ミオリネ関連に対してのお気持ち文


 これは完全な私(20代女、おそらくビアンではなさそうなのに同性の女キャラの方に感情が動きやすい、ガンダムシリーズ未視聴で水星の魔女のみ視聴)の感情だけの無駄に長いお気持ち文になります。note制作に不慣れのためただでさえ読みづらい文が非常に読みづらくなっている可能性があります。感情だけで思うところを書いたら一万字を超えてしまいました。


 非常に長い注意文

  • 客観性が欠けています

  • 百合に対する認識が女性が女性に向ける感情や女性と女性の関係性かつそれが好きで水星の魔女で百合=女性間の恋愛(特にビアン)と認識し直した人間のため、百合(女性と女性の恋愛)が嫌い又は水星の魔女で嫌いになった方はご注意ください

  •  筆者がビアンかは微妙ですが、好きになった女性キャラに対し非常に感情が重くなるあまり、百合作品にあるような感情を向けてしまうことがあるような人間です。こじらせ過ぎて男性キャラには向けた覚えがない、ある種夢(自分やオリジナルキャラが版権キャラと交流や恋愛する)的感情を抱いた経験があります。ちなみにいわゆる百合作品の百合キャラよりも一般作品の女性キャラの方が好みのキャラや言動と感じることが多いです。

  • 女性と女性の恋愛も包括した女性が女性に向ける感情や関係性は今でも好きですが、全ての感情を恋愛感情や性愛としてだけ変換し友情等が強いからこその感情や関係性を無視する百合好きの方、無駄に男性にあたりが強い百合好きの方は苦手です。個人的には男性が存在するからこその女性と女性の関係性や感情に惹かれる部分もあるため、百合に挟まる男への反発等を含めたネタは嫌いです。

  • ただ、比較するならどちらかというと百合文化よりBLやBL文化、BL的消費のされ方に見られる女性キャラ軽視や蔑視の方が苦手度は高いです。

  • 推し・好きなキャラ属性、感情が動きやすい属性として光属性や主人公、信念のあるキャラのため、好感度の高さや個人的な感情の強さや思い入れで言えばスレッタ>プロスペラ、エアリアル=エリクト、地球寮≧4号、シャディク、ガールズ、ソフィ、ノレア≧ミオリネ、グエル、ラウダ、5号、ペトラ、フェルシー、セセリア、ロウジヴァナディーズの面々>デリング、ラジャン、ヴィム、フォルド等大人キャラ、エラン様になります。

  • 好きな描写として、無知ゆえのまっさらさで周囲を変えていくし自分も成長する光属性の主人公、特に女性や、誰かに寄り添ったり苦しみを否定せずにまっすぐな感情をぶつけるキャラ、キャラ類型としてのツンデレ女キャラに対し女キャラが恋愛フィルターが効かないが故に言い過ぎたり駄目なところを咎められたりして棘やこじかたまったものを溶かす等になります。

  • 個人的な趣向として性描写は女性のものの方が好みかつ、女性キャラが性的消費目的だけではなく女性キャラらしさを描くことができると信じているため、女性キャラの性的描写は描写によりますが賛成派です。

  • 女性主人公たるスレッタの物語、女性主人公にすることでの女性の活躍や描写を期待していたため、男性キャラ推しの方、キャラより戦闘や世界観派の方に不快な思いをさせてしまう可能性があります。

  • 期待していたのがスレッタの物語のため、ミオリネや女との恋愛や結婚落ちだから駄目一辺倒ではありません。話や描写、関係性が違ったならばスレッタとミオリネの関係好きとなっていた可能性があります

  • 苦手なものとして、キャラ類型としてツンデレとされる女性キャラ、理不尽に対抗してのとするには攻撃性が高い言い振りの女性キャラの駄目なところを駄目とせずにそのままにする、女性を犠牲にしての男性描写、性的消費目的だけ等雑な女性キャラの描写になります。

