月と蝶【タケノコxミモザx歩行者b】

タケノコさんミモザさん、ほこbでコラボしました。
俳句、短歌、自由律俳句、詩を出し合い、それらから創作をしました。
お二方から思いっ切り出遅れていますが、ご勘弁のほど・・・

こちらはミモザさんの俳句から。
本編の後ろにミモザさんの俳句をご紹介します。


月と蝶    【433字】

靄が晴れたら出かけよう。そう思っていた。そう思いながら幾日が過ぎ去っただろう。
春霞といってもいろいろで、花粉だったり黄砂だったり。碌なもんじゃない。
それでもめっきり穏やかになったこの頃、ようやく外に向かう意欲が芽生えてきた。

とはいえいきなり昼間から出歩くのも憚られ、月の夜に外に出た。
月の照らす世界は澄みきった水の中のようで、足取りは要領を得ず、ふわふわと頼りない。魚にでもなったように気まぐれな春の気配に翻弄される。温かい空気に誘われるままに足を前に出すと、足元は空を切っていた。
どうせなら月に向かおう。そう思った途端に、強い風が吹いた。
月にほろほろと雪が舞う。
月が翳ると雪は雲からも舞い落ちて、やがてこの身にも降りかかった。
冷たくはない。むしろ温かくさえある。
雪は桜
これはきっと同じものなのだ。
月の中を入り乱れる桜、桜は私の天空を覆っている。
桜の雲を透過する月明かりの中の私は、月の光の化身のような桜の花を舞い遊ぶ一頭の蝶となっていた。
       了

    山か空、雲か月から落花来る
              ミモザさん作
        
        季語  落花    晩春


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