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『就活消極的芸大生、インターンに行く』

自己紹介

 はじめまして。この度、「(株)人生は上々だ」(※以下「上々」)のインターンに参加させていただいた、Yと申します。
 香川で生まれ育ち、現在は京都にある芸大の3回生(次4回生)で、そこでは主にノンフィクションを専攻しています。誰かにインタビューをして記事を書いたり、自分のエッセイなんかも書いてみたりしています。あと、たまに詩も書きます。
 インターンに参加したきっかけは、知り合いの紹介でした。紹介された時は、「こんなクリエイティビティに富んだ会社が地元にあるんだ!」と驚きました。
 
 僕はこれまで、何度かこの会社以外にもインターンに参加した経験はあるのですが、すべて1dayのオンラインでした。正直そこまで就活にやる気がある方ではないです。できることなら、ずっと学生の肩書きを持っていたいし、「社会の厳しさ」なんて学びたくない。
 けど、そういうわけにもいかない。会社は待っててもやってこない。やってくるほどの力もない。というわけで、知り合いの紹介を経て人生初めての対面インターンを「上々」に捧げることにしました。

大学からのキャリア関係のメールが溜まりすぎてて、大変なことになってます。

 インターンに参加するにあたってまず打ち合わせをと、「上々」の代表取締役である村上モリローさんから、連絡がありました。
 いろいろあってオンラインで打ち合わせをすることになり、その打ち合わせが始まると、向かい合う形で卓球台に座っているモリローさんとマネージャーさんが、僕目線でその二人を見下ろすような画角で写し出され、いろいろ戸惑いながら打ち合わせが始まりました。(このスクショ撮っておけばよかった……)

 打ち合わせで驚いたことは、インターンの日時と内容をこちら側で指定できるということ。
 インターンの日時や内容は、会社側が指定してそれに学生が従うというのがほとんどだと思います。が、「上々」はそうではなくモリローさんから、「いつがいい?」とか、「何がしたい?」と聞かれ驚きました。
 とりあえず、3月の4日から7日の10時から18時をこちらから指定させていただき、インターンに行くことが決まりました。


インターン1日目

 久しぶりに帰ってきた香川は、3月の上旬にもかかわらずジャケットの前を閉めたくなるほど寒い。
 自転車で「上々」のオフィスに向かっていたので、なおさら寒い。あと緊張でなんかむずむずしていました。
 緊張のしすぎで、約18年間住んでいた地元なのに2回、道を間違えました。
 
 無事オフィス周辺まで来ると、突然それらしい建物が出てきて驚きました。道路を挟んで向かい側にJR八栗口駅があるその建物は、木造で、ほとんどのカーテンが閉まっていてそれらしい看板もなかったので、「本当に合ってるのか?」となりましたが、どうやら合っているようです。いろいろごまごまして、覚悟を決めて玄関の扉を開け、「インターンを申し込んだ保井ですが……」と言うと、オンライン打ち合わせでお会いしたマネージャーのOさんが出迎えてくださいました。

本当に突然出てきたので一度通り過ぎました。

 オフィス内は、入って右の窓側にデスクと椅子が四つほど置かれており、左側には机が二つずつ向かい合うような配置で、6つデスクと椅子が置かれていました。
 両側の机の感覚は広めで、その中央には、ストーブが置かれており、開放的な感じがしました。
 左側には椅子に座って、なにやら作業をしている社員さんが2名いらっしゃいました。

 初めての、オフィスというものに圧倒されかけていると、
 「Y君には、いろんな会議とか打ち合わせに参加してもらって、この会社がどんなことをしているのか体感してもらいます。それで、そこで感じたことを記事にまとめてもらいます」
 と、出迎えてくださったマネージャーの方にインターンの内容を説明していただきました。
 「で、このあとすぐ10時からある会議に参加してもらいます」
 と、気づいたら打ち合わせに参加することになっていました。最初からクライマックスだ。

 打ち合わせの場所は、インターンの打ち合わせをした卓球台があるあの場所で、その場にいたメガネをかけたデザイナーKさんと、もう一人のマネージャーFさんに、いまからどんな打ち合わせを行うのかの説明をしていただきました。