 非常に注意文が長くなってしまい大変申し訳ございません。女性キャラや百合(女性が女性に向ける感情や女性と女性の関係性)が好き故に初期スレッタに惹かれ、ミオリネの成長の物語に期待した女と認識していただければ幸いです。

 ミオリネについて

ミオリネの成長とはなんだったのか

 水星の魔女第一話は水星という特殊環境から夢を抱えて家族であるエアリアルと一緒に学園に向かうスレッタが宇宙で漂うミオリネを発見し、近くにいるクルーの注意を聞かずに彼女を助けたはいいものの邪魔されたと怒られるところから始まり、学園に来られたあと授業中のグエルの決闘に巻き込まれ、グエルとミオリネの諍いの停止、ミオリネにエアリアルを無断使用され、エアリアルを取り戻してコックピットにミオリネがいながらにしてホルダーであるグエルに勝利し、ミオリネの花婿になるというあらすじになっています。

 個人的な感想としては後の話との決闘のルールやゆりかごの星という水星時代のスレッタを描いた小説と比べると疑問点が浮かびはしますが、実の父親にモノ扱いをされ続け、周囲に助けてくれる存在がいなかったミオリネが必死の覚悟で脱出しようとしたのを妨げられて怒ること、助けがいないが故に自分一人でなんとかしなければならないと視野狭窄になることの否定はしませんし、成長が期待できる序盤故もあって好ましいものでした。

 アニメ水星の魔女作中ではデリングがなぜヴァナディース虐殺を命じたか、クワイエット・ゼロを計画したか等が十分描かれたとは思えませんでした。デリングの被害者である地球の子供たち(地球寮、シャディク、ガールズ、ソフィ、ノレア、強化人士)やヴァナディース虐殺があったために製造されたスレッタに比べるとミオリネの環境は経済的な面で言えば恵まれてはいます。ですが、経済面で不自由していないからとDV等子供に抑圧をかけることが正当化されてはいけませんし、あなたのためという名目での抑圧への被害者の不満や苦しみを軽視してはなりません。
グエルにも言えますが、デリングがいくらミオリネを思っていようと受け取り手であるミオリネが苦しみ、そして逃げ場がないのであれば虐待と変わりません。
 ミオリネの環境は非力な子供のミオリネをよく批判されがちな口や体での攻撃性、父親と同じダブルスタンダードに歪ませるには十分なものだったと言えます。

 ただ、不遇な目にあってきて歪んでしまったと言っても、歪んでしまう前ではなく、歪んでしまった現在のほうが視界に入れやすいです。
 

同じ最序盤でもミオリネがデリングに抑圧されていること、それによっていっぱいいっぱいで自分以外信用できないことと、救助してもらったりエアリアルの持ち主であり誕生日までの猶予をもたらしてくれるスレッタへの態度が悪いこと、デリングからの伝言を伝えただけでデリングの部下の端末を奪って投げること等は前者を完全優位に見えるのは難しいものです。
スレッタ関係は後述しますが、4話の対4号の言動はミオリネの成長する前の欠点を描写したものと感じました。
 これは4話のチュチュで描かれていましたが、可哀想な目にあったが故に強気でいることと実際に関わる前から先入観を持って決めつけることは近しいですが、後者の価値観をすべて肯定することはできません。ミオリネも可哀想な境遇に甘えずに無為に常時強気で肩肘張りつづけるのではなく、気の強さを気丈さにして不条理には負けず、かと言ってミオリネが加害者になるような無為な頑なさは変化していく。そんな成長を期待していました。

 

実際ミオリネはスレッタのために嫌いだった父に交渉する(2話、3話)、株式会社ガンダムを立ち上げてそのために奔走する(7話〜10話)、スレッタを支配するプロスペラから離すためにプロスペラの策略に乗る(16話)、スレッタの意思を尊重しキャリバーンに乗せる(22話)等自分自分ではなく、スレッタを思っての行動を行うように変化はしました。デリングに本気というより反抗期程度の反発をしていたのが歩み寄れるようにはなりました。デリングだからと嫌うのではなく、利用する考えを持つようにもなりました。(7話)強要だけではなく、デリングの関係者のラジャンやアーシアン代表団、17話のホルダー奪還の時のグエル等にお願いができるようにはなりました。

