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初めてのJPO試験に挑戦、不合格から学んだ事

国際開発/協力分野でのキャリア形成を志す人の多くが意識しているJPO試験。僕がJPO試験を初めて知ったのは7年前に、とある国連機関でインターンをしていた時だった。JPO試験の要件は高く、①英語力②修士号③関連分野での経験が必要。それから7年後の2024年に初めてJPO試験に申し込み、残念ながら不合格となったが、学びも多かった。やらない後悔よりもやる後悔とはよく言ったもので、本記事では僕がどのように試験対策をしたのか、学び、敗因分析と今後の対策について整理する。


僕自身について

今年のJPOに申し込んだ際の僕のスペックはこんな感じだ。

①語学力:C1レベル(IELTS 7.5)
②職務経歴:IT業界(3年)+途上国の大使館で専門調査員(1.5年・現職)
③国連関連の経歴:国連機関でインターン経験あり(5か月)
④修士:公共政策修士号

応募したポストはUNICEFのMonitoring and Evaluationというプロマネ系のポスト。コンサルでいうPMOみたいな感じ。関連分野の定義として、"Program Managementの経験最低2年"とのことだったので、要件をみたしてるやん、と思い応募した。
有料サービスの活用や知人・友人のツテを辿って色々推敲した結果、僕が打ち出したアピールとしては下記の通りだった。

業界は違うけどもIT業界でプロマネを3年間している。現在、専門調査員として現地国政府との調整経験もある。加えて、Monitoring and Evaluation関連で約に立つスキルとして、データ・統計分析経験(修士とコンサル)もあるし、IT業界の経験からデータ活用やDX推進においても寄与できる。

7年前から意識していたJPO試験に初めて応募できることが嬉しかったし、知り合いの専門調査員がJPO試験に合格していたこともあって、自分にできることは全力でやったため、書類審査で足切りとなっても後悔は全くない。

敗因分析:何が足りなかったのか

有料サービスを提供している元国連人事に話をきいたところ、やはりTORに記載されているプロマネと類似するような経験を持っていなかったことが敗因とのこと。僕もそれは薄々気づいており、書類では「IT業界と国際開発でのプロジェクトでは、コンテクストは違うけども、現実的・具体的なマイルストーンの設定や、潜在的なリスクや機会を洗い出してプロジェクト計画を設定する点では共通している」と記載していたが、人事によると「IT業界と国際開発ではコンテクストが違いすぎる。また、応募機関であるUNICEFは、UNHCRと相次いで日本人には最も人気の国連機関なので、多くの応募者が少なからずプロマネ経験を有している。そのような状況では、国際開発と文脈が異なる人はどうしても見劣りしてしまう…」との事だった。
"関連分野経験2年"がどうしても重くのしかかる。関連分野の経験を積むには関連分野の経験を要求されるというある種の矛盾。

今後の対策:なぜ国連か、どのような路線を目指すか

もちろん、国際開発の世界では国連が唯一のプレーヤーというわけではないし、民間資本が年々増えていく昨今では国連の重要性は相対的に減少しているのも百も承知だ。ただ、僕はどうしても1度は国連で働いてみたいと思っている。働く場所だけでなく働く人もグローバルな環境で働いてみたいからだ


僕個人の価値観であって、当然他の職業や職場が悪いと主張するわけではない


僕の持論として、グローバルな職場というのは場所×環境要因(同僚や雰囲気、組織の力学など)で構成されていると思っている。例えば、僕が現在働いている大使館は、場所としてはグローバルだが働き方や働く人は超ドメスティックだ。一方、会社員としてグローバルプロジェクトに関わっていた時は、働く場所は国内(自分の家)で、一緒に働く人はグローバルだった)。JTCだと国際開発に携われるかもしれないが、ジョブローテーション制度ゆえに、あくまで数年に過ぎない。加えて、僕は結婚しているため、給料が低すぎる組織、例えば日本資本のNGOや、現地でのスタートアップ企業では働けない。ずっと国連で働くつもりはないが、一度は働いてみたいと思っている。
問題は、JPOでどのようなポストを目指すか、だ。僕の今の状況や価値観を考えると、プロマネ系のポスト(Project/Program OfficerやMonitoring and Evaluation Officerなど)が最適解だと思っている。物事を俯瞰的に考えることは僕の得意分野でもあるし、自身の性格にもあっている。また、現在専門調査員として民間連携をしているが、民間連携という分野にあまり興味が持てない…(結局カウンタパートになるのは日本企業のおじさんが多いため、途上国の一般の人に直接寄与しないので自分のモチベーションに繋がらない)。

目標を叶えるためにすべき事

プロマネ系のポストに2-3年後応募すると方針が決まったら、やるべきことは3つある。
第1に、転職活動。国際開発分野でのプロマネ経験を積みたい。専門調査員の任期も半年を切っており、残念なことに専門調査員では(国際開発に直結する)プロマネの経験を積めない。プロマネの経験を積むキャリアとして、①JICA企画調査員②(HPC経由の)UNV③大使館の草の根が考えられるが、給料(結婚してるので…)を考えた結果、JICAの企画調査員へ応募を考えている。任期を切り上げてでも早めに勤務できるよう、来月から応募していくつもりだ。
第2に、JPOでアドバンテージとなるフランス語だ。今の僕はフランス語を学部時代に勉強したものの、やる気はなかったためほぼ身についていない。今年でB1を目指し、来年か再来年にはB2を目指すつもりだ。
第3に、JPOでアドバンテージとなるプロマネの資格だ。PRINCE2(概要はこちら)の資格を取得しようと思っている。来年には基礎版であるファウンデーションの資格を取得し、再来年にはプラクティショナーの資格を取りたい。

最後に

JPO試験は言わずと知れた登竜門。今年の僕は竜になり切れなかった鯉に終わったが、今の自分の手札や制約を考慮し、全力を尽くしたからこそ学んだことも多かった。日本の就活とは異なる書類の作り方・魅せ方、どのようなポストが出ていてどのような要件が必要なのか、など。35歳まであと6回チャンスがあるので、正しい努力を続けていればいつかは合格すると思う。35歳まで"若手"扱いされる、下積みが長いこの業界で虎視眈々と準備を進めていこう。正しい戦略×実行=目標達成だ。