてもらって単体で売るとか、
そういった工夫を施したりします。

一方で、紙書籍というのは、印刷所も関わってくるし、
取次や書店も入ってくるし、在庫というものも考えなくてはなりません。
作りすぎたら赤字になってしまうのが紙書籍です。

ですので、電子ほど気軽ではありません
そんな気軽ではない紙書籍は、やはりちょっと敷居が高め
ということは言えるかもしれません。

編集者のほうでも、それなりにちゃんとした作品を
紙書籍で出したい
という想いがあります。
ですので、作る時にはけっこう時間をかけて
いいものを作ろうと頑張ります。
それに、紙書籍はある程度部数が売れないと
すぐ赤字になってしまいます。
どうしても、電子ほど気軽に簡単には作れない理由があります。

ですので、紙書籍は電子よりも「質が高く」「読み応えがあり」
「読者が満足できる」作品でないと出版できない

そんな側面があります。

このところ何人か「紙書籍の出版がしたい」
という方に出会うことがあったので、
紙と電子の違いをここでもお話ししてみました。

投稿で、なんとかプロになりたい、という方は、
電子オンリーでもいいからたくさん出してファンを獲得したいのか、
出版社で時間はかかっても紙書籍を出すのが夢なのか、
どちらなのかによって、作品の方向性は少し違ってくるかもしれません。

まぁ、時代の流れ的には、確実に電子書籍のほうに
傾いてはいるのですが……。
やはりいまだに紙書籍というのは権威を持っていますよね。
そして、電子オンリーの作家さんより、紙書籍を出したことのある
作家さんのほうが、優位
であることは事実です。

紙書籍を目指す方は、電子的な考え方だけではダメで、
編集者や出版社が満足するような「読み応え」
「細部まで行き届いた質の高さ」

が、まずは必要になってくると思います。
読者が満足するような、ではなく、
まずは編集者が満足しないと出版できない
というところがポイントですね。

もちろん、最近は電子的な作品
(とっても短くてこれ小説?みたいな作品を
寄せ集めて表紙絵で売ってるもの…笑)
紙書籍化する、という流れもあるにはありますが。

そういう「企画もの」的な小説もありますが、
紙書籍の小説はやはり、「昔ながらの」「じっくりと練り上げた」
作品を出していきたい、数年後も売れる作品にしたい、
というのが編集者の本音です。

電子書籍が隆盛を極めている今だからこそ、
基本に立ち返って、重厚な小説を極めてみる……
それも贅沢な話かもしれませんね。


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