 ただ私としては、最序盤ミオリネの゙大切なものが自分、母(ノートレット)だけのように観じたため、自分、母、スレッタだけで限定し、それ以外の人間を尊重しないよりは、大切な人間ではなくても決めつけて軽視はしないようなキャラになることを期待していました
 その点で言えば、地球寮との関わりや株式会社ガンダムはミオリネの成長には適切だったと今でも思います。地球寮も学園に来られるだけエリートかつアニメ後半には準スペーシアンと言われても仕方がないもののような描写でしたが、ミオリネの狭い視野を広げることに彼ら彼女らは御三家や決闘委員会よりも適していました。4話でミオリネが御三家は敵と言うように、御三家、正確には彼らの背景にいる大人はミオリネ(の持っている株)を必要とするため、ミオリネからして好感を持つことに忌避的感情が湧き上がってもおかしくはありません。自分の身柄が関わる決闘に関わる決闘委員会もそうであると言えるのに対し、地球寮はミオリネと関わることでのメリットがありません。16話でソフィの起こしたテロによっての地球寮への嫌がらせを止める描写はありましたが、それ以外の点においてミオリネとの交流によって地球寮にメリットがあったかという点では微妙です。これは読み取り不足なだけの可能性もありますが、地球寮の特に孤児よりのチュチュやヌーノ等が企業からの推薦で学園に通えているのであれば株ガン社員になることは推薦企業からの心象を悪くすると言えます。また地球寮は他の寮に比べて資金も乏しいため、モビルスーツでの決闘が関わるミオリネに関わることは今以上に学園のスペーシアンに目をつけられることも考えられます。スレッタにも言えますが、スレッタやミオリネと関わることは地球寮の好意によるものでしかないのです。そのため彼ら彼女らが学園のスペーシアンによって、アーシアンがスペーシアンによって苦しんでいることをミオリネが直面し、変えたいと思い行動するようになるのを期待していました

 ミオリネはデリングやベネリットグループによって苦しむ人間が多数存在するという設定や描写的に可哀想というだけの扱いではなく復讐として石を投げつけられたりひどく苦しい思いをしてもおかしくない立場で生まれ育ちました。
 15話がグエルが男だから描写できた、スレッタやミオリネは女だから無理だったと言われているのを見かけたことはありますが、ベネリットグループの総裁の娘というスペーシアン中のお姫さまがミオリネです。15話グエルのように監禁されるとしても、クエタで人命救助目的とはいえ彼らの仲間であるテロリストを殺したガンダムパイロットのスレッタよりもミオリネのほうが非道な目にあってもおかしくはありません。デリングに対する人質として軟禁されるだけで拷問等は行われない可能性も、悪の親玉デリングの娘として映像ではなく文として描くことも躊躇われるようなむごい扱いをされる可能性もあります。おそらく後者であるのなら作中でノレアがニカに対して行ったものよりもむごく目も当てられないものになってもおかしくないと私は考えています。
 ミオリネはデリングと血がつながった娘である以上、そんな難しい立場から逃れることはできません。元々ミオリネは敵の愛人という設定でしたが、仮に地球から無理やり攫われたとしても自分だけ贅沢をしたとひどい罵りを受けてもおかしくはないですが、現ミオリネはデリングの娘かつ経済的には恵まれています。スペーシアンの子供キャラ、学園に来ることができたアーシアンの子供キャラに言えてしまいますが、学園の平穏で静かな生活、パーティでの恵まれた食料はすべて下でアーシアンの苦しみがあるからと言えてしまいます。家業が軍事産業であるグエル・ラウダ以上に、ベネリットグループの総裁の娘の生活は苦しみの上に成立していると言えるでしょう

