見出し画像

「子持ち様」という言葉を吐かせる日本社会に暗澹とした気持ちになる。 

こんにちは、aicafeです。
40代、人生時計で14:00頃に差し掛かったところです。
これからの人生の午後の時間の過ごし方を模索中です。

最近、メディアで「子持ち様」というワードをよく目にするようになりました。

最初目にしたときは「まさか」と思いましたが、残念ながら、子育てをしている同僚のことを指す嫌味を含んだ呼び方のことでした。


「お局様」に続く、職場での蔑称が増えた、というところでしょうか。
元々は「子育てを理由に不当な要求をしたり、周囲への配慮を欠いたりする一部の人々への揶揄」として生まれたネットスラングだそうです。

以下の方のnoteは、その事がとてもフラットに書かれていて、共感しました。

「子育て社員」とそうでない社員との対立は今に始まったことではないので、こうした歪みがあることには驚きません。
社会人なのだから、休む側は周囲への配慮と礼儀は守る子を盾に権利を振りかざすなんて言語道断。これは大前提

しかし記事を読んで、ただのそのこと以上の衝撃を受けました。
この呼び名の響きには、残酷さがあります。

誰かが休めば穴が空き、休んでいない誰かがそれを埋める必要が生まれ、それに偏りがあれば不公平感が生まれます。
多様な生き方が認められる時代ゆえに「お互い様」とも言い切れない以上、穴埋めした側には補償があって然るべし。そもそも仕事を属人化せず仕組みで対応する工夫が必要かと思います。
同時に、子育て、介護、治療、そして勿論自らの愉しみのため、理由如何問わず「必要があれば休む」環境づくり、その空気の醸成にも、組織の経営層は取り組むべきです。

わたしはかつて、お子さんのケアや受験などの理由で頻繁に休む同僚のために仕事を穴埋めしていました。純粋に穴が空くことに困っていましたし、報われない虚しさも感じていました。
やがて自分が子を育てるために仕事に穴を開けるようになると、申し訳なさや不甲斐なさから四方八方に謝り続けていました。

どちらの気持ちもわかる。

しかし。
しかしそれを踏まえてもなお、
このワードのパンチ力に圧倒されます。

子育てを理由に不当な要求するような人々は置いておくとして、
このワードを発されたら、多くの子を育てる社員の精神はぶっ壊されてノックアウト続出でしょう。
このワザを繰り出されたら、子育て社員は負けてしまうのです。
だってすごく迷惑かけてるなって自覚があるから。
しかも現役子育て社員の中には少なからず、子育て社員に休まれて困った経験を持つ人もいるので「子持ち様」と言う側の気持ちもわかってしまう。
打ちのめされて立ち上がれません。

この「子持ち様」という言葉は、その幼稚なワーディングのなかに子供地味た「一刺しで殺る」的な残酷さが絶妙に滲み出ています。

このワードを発するのは
まだ若く社会経験の浅い社員であり、
子を持たない社員であり、
かつては子を育てそれを終えた社員かもしれず、
或いは子はいるが育ててこなかった社員なのかもしれません。

現代日本社会は、彼らに、こんな言葉を吐かせてしまうものなのかと、暗澹とした気持ちになるのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?