モニターの上にカメラがあって、一つの謎が解けました。

 オンラインでの打ち合わせが始まると、zoom内にモリローさんが登場。

 デザイナーさんが一つ目のロゴ案を、クライアント側に提示すると、「めっちゃいい!」と一言。その後、デザイナーさんがロゴに散りばめられたデザインの意図を説明している最中も、クライアントさんの噛み締めるような「めっちゃいい……」がその場に響き渡っていました。

 その打ち合わせに出席していると、すべてのデザインには意味があるんだなという、言われてみれば当たり前のことを肌で体感することができました。文字についている濁点の距離にもこだわりや意味を持たせていて、一つひとつの細かなこだわりによって人の心はこうやって動いているのかと実感できました。

 11時くらいに終わると教えていただいたこの打ち合わせは信じられないくらい順調に進んで、15分くらいで終わりました。「打ち合わせとか会議とかって伸びるのが大抵のことなのに、やっぱりデザイン会社ってこういうこともあるんだ」と思っていると、Kさんから
「普段はこんなことないんですけどね」と言われた。やっぱ、そうですよね。
 
 打ち合わせが終わり、オフィスに戻ると各社員方からの名刺交換がはじまった。
名前とか役職とかが書かれている裏の「人生は上々だ」の文字のフォントが社員さんによって違う。
フォントという細かな違いではあるけれど、同じ会社なのに社員によって個性が出ている名刺ってめっちゃいいし、憧れだなと思いました。

もらって嬉しい名刺とはまさにこれ

 この日はもうふたつくらいの打ち合わせに参加させていただきました。参加させていただいた中で感じたことは、
 「ビジネスの難しさ・厳しさ」
 学生のうちは、インパクトのあるものや自分がしたいことを自分がしたいなりにやっていればいい。けれどこれはあくまでビジネス。それではお金や人は集まってこない。
 自分がいいと思うことをいかに社会に受け入れてもらえるように作っていくか。その重要性を感じることができました。

 そしてもうひとつ、
 「この会社はクリエイティブに本気で真剣に取り組んでいる」
ということ。
 綺麗事でもなんでもなく、本当にクリエイティブなことで、「世界を上々に」しようとしている。それを、各クリエイター方や、マネージャー方、そしてモリローさんの仕事への取り組みの姿勢でひしひしと感じた初日でした。


インターン2日目

 この日、香川は朝から雨が降っていて自転車が使えないので、ことでんを使って「上々」のオフィスに向かいました。久しぶりのことでんは、京都の電車とは違う包容力がありました。京都の電車が友人で、ことでんが親みたいな。

久しぶりに駅員さんに直接切符を切ってもらって、ワクワクしました。

 オフィスの中は昨日より寒く、時々デザイナーさんの「さむ〜」が聞こえてきていました。

 この日も出社してすぐ打ち合わせに参加させていただきました。
 この打ち合わせはクライアントを交えた打ち合わせではなく、デザイナーが作ったものをモリローさんやマネージャーを交えていろいろな意見を出し合う、社内ミーティング。
 よりデザインのことを知れる、とても刺激的な体験でした。

 とある企業サイトのデザインについてのミーティングで、その企業の在り方や代表のまとっている雰囲気をデザインで表現するという、デザイン素人の私からするとものすごく次元の高いことをされていました。
 そこからさらに、モリローさんやそのミーティングに参加していたヘッドマネージャーのYさんを交えて、サイトデザインのブラッシュアップをされていました。

 その中で印象的だったのが、「この企業だからこそこのデザイン」ということを重要視されていたということ。
 この世界には星の数ほどの企業があり、当たり前のことだけどその数だけ在り方や、方針があります。
 「上々」は、その企業によって違う在り方や方針に深く向き合う。そしてそれを細部まで突き詰められたデザインに反映させる。「上々」はデザインとクリエイティブの探究者たちだ。

 その後、お昼ご飯を社員数名の方とご一緒させていただきました。(実は1日目も一緒に食べたのですが、まだ緊張が抜けきれておらずほとんど覚えていません……)
 高校のこととか、その時入っていた部活のことやその日持ってきていたお弁当のことなど、いろいろ話かけていただきました。
 そんなお昼時に感じたことは、社員さん同士とても仲が良いんだろうなということ。それは初日の時からなんとなく感じていたことなのですが、社員     数が少ないからこその強い繋がりや、同じクリエイティブに勤しんでいる同志のような空気感が社内にはただよっていました。
 