 ではミオリネはミオリネとして、デリングの娘として、どうなれば良いと期待していたか。
 私は自分だけでなく周囲を思いやれるようになること、アーシアンとスペーシアンの対立やアーシアンの苦しみをなくすことを期待していました。デリングに反発していたからこそ彼のやり方を否定することもできたと思っています。
 ミオリネはスレッタも地球寮も思いやれてるし、警戒心等故の頑なさで無駄に敵を作らず歩みよれるようになったとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
 詳しくは後述しますが、スレッタもミオリネも恋愛描写、いわゆるカプ煽りによって薄情かつ自分勝手なキャラと受け取られるようになってしまったと思っています。相手がミオリネ、グエル、エランと3人のスレッタに比べれば、ミオリネはまだスレッタとシャディクだけと言えますが、ミオリネがシャディクを恋愛的に思っているかはさておき、スレッタと結ばれるために腐れ縁のシャディクを犠牲にしたと最終話をとらえる方を体感多く感じました。3話で認められて衝動的にプロポーズしたグエルからスレッタ、6話で感動的シーンじみたことを行ったスレッタからエランに比べれば、9話があったとはいえシャディクからミオリネ、ミオリネからシャディクはスレッタの物語やスレッタとミオリネの物語として見ると重要性は高くないのかもしれませんが、ミオリネからシャディクの感情がどういうものであれ私に任せなさいと言ったのに24話でシャディクが牢にいること、スレッタとミオリネがお揃いの指輪物語をしていること、シャディクへの面会の際にミオリネが指輪をしていないと疑われる作画だったこと、シャディクがクワイエット・ゼロの罪を被ったことは、ミオリネはシャディクを犠牲にして自分の幸せな生活を選んだと言われても否定しづらいです。
 これは恋愛ではありませんが、ミオリネからプロスペラへにも言えます。3年後のプロスペラが幸せかはスレッタにも刺さりますが、作中でプロスペラ自身からデリングによって大切な存在を奪われたとミオリネは伝えられます。大切な存在のスレッタを傷つける存在として捉えるなら、そしてデリングの娘である自分はどんな目に遭ってもいいからと捉えるなら、申し訳無さを見せずに大人のことは大人で解決しろと発言することを全面的に否定はできません。スレッタが好きな人間としてスレッタを軽視する存在に対してとだけ考えるならば、プロスペラのスレッタへの扱いに異を唱えることはスレッタが好きな視聴者の私としては肯定したいものでした。
 しかしミオリネは23話でプロスペラに母親なら平等に愛せ等を言い放ちます。スレッタが好きな人間としてだけでも難しいのに、その言い振りはプロスペラが娘、夫、恩師、仲間を失った元凶の娘という意識を感じられませんでした。スレッタが好きだけがミオリネのキャラ性ではなく、デリングの娘も含まれていて、ミオリネがW主人公の一人かヒロインかはさておいてもメインキャラで個人の物語を描く事ができる立場として、ミオリネがデリングの娘であること、デリングによってプロスペラは代替しようのない喪失を経験したことは避けられない事実でした。
 自分以外の他者を尊重するように成長したとするにはミオリネとプロスペラやシャディク等の関わりや葛藤の描写が足りず、愛する人であるスレッタに対してもそう感じたためにミオリネが成長したと肯定するには難しい物語でした。

