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インキュベーションプログラムを経て見えてきた、DAOの社会実装の形【前半】

わたしはこの一年半ずっと、『自律分散型組織』としてのDAOに可能性を感じ、その社会実装の実現に向けて全エネルギーを投下しています。

なぜ、わたしがこれほどまでに『DAO』に可能性を感じているのか。
それは、端的に言うと『自律分散型組織(DAO)』という組織形態そのものが、『加速度的に技術が進歩し、一方で社会課題は複雑化して、持続可能性が重視される時代。変化が激しく難易度も高いこれからの時代』において、社会インフラのレベルで必要とされる組織形態だという確信があるからです。

ジェンダーギャップや働き方も含めて、今の日本社会が抱える課題の多くは、高度経済成長期という経済と人口の右肩上がりが約束されていた時代に築かれた社会構造が、そうでなくなった現代においても引き継がれてしまっていていることに起因しています。つまり、我々の価値観や時代の変化に、社会システムのアップデートが追いついておらず、いたるところで不具合が生じているのが現代です。

その社会システムの新しいOSの、選択肢の一つとなるのが、私はDAOであると考えています。だからこそ、ものすごくDAOに可能性を感じています。(DAOに情熱を傾ける理由として"個人的な想い"もありますが、長くなるのでここでは割愛します笑)

▽背景知識をまとめた動画はこちらです

▽個人的な想いはこちらです

(補足)
ちなみに私がここで言及している『DAO』は、『中央管理者がいない代わりに、パーパスやルールなどが判断基準となり、ひとりひとりが自律的に活動し発展していく組織』のことで、組織論的に言うと、ティールと呼ばれるような進化型の組織形態に分類されるものです。ブロックチェーン技術をマストとしていない点で、web3の世界でよく言われるDAOとは少し定義が異なります。
ただ、私が言及しているDAOも、その特性上、将来的にAI技術やブロックチェーン技術をDAOのインフラとして導入していくことになるとは考えています。

▽ティールについてはこちらをご覧ください。


そして、この『DAO』が『社会システムのOS』として機能するためには、そのなかで"人"と"経済"が循環し、"価値の共創"が行われる必要があります。

だからこそ、わたしがこだわっているのがDAOを基盤とした事業作りであり、DAOの社会実装です。

ただ、こういった構想を思いつくだけであれば、誰でもできます。とくに「今の社会構造が現代に合っていないよね、DAOのような働き方ができたら"理想"だよね」と言う話は理解してもらえることが多いです。
つまり、一番難しいところは、その仮説やアイデアを"理想論"や"机上の空論"で終わらせず、現実社会で『実現』するというところです。

この一年半、ひと妻DAOのメンバーや、事業チームのたふさんるいさん、そしてマルセロさんとともに、『どうすればDAOを社会実装できるか』ということをずっと、脇目もふらず、仮説検証を繰り返しながら考えてきました。

そのなかで『DAOの内側の仕組み(多彩な個人が自分らしく社会と繋がり価値を発揮していくための仕組み)』はある程度みえてきたのですが、やはり、ずっと難しかったのが『DAOの外側の仕組み(DAOから生まれる価値をサービスとして既存社会に提供することで、DAOと既存社会との接点を作り、DAOの中の経済を回していく仕組み)』をつくること。

進むべき方向は分かってたものの、そこに至るための『突破口』が見えず苦しんでいた時に、ちょうど巡り合ったのが、今回お世話になった『ナミエシンカ』さんのインキュベーションプログラムです。

インキュベーションプログラムとは、新たなビジネスを立ち上げる起業家やスタートアップ企業などを対象に、リソースの提供を通じたサポートを包括的に行うためのプログラムです。(東大IPCより引用)


実は、いままで、スタートアップ向けのプログラムを利用することはあまり考えておらず、情報収集もほとんどしていませんでした。
理由は、この事業の特性上、スタートアップ的な動きをしようと思うとコンフリクトが生じるであろうことは感じており、また、そもそも私自身も家庭の事情でスタートアップ的な動きがしづらいという背景があるからです。

