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「デザインの力で従業員のテンションを上げたい!」ヲタクで最高。株式会社大東精工

ここ数年で「ヲタク」という言葉のイメージが少しずつ変わってきたような気がしています。

どうも!マネージャーのFです。

私が小学生の頃は「ヲタクっぽい」というと完全に悪口だったのですが「推し活」なんて言葉が出てきてからは、「ヲタク」=「趣味を満喫する人」「特定の分野がめっちゃ好きな人」「知識が深すぎて博士みたいになってる人」とポジティブなイメージに変換されつつあるなと思います。

かく言う私もそんなヲタクの一人。
ということで、この記事では最大級のほめ言葉として「ヲタク」という言葉を使っていきます。

今回はパッケージデザインでスタッフのテンションを上げたい株式会社大東精工さんのお話です!


デザインがさらにおいしくなる話vol.22株式会社大東精工



1.株式会社大東精工とは

株式会社大東精工さんは、東かがわ市に本社を構える、携帯電話などの精密機械を作る研磨機の部品を作る製造会社さんです。

ちょっとなに言ってるかわかんないですね(笑)

すみません。わざと書きました。
だってうっかりするとマトリョーシカみたいな入れ子構造に陥ってしまうくらいニッチな部品を作っている企業さんなんですもの。

要は小さい部品を製造する会社さんなのですが、その部品は携帯電話の角を落とす研磨機のボルトだったり、切削機のボルトだったりするわけです。

ご依頼内容は、
「会社のロゴとパッケージをデザインしてほしい」とのこと。

しかし、よくよく話を深掘りしていくと本質的な課題は別のところにありました。


2.パッケージデザインで従業員のテンションを上げたい。

そもそもどうしてパッケージデザインでスタッフさんのテンションを上げたいのでしょう。
お聞きしてみると、大元には「従業員の離職率を下げたい」という意図がありました。

大東精工さんはかなりニッチな製造業者さん。
働くスタッフさんたちも、元は機械やプラモデルなど細かいものづくりが好きな人ばかりです。

しかし、どうしても日々同じ作業の繰り返しで、飽きてやめていってしまう人も多いそう。
「決まった部品を正確に何千個、何万個と作っていく」という仕事自体は変えようがないので、なかなか難しい問題ですよね。

そこで目をつけたのが、出荷や納品に使われている白い無地の箱でした。

「箱、めっちゃ白くない?」

業界の通例なのか、なぜか出荷・納品の箱はどこも白い箱ばかりでした。
無機質で感情の乗っていない箱を見て、せめて梱包して出荷するときくらいはワクワクできたらいいのに、と思ったそうです。

「めちゃくちゃすごいところに目をつけるなあ~!」とこちらも驚きつつ。

パッケージデザインにはスタッフさんのテンションを上げる可能性があるかもしれない。

そんな未知の可能性にワクワクしながら制作に取り掛かりました。


3.ヲタクとヲタクがタッグを組んだら

ご依頼をくださった当時の代表の息子さんは、大のガンプラ好き。
一方、担当したデザイナーもガ〇ダム、エ〇ァンゲリオン、最近なら〇滅の刃とかS〇Y×FA〇ILYとか、アニメや漫画が大好きです。

「ここはダストにしません?」
「このボルトはもっとシャープに、ここはラインがいい」
「カタパルトなんてどうですか?」

ヲタク以外には到底理解できない専門用語を交わしながら、ヲタクによるヲタクのためのヲタクが喜ぶパッケージデザインを考案。
こんなことほとんどないんですが、お客さまとまるでプラモデルを組み立てるように(ほぼ)2人で作り上げました。

そうしてでき上がったデザインが、こちら!

「そんなの誰が気づくんだ!」言われそうですが、ボルトや配線など、ああでもないこうでもないと言いながらチマチマと改良に改良を重ねて作っています。

某ロボットアニメのロボットの腕とか、母船機のラインとかを見ながら作っているので、ヲタクにはたまらない仕上がりになっている!はず!

内側もしっかり作り込んでいます!

楽しくなってサイズ違いとか色違いとか、色々作ってしまいました。

そして、この採算度外視のデザインにはただ一人だけ、とある犠牲者が。


デザイナーM「ここに母船機のカタパルトの発艦口みたいなやつ入れて」
デザイナーK「カタ……え?」


専門的すぎて、後任のデザイナーにまったく指示が通じないというまさかの事態に陥りました。

デザイナーK

首をかしげるデザイナーに、ついには「ガ〇ダム全話見てきなさい」という指示が……。

そうしてデザイナーKさんは数週間ガ〇ダム漬けにされましたとさ。


4.宣言と認識は同時に起きている

さて、今回はロゴマーク、パッケージデザインなど単発のご依頼でしたが、実はかなり特殊な例でした。

というのも、そもそもパッケージデザインは消費者にブランドのコンセプトやイメージを適切に伝えるための、かなり「外向き」のデザインだから。それを今回は「内向き」に使っているのです。

あわせて制作したブランドスローガンは「Brush up,Future.」
自分たちの技術で、未来をよりよいものに作り変えていく、という意味です。

こうしてスローガンを決めることも、ロゴマークやパッケージデザインを作ることも、社会に向けて「私たちはこういう者です!こんな風に尖ってます!」と宣言することです。だけど内側から見るスタッフさんたちにとっては、「私たちってこういう組織だったんだ!こんな個性を持ってたんだ!」と自分たちの個性や仕事の意義を再認識するタイミングでもあると思うのです。

ヲタク的視点でテンションが上がるのと同時に、「私たちのカラーってこうなんだ」と、少しでも自分や会社を面白がるキッカケになっていればいいなあと思います。


「デザインがさらにおいしくなる話」とは?

㈱人生は上々だのデザイン制作の裏話をもぐもぐ噛み砕いてご紹介していくシリーズです。
意外と知らないデザインの裏側。そこには一体どんなこだわりが隠されているのか?

CREDIT
Creative Direction:村上モリロー
Art Direction:村上モリロー
Graphic Design:村上モリロー、久利優実
Creative Produce:村上モリロー

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株式会社大東精工
〒769-2705
香川県東かがわ市白鳥1827-2

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