恋愛描写について


 注意文にも書いたように私は女性が女性に抱く好意を好ましく思うため、こちらの方が好きですがスレッタがミオリネと特別な絆や最上位の関係性というより、恋愛で結ばれること自体に拒絶反応はありません。ただ、前述したように恋愛描写によってスレッタもミオリネも薄情で自分勝手なキャラと受け取られるようになってしまったと考えています。
 加えてスレッタとミオリネの二人が恋愛する、結婚するという落ちが決まっていたにしては過程描写が少なく、いまいちよくわからなかったのが正直な感想になります。
 女性と女性が恋愛や結婚するだけで言えば、アニメだけでミオリネ目線で言えばスレッタ一択じみてはいますが、スレッタ目線ではミオリネのほかにニカやチュチュ、ソフィ、エリクト等候補が複数いると思ってしまいました。
 少女漫画でよくある最悪なファーストコンタクトで頭突き自体のアイディアはともかく、4話のミオリネがスレッタを思っていたからと言っても熱意が強要になる等はミオリネ一択と見るには個人的には難しかったです。不安な中優しくしてくれたのは同じファーストコンタクトでもニカ、寄り添ってくれたのはチュチュやリリッケ、アリヤ、発破をかけてくれたのはミオリネやチュチュ、ペトラ、見て見ぬふりをしていたのを無理やり見させたのはソフィ、ずっと一緒にいたのはエリクト(エアリアル)、大好きで悪い魔女にしたくないのはプロスペラ等スレッタの物語と女性キャラの関わりで言えばミオリネでなくてはならない理由が不思議でした。ミオリネからスレッタへの暴言や暴行と批判される部分が他の女性キャラには存在しないか、ミオリネよりはスレッタの意思を尊重しているように感じたのもあります。
 花婿花嫁といった制度に縛られて最終的に恋愛的に結ばれる男性と女性の恋愛物語は存在しますし、制度に強制されたけど結果的には良かったというのを期待していた部分もありますが、アニメ水星の魔女では花婿花嫁ではなくてもこの人が良いといったものを、複数キャラとの終わらせずに同時進行とも言えてしまう恋愛描写によって読み取ることが難しいものでした。放映当時スレッタが役割に依存しているという説があり、それに影響された部分もおそらくありますが、初対面かつ最悪な出会いで始まった二人が契約によって関係を築いていくというスレッタとミオリネの関係性において関係を築いていくの部分がもっと見たかったと思っています。

 水星の魔女をスレッタとミオリネの恋愛の物語とするなら、個人的には花婿花嫁制度で二人を縛らずとも二人を結びつける方法はあったと考えています。特にプロローグやゆりかごの星でデリングがスレッタの母やエルノラに賠償できないほどの非道を行った、スレッタはいわゆる普通の子供ではないという設定があるのなら、花婿と花嫁親世代の因縁を元に子供世代がどうするかといった物語にして、過去を踏まえて現在や未来をどうするかといった物語もできたと思います。
 特に加害者家族と言えるミオリネは父親たるデリングの扱いによって、自立した強い大人の女性に成長することができたと思います。大人とはなにか、庇護されるべき子供を主人公やメインにすることで避けづらいテーマではありますが、子供はいつか大人になるものとするなら過去の過ちと言えるヴァナディース事変やベネリットグループやスペーシアンが地球に対して行ったものは子供(ミオリネ)の成長に悪い言い方をすれば使えるものと言えます。
 創作の恋愛は好きですが、恋愛描写がその人の成長や魅力を引き出すものであってほしいと思う私としては、レンブランやスペーシアンの悪行とも言える行為はミオリネに集中すればミオリネの長所を描く都合の良いものとも言えました。
 仮に相手がスレッタでもシャディクでも地球に関係するキャラの誰かでも、父の行いによって誕生し苦難を経験した存在に恋をしたという話は葛藤や人間的成長を含めて美味しいものです。デリングをダブスタと言及したのなら、娘であるミオリネは違うと思わせて味方キャラ・善人キャラとして株が上がってほしいものでした。
 

 余談


 初ガンダムかつロボット・SFアニメが非常に久しぶりな身からすると、水星の魔女は設定のルールが難しいものでしたが、初期は学園ものかつスレッタが好ましいのもあって楽しいものでした。
 ガンダムらしさが戦争や差別というならば、さほど興味のなかった私にとって学園設定はとっつきやすかったです。ガンダムシリーズは男性キャラを楽しむコンテンツという偏見を女性主人公にすることで否定されましたが、学園設定にすることでのライトさが硬派イメージの強かったガンダムをSFアニメの一つとして気構えずに見続けるいいきっかけになりました。
 加えてスレッタやエアリアルが秘密があるのも興味深いものでした。スレッタが絶対に負けないのは基本的に何でも読むため、学生スポーツものの大会のようなものと捉えていましたし、キャラロストが少ない学園での決闘だからこそや、エリクトというたぶん普通の4歳児が操れる不思議な機械等が好ましかったです。
 パーメットの謎、あのプロローグでどうやってエルノラがスレッタを作り、デリングと手を組んだか、シャディクや4号はなぜ等終わってみれば謎は多いのですが、久しぶりにワクワクしたのは事実でした。

