ことでんは、自由をはこぶ。後編
そういえば、記事のタイトルをガラッと変えました。
新しいタイトルは、「デザインがさらにおいしくなる話」。
完成したデザインはそのままでももちろん面白いのですが、色んな裏話やデザイナーさんのこだわりを聞くと、さらにうまみがぐ~んと増す気がします。
たとえばごはん屋さんで出された食事の、食材のこだわりや料理人さんの技術を知るとさらに味わい深くなるような、そんな感じ。
デザインがすき!クリエイティブに興味がある!という方にこそ、スルメのごとくモグモグ噛みまくってほしいシリーズです。
デザインがさらにおいしくなる話vol.15【ことでんは、自由をはこぶ。後編】
前編はこちら!
さて、意気込んでイタリア大使館へと飛び立った我々ですが、レスリー・キーさんは多忙も多忙。
腰を据えてお話しする時間なんてありません。
脇に抱えた3枚の企画書のみで、レスリーさんが撮影会をする合間のほんの数分間を狙ってスタンディングスタイルのプレゼンを仕掛けました。
すると……
「おお!いいよ!やろう!」
「え!いいんですか!?」
レスリーさん、まさかのふたつ返事で撮影を快諾してくださいました!
そうと決まれば話は早いもの。
公共交通はどんな人でも乗ることができる、という「乗る人の自由」と、乗ったあとはどこにでも行けるしなんでもできる、という「行動の自由」。
この2つを軸に据え、コンセプトを考えてポスターのビジュアルイメージを固めていきました。
そうしてでき上がったポスターが、こちらです!(※一部抜粋)
核家族化が進むなか、親子3代で電車に乗る家族と、外国人の組み合わせです。
電車に乗る人の家族の在り方や人種を問わない「乗る人の自由」。
そして、初めて見るものや景色に自由におどろく「行動の自由」を表現しました。
ちなみに、この景色はことでん志度線の塩屋駅~房前駅間で見ることができます!
このポスターでは、「乗る人の自由」として男性同士のカップルに焦点を当てています。
ポスター制作当時は、今ほどLGBTという言葉は世の中に浸透していませんでしたが、今も昔もセクシャルマイノリティーの人たちは当たり前にそこにいて、それぞれの生活を営んでいます。
セクシャリティーを問わない「乗る人の自由」と、愛しあうという「行動の自由」を表現しました。
この「夢みる自由」のポスターは、実は企画段階では予定していなかったものです。
撮影当日、「ことでんで働く人の自由も撮ろう!」というレスリーさんからの提案で急遽追加制作が決まりました。
確かに、ことでんは働く人の自由な想いや夢も乗せて走っているのかもしれません。
その他にも、いろんな「自由」にフォーカスしたポスターを作りました。
ポスター一覧はこちら!
また、デザインの面ではあえて写真を少しはみ出させて、途中で切っています。
「あれ……?」という違和感で目を引き、次のポスターを見れば写真が地続きになっていることがわかる仕掛けです。
レスリーさんの写真をぶった切るという……かなり大胆な手法ですね(笑)
しかし、8連ポスターだからこそできるトリックでもあります。
画面は角を丸くして、ことでんの車窓にも見えるように作りました。
今回のポスターは「どうやったら目に止まるだろう?」という課題を、視覚的に違和感を持たせるというアイデアで突破した作品でした。
アイデアを起点にすることで、デザインは常識の枠を越えてどこまでも広がっていきます。
(ビジュアル撮影の様子も残しております!)
「デザインがさらにおいしくなる話」とは?
CREDIT
Creative Direction:村上モリロー
Art Direction:村上モリロー
Graphic Design:村上モリロー/久利優実
Copywriting:一村征吾
Photograph:レスリー・キー
Movie:ホリヒロユキ
Creative Produce:柳田梨絵
高松琴平電気鉄道(ことでん)
(本 社)
〒760-0073
香川県高松市栗林町2丁目19番20号
コーポレートサイト
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レスリー・キー
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株式会社Quintetto