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備忘録:アルカンシェルの地理歴史

花組公演「アルカンシェル」。1940年代、ナチス占領下のパリの話です。同時代の作品といえば古くは「リラの壁の囚人たち」や「螺旋のオルフェ」の回想部分、最近だとおだちん(風間柚乃)主演の「LOVE AND ALL THAT JAZZ」。「凱旋門」もだいたい同じ頃だし(正確には1930年代末期)、レジスタンスってドラマチックな題材なのか、宝塚作品にも割と多い気がする。

「アルカンシェル」の終盤、パリが解放されてみんな喜び合う中を武装解除されたドイツ兵が列になって進んでいく・・・このシーン、西洋史専攻的にはお芝居とは別の意味でもたまらんです。だって彼らにはニュルンベルク裁判で裁かれる未来が待ってるんだもの。非ナチ化政策もあるし。撃たれちゃったコンラートまゆぽん(輝月ゆうま)より大変よ。

ひとこちゃん(永久輝せあ)演じるフリッツはパリ着任時には文化統制官だったのに、アルカンシェルでジャズをやらせようとして降格、慰問で捕虜を逃がして更に降格(?)、どんどん軍服の飾りが減っていきます。この話、カフェブレイクでもしてました。
胸元の長方形のバーは略綬またはリボンバーというそうですね。勲章についてるリボンを捩ってセットするものらしい。「フリューゲル」でも東ドイツ側の胸元に細長い何かが付いてるなーと思って、ずっと気になってました。ドイツのしきたりかと思いきや、各国でやっている実用的な階級表示のようで、もちろん日本にもあるらしい。自衛隊とかかしら。

文化統制官時代のフリッツはこのリボンバーを左胸に、鉄十字勲章を首もとに付けていて、ボタンホールにも勲章のリボンをかけてる。
慰問の頃にはリボンバーがなくなり、でも鉄十字勲章と斜めリボンはかけてるのでまだ将校なのかな?最後は首もとの鉄十字もボタンホールのリボンもなくなってます。ただ、フリッツは降格してもなんだか元気そうなんですよね。見てる側にはそれが救い。

この軍服(Model 1936)、ミリタリー界隈ではかなり人気があるそうな。あのグレーっぽいカーキ(フェルトグラウというらしい)にワッペンの黒い台、銀の刺繍。シンプルだけどカッコいいものね。ナチスがやったことを思うと、大声では言いづらいけど。
まぁ、カッコいいものが善いものとは限らないですからね。それだけは心に留めていないといけないですね。。。

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