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汚れた身体を抱きしめて、死ぬまで生きていく。

社会人になりたての頃。まだ家族と一緒に住んでいたいつもの帰り道。知らない男の人に襲われかけた。
舌の感覚、触られた感触。駐車場、生ぬるい梅雨の匂い。嫌なことこそ忘れられなくて、数年経った今でも覚えている。
この手の人は嫌がったらヒートアップするとわかっていたから、頭を使って受け入れるふりをして、隙を見て逃げた。
家を見つけられないように、何度も何度も道を遠回りして走って、自販機で買った水で何度も口をすすいだ。
無事に家についたわたしは、父に遅くに起こすなと殴られた。母はただ泣いていた。次の日は、何事もなく出社をした。無かったことにした。心を殺すのは簡単だった。
その道を通れるようになるまで何年もかかった。
あの時から、自分の中で何かが塗りつぶされたような感覚でいる。

そんな嫌な記憶。癒えてきたと思っていたけれど、バカな私は今度は逃げきれなかった。つい最近のこと。綴るのも見るのも嫌な気持ちになると思うから、ここから書く事が嫌かもと思ったらすぐに閉じてください。


経緯を書いたり、何があったかを書くのも馬鹿らしくて、ただここに残しておきたくてスマホで書き殴ろうと思って書いている。
人を信用してしまったわたしの落ち度だ。情なんて捨てればよかった。酔ったといい動けないと言っていた彼は、ビジネスホテルに入って出ようとした瞬間、本性を剥き出した。そこからのことは、地獄だった。

できるだけ早く自分の家に帰った。骨折した右足が憎かった。久しぶりに走った。治っていない足で走った。雑に扱われた右足は、いつもよりも痛かった。

痛くて痛くて泣き叫んでも終わらない。泣けば泣くほど興奮するらしい。ねっとりした感触も、痛い右足も、口に残る不快感も全部覚えている。
途中ですべて諦めた。そう言う運命なんだと、諦めた。頭の中で「助けて」と叫んだ。助けは来なかった。
満足するまでされたから、帰りたくて帰ろうとしても帰してくれず、脅しをいくつか言われたけど、もうどうでもよかった。わたしの体の動画や写真が世界にばら撒かれたって、どうでもいい。誰かの何かになるんだろうか。

信用している友達に話すと、警察に行けと言う。言ってくれる。
でも、警察が何もしてくれないのをわたしは知っている。現に、ここnoteで記事を書いていたときに、ある方が殺人予告を送ってしまった事でニュースになってしまって、わたしの家にも警察が来た。その時に言われたのは「何かあったら連絡ください」だった。何かある前ではなくて、何かあった後に動くのが警察なんだと、わたしは鼻で笑ってしまった。

その出来事が起こってから、左耳が聞こえなくなった。元々ストレスでメニエールになっているからきっとそうかもしれないけれど、なんだかずっと気持ちが悪い。ジジジジと音が鳴って、めまいがして。好きなバンドの曲を聴くと、ベースだけ明らかに聴こえないみたいな、よくわからない感じ。
いろんなリスクがあったから、婦人科に行って検査をしてもらった。声がうまく出ていなかったみたいで、何度も聞き返された。待合室で「ぐりとぐら」を読んだ。頭に入ってこなかった。

検査は本当に痛くて痛くて泣いて、でも先生は淡々としていた。どう言う状況だったかとか、一切聞かなかった。ただ私の身体を検査してくれた。薬をもらって、電車に乗って帰った。



時に、人身事故という言葉がTwitterでトレンドに入る。
遅刻するとか、なんでこんな日にとか、いろんな言葉でトレンド入りするのを見る。
病院からの帰り道、わたしは気づいたらホームのスレスレにいた。ここからとびおりたらどうなるんだろうという、気持ちしかなかった。
誰が困るとか、全てがどうでもよくて、肉片が飛び散るのかなとか、誰に連絡行くんだろうとか、誰かに迷惑かけるけど死んだらなにもかもなくなるな、それだけだった。
考えてたらタイミングを逃して、わたしは家に帰ってきてしまった。
帰ってきてしまった。

自分が嫌いだ。
ここまで生きていて、自分を好きだと思ったことなどない。なにをしても、何か結果がでても、ずっと自分が嫌いだ。
お前の子供はどうせブスなんだろうなと言われた時、納得した。怒りよりも先に、多分納得した。
家族やコロナのことで病んでしまったときも、あなたが甘えているからいつまでも回復しないと言われて、それも納得をした。
お母さんが頭の血管の手術をしている時にも、休みをもらったのに、パソコンを打って仕事をしていた。
振られるのは当然だ。わたしを好きなんて、頭がおかしい。
大好きな人がいたって、伝えたって、無駄なんだと痛感した。伝えるなんて、しなくてよかった。ヒーローなんて存在しない。好きなんて、愛なんて、意味がない。
何もしない方が楽だ。楽な方が傷つかなくて済む。
一人で生きていけるようになれていたのに、時たま心が粉々になる出来事がおこる。
それでも何かに期待をして、今を生きている。
この経験がいつか何かの役に立つのかはわからない。何かをするための伏線なのかもしれない。
でもいまのわたしには、そこまで考える気力はない。そんなエネルギーはない。復讐をしてやろうと言う気持ちもない。死にたいというよりも消えて、泡になりたい気持ちが多い。とはいえ水の中で死ぬのは悲惨になることを知っているからしない。


ある意味、どうでもよくなった。
世界は腐っていて、わたしもますます汚くなったし、なんならどうでもいい。
もしかしてこれって。好き勝手していいよって、事なのかもしれない。都合よくとらえることにした。
一人でも限界があって、誰も助けてくれないのなら、わたしはわたしを助けるために生きていくのだと思う。
この身体とこの心を抱えてまだ少しだけ生きて、何かを探そうと思う。

いらないものを捨てる。捨てる勇気をだす。
孤独を生きる、傷と向き合う。
今はまだ無理だけれど、わたしはわたしにこんな思いをさせたヤツを永遠に許さない。
永遠に、許さない。

今の気持ちを書き殴ると決めて書いていたら怒りが湧いてきた。
喜怒哀楽が死んでいたのに、腹が立ってきた。
生きている。わたしの心はまだ死んでいない。

本当は、汚くないよって肯定して欲しいだけだ。
本当は、生きていてねって言われたいだけだ。
本当は、好きな人に汚くないって抱きしめて欲しい。汚いから、そんなことは言えない。そしてそれは、無理な話だ。もうわたしは諦めてしまっている。
何もかもが叶わないのならば。
同じ思いをして苦しんでいる女の子を救うことにした。
同じ思いをさせない世の中にするまでだ。
特別な容姿も才能もない。

でも、書くことはできる。

わたしがわたしであるために。
見てろよ。
わたしを怒らせたこと。
今に見てろよ。
わたしは怒っている。
わたしは許さない。
ぐちゃぐちゃなこの心が、いつかの成功の種になると信じて。
いつか誰かを救えるようになれると信じて。

仕方がないから、明日も生きることにした。
今に見てろよ。
可愛くなくても、綺麗でなくてもいい。
格好良く生きていく。

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