ただ、本当に偶然に、プログラム応募締め切りの数日前に、ナミエシンカのファウンダーである西野さんから、インキュベーションプログラムのお話を伺う機会があり「ここならきっと。突破口を見つけられずにいる今の私に欠けているなにかが得られるはず。」という直感を強く感じて、ギリギリ滑り込みで申し込ませていただきました。

▽インキュベーションプログラムの7月審査時点でのプレゼン資料です。画像をクリックするとスライドが開始されます。

応募多数の厳正なる審査のなかで、採択していただけたときは、本当にびっくりしました。8~10月の三か月の間、私と私の事業に合わせてプログラムをカスタマイズしていただき、また、中井さん、早坂さん、葛山さん、そして西野さん、多くの素晴らしい示唆を与えていただきありがとうございます。


今思い返すと『私に欠けているなにか』というもののひとつは、『抽象的な構想』を『サービス』として具体化するための知識や経験や考え方だったんだと思います。
今回のプログラムでは、本当にそこを鍛えていただきました。

10月に入り、インキュベーションプログラムの終わりである最終報告会が間近りせまり、なかなか良い形が見えず必死に足掻いていたころ…
やっと、これまでの全てが繋がり、『DAOの内側の仕組み(多彩な個人が自分らしく社会と繋がり価値を発揮していくための仕組み)』『DAOの外側の仕組み(DAOから生まれる価値をサービスとして既存社会に提供することで、DAOと既存社会との接点を作り、DAOの中の経済を回していく仕組み)』が繋がるサービスをつくることができました…!

(この間も、事業パートナーであり事業プロデューサーである、マルセロさんとはずっとディスカッションさせてもらっていたので、すべてつながったときは、二人でめちゃくちゃ盛り上がりました^^)

10月下旬に福島県浪江町で行われたインキュベーションプログラムの最終報告会では、このサービスをひとつの成果として発表させていただきました。

今回、一つ、確実に言えるのは、「共創できる仲間や場所や機会が無ければ、ここまで来ることができなかった」ということです。
DAOがあり、DAOメンバーがいて、DAOの応援者がいて。わたしの希望やアイデアを信じ、ずっと共創してきた仲間たちと、知恵と力を授け応援しつづけてくれる事業パートナーがいて。さらにそこに、住友商事さんのミライラボパレットという場と、そこで広がった縁、そして、今回のナミエシンカさんの機会をいただくことで、やっとここまで辿り着けました。

われわれの事業で目指す未来は、「競争」から「共創」の社会への進化です。

共創できる人たちがいて、共創できる場所がある。それが一人の想いや、その人にしか見えない世界を、事業という形で実現させ、社会に大きな価値をうみだすことができるんだ、というのを、今後、この事業で実証していきたいと思っています。


▽後半では、最終報告会で発表したピッチ内容を中心に、そのサービス内容を紹介します



(補足)

▽ナミエシンカさんのインキュベーションプログラムでは、11月30日(木)まで、第二期の募集を行っています。素晴らしいメンター陣のなかで事業アイデアを育てることができます。ご興味あるかたはぜひ!

▽スタートアップについて知りたい方は、こちらの無料公開動画がおすすめです。「スタートアップと新事業創出について、これほど体系的に分かりやすくまとまっている動画はないのでは」と思うほど超有益な動画ですので(浪江町の懐の大きさに感謝です)、本当におすすめです。


東日本大震災から12年。
復興の途中ではありますが、今回訪れた浪江町では、新たな『芽』がどんどん芽生えている場になっているのを肌で感じました。
今回お世話になったナミエシンカさんはもちろん、今後、駅前開発が行われたり、『福島イノベーションイースト構想』の一環であるF-REI(福島国際研究教育機構)が入ったりと、本当に楽しみです。

我々も、このエコシステムで芽生えた『芽』のひとつとして、『花咲く』までもっていきたいと思います。

いただいたサポートは、本を買って、美味しいご飯を食べて、いろんなところに行って、また、明日からのエネルギーにさせていただきます。ありがとうございます。