 お昼休憩が終わると、外部の方々を交えたオンラインの打ち合わせに参加させていただきました。
 その打ち合わせには5・6人ほど参加されていて、その参加されていた全ての人がああでもないこうでもないと、意見を交わし合っていました。
 その中で時折見える、大人たち(僕より年齢が上の方々)のワクワクした表情や空気感がなんとも印象的でした。
 それはデザインや、クリエイティブを通して現実を実際に動かしている、動かそうとしている人々が集まったからこそ生まれる空気感だなと思いました。


インターン3日目

 この日、会社に向かっている途中にこの記事に載せるための写真をほとんど撮っていないことに気がついて、絶望していました。
 が、すぎたことはどうしようもないので、ここから挽回していきます。
 
 途中入室や、途中参加した時のあの雰囲気が何よりも苦手な僕は、3日目にしても玄関の扉を開けてオフィスに入る瞬間は、全く慣れませんでした。
 けれど、オフィス内の空気は僕が来る前提のそれなので入ってしまえばもうこっちのものです。
 
 この日の最初に参加した打ち合わせは、僕にとって初めてのクライアントさんとの対面での打ち合わせでした。
 
 オンラインは、環境さえ整えればどこでもできることが強みだけど、やっぱり対面で実際にその人と会うことでしかわからない、その人の持っている雰囲気を感じることや、機械を通していない肉声を聞くことってその人と一緒に何かを考える上でとても大事だなと感じました。

 その企業の代表の方は学生と同じくらい、もしかしたらそれ以上に活発に色々なことにチャレンジされている方で、いままで自分は大学という小さな世界だけしか見ることができていなかったなと感じました。
 やっぱり、面白いことにチャレンジしている人のところには、同じような面白い人が集まってくるのでしょうか。
 「『スタンド使い』は『スタンド使い』といずれひかれ合う」……。

 その後、お昼休憩を経ていくつかの社内ミーティングに参加させていただきました。

社内ミーティングの様子

 その打ち合わせの中で、モリローさんがおっしゃった、
「ここは誰でも発言していい場所やから」
という言葉が、とても印象に残りました。

 同じ打ち合わせに参加するものとして、そこにおかしな遠慮や上下関係はない。社員だろうが社長だろうが、インターン生だろうが面白いと思えるものを共有し合えるその場所と関係はとても健全で憧れのあるものだと感じました。

ヤンキーの剃り込みについてイラスト付きで解説するモリローさん


インターン4日目

 インターン最終日、濃かった3日間を何度も反芻しながらこの記事を書き上げました。
 このインターンの最中に、良い機会に恵まれて新たな出会いもありました。
 初めは「勢いでインターンを申し込んだけど、文章しか学んでこなかった自分がついていけるだろうか……」と思っていましたが、デザインにあまり触れてこなかったからこそ得ることができる新たな学びや、驚きがありました。
 
 また、デザインのことだけでなく興味のあったコピーライティングについても大きな学びを得ることができました。
 自分がこれまで学んできた長い文章とはまた違った、言葉で価値を生み出すということの面白さを何度も体感することができました。

付箋まみれになった相棒のノート


まとめ

 社会に出るというのは、ものすごく勇気と覚悟のいることです。
 僕がいま、大学で学んでいることを社会は受け入れてくれるだろうかと思っていました。
 「芸術ってなんの役に立つの?」とか、「所詮、学生のやってること」とか、理解のない人たちが社会には存在します。
 僕の社会への恐怖というのは、そこからきていると思います。

 けれど、今回「上々」のインターンに参加してみて、決してそんなことはないなと感じました。
 クリエイティブに理解のない人たちは実際に存在しているけれど、その反対にクリエイティブに真剣に本気で取り組み、香川を社会を動かそうとしている人たちも実際に存在しています。
 それが「(株)人生は上々だ」です。

 僕と同じように、自分のやってきたことに自信がない人たち、社会に恐怖を抱いている人たち、少しの勇気と覚悟を持って大学を出て社会に出てみてください。大学とはまた違った世界の広がりを感じることができると思います。


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