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『わたしは思い出す』の4つの見所

実在するひとりの女性が綴った11年間の育児日記。
その再読と追憶のことばを記録した書籍『わたしは思い出す』。
本書の刊行に先立ち、5月11日まで先行予約を受付中です。
ここでは本書の見所をご紹介します。
[先行予約の受付は終了しました]
[最終更新=2023年1月1日]

AHA!は、家族アルバムやホームムービーなど、全国各地で「私の記録と記憶」の価値に着目したアーカイブ・プロジェクトを展開してきました。本書は『せんだい3.11メモリアル交流館』での展示をきっかけに制作されました。

1. 〈わたし〉の視点から震災を捉え直す

AHA!は、仙台に暮らすひとりの女性、かおりさん[仮名]と出会います。かおりさんは、2010年6月11日に初めての出産を経験。以来、育児日記を書き続けてきました。彼女は日記になにを綴ったのか。そして、再読して何を思い出し、なにを忘れてしまったのか。この11年の歳月を〈震災〉という大きな主語ではなく、ひとりの女性の語りから捉え直します。

2. 読者一人ひとりの11年を振り返る起点

育児日記に書かれた11年間を振り返るための聞き取りは、のべ31回、編者がまとめたことばは30万字以上におよびました。ひとりの育児者の「口述の生活史」は、一人ひとりの過ごした11年をも振り返る起点となるでしょう。本書は〈わたし〉とその月日を分かち合うための試みです。

3. リフレインする“わたしは思い出す”

出産日、地震の日、新しい家を建てた日、子どもを怒った日。かおりさんが語ったエピソードのうち、毎月11日のエピソードにフォーカスし、“わたしは思い出す”という短いフレーズから始まる断片的な回想として紹介します。

“わたしは思い出す”というフレーズは、個人的で断片的な回想を羅列した、ジョー・ブレイナード『ぼくは覚えている』(白水社、2012)や、ジョルジュ・ペレック『ぼくは思い出す』(水声社、2015)が用いた詩的表現に想を得ています。

4. 小さな記録の誕生日を祝おう

本書は、ホームムービーや家族アルバム、日記、手紙など、“私の記録と記憶”に着目するアーカイブ・プロジェクト「AHA!」の出版レーベル第1弾です。本書のデザインは尾中俊介さん(Calamari Inc.)が担当。文庫本に近い小ぶりな判型ながら、厚みのあるコロっしたサイズは、そっと手元においておきたくなるような存在感です。大切な人や自分自身への贈り物として、小さな記録の価値を“本”というメディアにのせてお届けします。

なぜAHA!が企画したのか、なぜ育児日記なのか、節目の年にどんなことを考えて展示をつくったのか。企画展「わたしは思い出す」ができるまでの経緯は、担当者と企画者の対談でも語られています。


『わたしは思い出す I remember 11 年間の育児日記を再読して』

[仕様]110×160 / 並製 / 832 頁
[企画・編集]AHA![Archive for Human Activities /人類の営みのためのアーカイブ]
[デザイン] 尾中俊介(Calamari Inc.)
[協力]仙台市、せんだい3.11 メモリアル交流館、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
[発行元]remo[NPO 法人記録と表現とメディアのための組織]
[発行日]2023年1月11日
[価格]3,500円(税込)

特設サイト
https://aha.ne.jp/iremember/

『わたしは思い出す』刊行

先行予約、5.11まで受付中。[先行予約の受付は終了しました]
詳細はウェブサイトへ。
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