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【日記】ナンキンハゼとカラスの話

こんにちは、深見です。

家の近くにナンキンハゼの並木道があるのですが、今年はナンキンハゼの実が食べ残されています。房になって枝からぶら下がったまま、ぷらぷら風に揺れています。


(国立研究開発法人森林総合研究所 九州支所HPより、ナンキンハゼ) 


毎年、ナンキンハゼの実は大好評売り切れ待ったなしのはずなんです。
黒い実がつき、殻が弾けて白い中身が露出するやいなや、どこからともなくカラスの大群が現れます。そして、俺たちが俺たちこそがこの木のあるじだといわんばかりに枝えだに群がり、実を食いつくします。

ナンキンハゼの実は脂質に富んでおり、冬を越さねばならないカラスたちにとってはご馳走なんでしょう。


ところが今年は、カラスが来ない。ぽつぽつは見かけますが、例年のように群れを成しては来ていません。

おかげでナンキンハゼの枝には、白い実がぶら下がったまま。紅葉の赤と黄、実の白とコントラストがなかなか綺麗ではありますが、毎年カラスの食事風景を楽しく眺めていた身からしますと、寂しい気持ちが勝ります。

どうしたんでしょう、今年は。
ほかに食べるものがたくさんあったのかしら。どんぐりは不作もしくは凶作らしいですが。ちなみにナンキンハゼは、並木を観察する限りでは例年通りの実付きです。

それか、あんまり寒くないもんだから、カラスたちも「今年はそんなに脂肪溜め込まなくてもいいかな」って舐めプしてるとか? でも、週末からまた冷え込むみたいだから食べといた方が良いんじゃないかな。


と、ナンキンハゼの実がびっしりと落ちている道を歩きながら、深見は考えます。

靴の下で、堅い殻がぱちぱち弾けます。カラスたち、日曜日の朝にウチのベランダで鳴きまくる(そして、私は早朝に叩き起こされる。どうして日曜日の朝だけ……平日ならまだましなのに……)ので、元気にはしているんでしょうけど。

でも、ナンキンハゼの実を食べる彼らの様子が見たい。

枝にとまって、器用に首を伸ばして枝先の実をついばんだり。
彼らにとってのベストポジションでもあるのか、実はあちこちになっているというのに、ひとつの枝を取り合って喧嘩したり。
喧嘩はごめんだわとばかりに、道に落ちた実をのんびり食べている子がいたり。
実が鈴なりになった房を咥えてどこかへ飛び去っていったり。

似たような黒いからだに異なる色の個性を光らせて、冬に備えて生きようとする彼らが見たい。


カラス、ナンキンハゼの実がたくさんなってるよ。食べにおいでよ。寂しいから。


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