 設定の謎


 ミオリネ関連から多少離れる箇所もありますが、ミオリネ関連でいくつか設定に謎を未だに持ち続ける箇所があります。

 一つは決闘について。ミオリネが17の誕生日を迎えた時の花婿と結婚する、それ以前はミオリネをかけた決闘で勝利したものがホルダーとなり彼女の婚約者となる。は共通でしたが、作中で描かれた中でも第一話だけは特殊ルール下のように感じました。第一話を除外するとしても、ミオリネは地球逃亡を計画するのなら、花嫁自身がホルダーになることができないルールだったのか、アニメ開始前にアニメ本編のように弾除けを用意しなかったかは疑問です。ノベライズ版で地球逃亡の際、大切にしていた温室やトマトはどうするかの答えは出されましたが、決闘のルールに疑問を感じます。

 次に婚約やクワイエット・ゼロについて。15話でミオリネを守るためと明かされましたが、ミオリネの誕生日前にクワイエット・ゼロが発動するにしても決闘で勝利し続ける事のできるホルダーやミオリネに株という装備を持たせることで決闘に興味を持つパイロットや企業がミオリネの身の安全を保証するとは限らないと思います。ミオリネを思うなら株という副産物を持たせての婚約はデリングがミオリネを思っていたことになるのでしょうか。
 またミオリネ自身アニメのように弾除けを用意して誕生日を迎えたあと影武者等を立てて地球に逃亡し、平穏に暮らすことも彼女の頭では考えることもできたのではないでしょうか。最序盤はホルダーのグエルがヴィムの言いなりで自由に過ごすことができなくともそういう交渉をホルダーに行い、誕生日という期限が来るまでは波風立てず目立たずに過ごすという計画を頭脳明晰な彼女ならば練れたのではないでしょうか。

 そしてノートレットについて。結局デリングが葬式に来なかった理由は謎のままでしたが、ミオリネがアーシアンとスペーシアンのハーフかつミオリネの母の故郷が地球ならば、クワイエット・ゼロをアーシアンの彼女が考案し、スペーシアン軍人のデリングと知り合い、デリングが目的があったとはいえ同胞とも言えるアーシアンのヴァナディースを虐殺したのにミオリネを作ったのか、なぜ解除コードをトマトに残したのかは疑問です。地球寮で言うリリッケやオジェロといったアーシアンの中でも上級にあたる存在ならば、軍人だったデリングと知り合うことや結ばれることは想定がしやすいですが、植物の生存戦略でパーメットの乗っ取りを行うのがノートレット原案のクワイエット・ゼロなら、なぜそう考えたか等の掘り下げが欲しかったです。仮にアーシアンとスペーシアンの対立を嫌悪した故なら、アーシアンの組織であるヴァナディース虐殺を指示したデリングと子を成すことに忌避感情はなかったのか。また私は文系で専門外のため詳しくはないのですが、トマトに解除コードを仕込むことで将来のミオリネに託すとしても変質する恐れを考慮しなかったのかは疑問に思います。

