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持続可能な食コラムVol.1〜農業を始めて2年目の学生が語る農〜


 大学の授業で何度も目にして、耳にする日本の農業の課題。「農業従事者の高齢化」、「後継者不足」、「耕作放棄地の増加」等課題は山積みである。課題の羅列を文字だけで理解するのは、学びが浅く、実際に土を触ることにより農業課題の本質を見れるのではないかと、大学を休学し、耕作放棄地を借りた。

 草刈機も、耕運機も無く、鎌と鍬、スコップで開墾をした。野菜15種、お米も少し、栽培した。地域の未就学児や小学生を呼び、大根の収穫を兼ねた食育を行った。

 授業で述べられていた農業の課題が少しずつ、私の身体を通して頭の中で整理されてきた。暑い日も寒い日も外に身を置き、土と農作物をはじめとする「自然」と対話を重ねている。

 農業・農村の人口流出が進む。景色が綺麗で、山菜が取れて、魚も取れて、動植物も豊かなのに、なぜ人がいなくなるのだろうか。中山間地域での農業はやはり難しいのだろうか。

 私が農業を始めてから、同世代の子がたくさん農地に来てくれる。一緒に汗を流し、土を触り、お昼は野菜を収穫し、パンに挟んでたべる。
 20〜30歳代がほとんどいない集落に家を借りた。週末は友達が遊びにくる。誰か1人、若い人が農村に住むだけで人の往来が増えた。まだまだ農村にチャンスはあるのではないだろうか。

 今、大学で農業政策を勉強している。ボトムアップの農業政策が少しずつ出てきている。農村に住む人が、その町について自ら持続性を考えられる機会だと思う。
 農業産出額を上げるだとか、大規模化するだとか、条件不利な土地に対して平地農業地域と同じような政策をうつことは、少し違う気がする。
 ボトムアップの農業政策は市町村や農業従事者を含めた地域住民に地域の問題を当事者として考えさせ、行政と共に地域計画を立て、地域経済の安定化を図ることができる可能性がある。
 数値目標ではなく、地域計画プランの策定プロセスを意識させるような政策に予算が組み込まれ始めていることに対して、とても興味を持っている。

 欧州のLEADER事業等を比較対象とし、農作物を生産しながら、中山間地域に適する農業政策のことも勉強していこうと思う。

秋田県立大学 保坂君夏

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