 最後にミオリネと地球やアーシアンについて。序盤で母の故郷の地球に行くと宣言し、後に医療方面に変更するも8話で株ガンが売れるためにガンダムの兵器利用を地球寮に進言、15話でデリングが地球に戦争シェアリングを導入していることに驚いた様子を見せない、総裁になるために総裁選で地球に降りて代表団と交渉等を通して考えると、序盤ミオリネはデリングやスペーシアンが地球を貪っているのに何度も地球に逃亡しようとしたこと、地球がガンダムの兵器利用で血に塗れようと構わない人間性だったとも言えてしまいます。これは15話cパートという限られた時間でデリングがなぜクワイエット・ゼロに携わるのか等重要な情報があったために埋もれてしまったためかもしれませんが、母の故郷かつ自身の逃亡先なら平和であってほしいと思うのが、個人的価値観にしてもミオリネのアーシアンとスペーシアンのハーフという設定と合わせると不思議なほどに地球に関心がないように思えてしまいました。
 ミオリネが孤立していたのがデリングの関与するものだけでなく、アーシアンとの混血故に虐げられたのなら地球やアーシアンを嫌っても仕方がなく、絶対地球に行くとするなら地球に住まうアーシアンに対し何らかの感情があってもおかしくないと思います。仮に地球は母の故郷だから以外の感情がないにしても、アーシアンである地球寮との関わりはミオリネに何ら影響をもたらさなかったのでしょうか。
 ミオリネはアーシアンの代表団との交渉の際、パートナーはアーシアンと宣言し、ガンド機器の兵器ではない活用を進言していました。それを影響とするなら、エアリアルをスレッタから引き剥がし、エアリアルにプロスペラを搭乗させたことによってクインハーバーの悲劇が起こり、地球が血の海に染まったことに対して描写が少ないため後始末をどうすると彼女が考えているのかよくわかりませんでした。3年後に株ガン社長として飛び回っているのはわかりますが、ミオリネの視点では微妙にしても地球の魔女やシャディク達のようなアーシアンがスペーシアンに搾取され続ける構造を短い総裁期間に変えたとは思えませんでした。クインハーバーの時自分のせいだと閉じこもることを心情として否定はしませんが、ミオリネの考えを知らないアーシアンにとってミオリネは敵にままならないのではないでしょうか。

 これはミオリネ関連の疑問点からは少し外れますが、地球をスペーシアンが搾取する構造やスペーシアンの下にアーシアンが存在する構造の改革を期待できる未来とは思えませんでした。
 ミオリネの大切なものが仮にスレッタだけとしてもミオリネにとってアーシアンはビジネスパートナーとしても信用できず都合よく使える存在なのか、それとも地球寮等懐にいれる存在の判別を容易にして地球寮やアーシアンも大切で軽視することをしない存在なのか。
 デリングが名目だけのお飾りのトップでなく、戦争シェアリングやヴァナディース事変等を起こしたという設定である以上、血のつながっているミオリネが地球やアーシアンに対しどう思いどう接するかは見どころだと思います。アニメでは口先だけと言われても否定材料がしづらかったので、掘り下げ等が見たかったと思います

 終わりに


 冗長になってしまい大変申し訳ありません。
個人的なキャラの好みで言えばミオリネのようなツンデレヒロイン類型の中でも言動や対応がやり過ぎているようなキャラは周囲のキャラとの関わらせ方によって、好きにも嫌いにもなりがちです。

 ただ、ミオリネは彼女自身の言動等に欠点しかない訳ではありませんが、アンチスレが非常に盛り上がるほどの嫌われ方ではなくもっと健全な成長等の描写によって愛されてほしかったキャラクターだと、ミオリネやミオリネ関連に思うところがそれなりにある私でさえ思ったのでこうして筆を取りました。

 私はスレッタの物語だと期待したためにミオリネではなくスレッタを見せてほしいと思った経験がありました。ミオリネの敵にあたるプロスペラに肩入れしてしまったこともありました。
 愚痴的意見を探して内心賛成することも、ミオリネを捏造しての叩きに内心違うと思うこともありました。
 初期スレッタに惹かれミオリネに期待してしまった過去がある以上、同じ水星の魔女に思うところがある意見でもミオリネからなる女性キャラ軽視や男性キャラ重視等に何度も苦しみました。
 終盤まで通して考えるとスレッタは初期に強い惹かれを感じてどんどん残念な方向に行ったのに比べ、ミオリネは好みの属性でも言動でもない上に、話が進むに連れミオリネよりも好感の持てたりもっと掘り下げてほしいと思うキャラクターも存在しますが、好ましい変化という名の成長を遂げて、スレッタが好きだけどミオリネには勝てないと完膚なきまでに失恋させてほしかった。内心その思いがずっと続いています。


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