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クリエイティブチームにベンチャー向けマネージャー研修を導入します。 ゲスト:株式会社EVeM(イーブン)代表・長村禎庸さん

こんにちは。ADWAYS(アドウェイズ)の CREATIVE BLOG編集部です。

ADWAYSのクリエイティブチームには、現在約100名のデザイナー・ディレクターが在籍しています。そんな多くのメンバーが、成長できる環境を作るため、組織は日々、チームの「あり方」を整えていく必要が生じます。

その一環として、クリエイティブチームでマネージャー職を務める遠藤と瀬川が、外部のマネジメント研修を6ヶ月間受講しました。

どうして2人は「マネジメント研修」を受講することを決めたのでしょうか。そして、研修内容はどのようなもので、どんな結果を生んだのでしょうか。

今回はマネジメント研修先である株式会社EVeM(イーブン)代表の長村さんをゲストにお招きし、3名の座談会形式で、取り組みの中身やマネジメント研修を受けた成果をお伝えしていきます!

長村 禎庸(ながむら よしのぶ)
株式会社EVeM 代表取締役 兼 執行役員CEO
2006年大阪大学卒。リクルート、DeNA、ハウテレビジョンを経てベンチャーマネージャー育成トレーニングを行うEVeM設立。 DeNAでは広告事業部長、㈱AMoAd取締役、㈱ぺロリ社長室長兼人事部長などを担当。ハウテレビジョンでは取締役COOとして同社を東証マザーズ上場に導く。フリーランスで複数社のCOO業務に従事したのち、株式会社EVeMを設立、現職。

遠藤 由依(えんどう ゆい)
2010年 アドウェイズ新卒入社。広告企画営業職を経験後、デザイナー職へ異動。現在ゼネラルマネージャーとして勤務。

瀬川 和明(せがわ かずあき)
2014年 アドウェイズ 中途入社。
クリエイティブチーム所属。広告領域のマネジメントに従事。



EVeMのマネジメント研修を受けた
きっかけと選んだ理由

長村さん:
本日は、ゲストにお呼びいただきありがとうございます。
そして約半年間の研修、本当にお疲れ様でした。

遠藤・瀬川:
とんでもないです。こちらこそありがとうございました!

長村さん:
早速なのですが、お二人が私たちEVeMの研修を受けていただいたきっかけを改めてお聞きしたいなと思っていまして。

遠藤:
そうですよね、詳しい背景はお伝えしていなかったですよね。

もともと、私たちアドウェイズのクリエイティブチームは、マネジメント業務に対して、大きな課題感を持っていました。

Division(クリエイティブ部門)の設立時は、10人前後の小さなチームで、メンバーそれぞれに気を配りながら、全員と同じゴールを見据えることができていたんです。ただ、組織再編などでチームが大きくなるに連れ、さまざまな価値観を持った人たちが集まるようになり、それまでの感覚で取り組むマネジメントでは、チーム全員をまとめていくことに限界を感じていました。

私たちはマネジメントの方法を学ぶため、会社が用意してくれた研修を受講したり、他の部署と情報交換や交流をしたりと、自分たちなりに模索を続けていたのですが、それらを繰り返すほど「組織内で共通言語を構築していく」という大きな課題が見えてきてしまって。メンバー全員が同じ文化を共有し、そこで培った経験をチームに伝えていく。私たちが今後より成長をしていくためには、その土壌造りが必要だったんです。

そして、これから先、ますます組織が拡大していき、マネージャーの立場になる人も増えていきます。

それならばこの機会に、外部から体系的に学べるものかつ、自分たちの組織にフィットしたマネジメント研修を組織に取り入れたい。そう、考えるようになったんです。

瀬川:
もちろん自分たちもこれまで、正しいマネジメントに取り組んできたという自負はあります。ただ、上長だった人の見様見真似でスタートした方法なので、果たして本当に適切なのだろうかと、自分の中でも正解が見えない状態でマネジメントに取り組んでいたんです。

そして、クリエイティブチームには、僕らの他にもマネージャーが数名おり、彼らも何かしらマネジメントに対する悩みを抱えていると思っています。そのため、もし体系的なマネジメントを学ぶことができたら、全員が自信を持って、仕事に向き合うことができるのではないのかと考えていて。

遠藤:
そうですね。今回は初回ということで、責任者である私たちが研修を受講することになりましたが、今後組織内で共通言語を構築していくためには、私たち以外のマネージャーも、このプログラムを学ぶべきだと考えているんです。なので、あくまで私たちは最初に過ぎないんですよ。

長村さん:
なるほど。そのような経緯があって、まずは体験レッスンを受けていただいたんですね。

遠藤:
はい。EVeMの研修プログラムのターゲットは主にベンチャー企業やスタートアップなので、自分たちが求めているニーズに合っていると思いまして。

研修を体験した際には、メガベンチャーからスタートアップまで、異なるジャンルの組織が抱える課題に対し、ケーススタディを用いてその場で実践するコーチングなので「これは直接業務に活かすことができそうだ」と肌で感じることができました。

瀬川:
まさにこういった研修を求めていた、って思いましたよね。

遠藤:
そうですね。また、講師の皆さんが私たちと同年代だったということも、私たちにとっては嬉しいポイントでした。感覚が近く思えましたし、すぐに通じ合えそうだなと。

長村さん:
あ、実はそれ、弊社の狙いなんです。たくさんのキャリアを積んだおじさんが、ビシっとしたスーツを着て、マネジメントのいろはを教える。そんな会社は目指していなくて。(笑)

EVeMは、これからの時代を創るスタートアップ企業・ベンチャー企業の組織強化の支援を行いたいという想いを持っています。そのため、受講者の皆さんと比較的距離が近い講師陣を揃えるようにしているんです。

瀬川:
確かに親近感はとてもありました。講師の皆さんは、ベンチャー企業やスタートアップ企業で実践を積んできた方が多く、講義の中身も共感できるポイントがとても多かったです。

例えば、目標設定についての講義もそうでした。僕たちのような業界では、目標は成果や業績に応じて短期スパンで変化していくことが多いのですが、講義内容もその点とリンクするような内容だったんです。自分たちと同じ目線を持っておられるんだなと、とても嬉しい気持ちになりましたね。


ベンチャー企業の社員は研修が嫌い?

遠藤:
EVeMの研修を受講される企業は、どのような課題を抱えていることが多いのでしょうか?

長村さん:
学生起業家や、20代の方が社長をされている企業からの研修依頼が比較的多いですね。プロダクトがヒットし、従業員が20〜30人ほどに増えたタイミングで、マネジメントの壁に当たるという……。また比較的大きな企業であっても、これから中間マネージャー的なポジションを作っていかなければならない、というケースも多いです。

遠藤:
その状況は、ADWAYSと少し似ているかもしれませんね。私たちと同じような悩みを抱えている企業は多そうなので、こういったサービスの需要はとてもありそうな気がしています。

長村さん:
ありがとうございます。(笑)ただ、ベンチャー企業の人って、研修が嫌いなんですよね

遠藤:
なるほど、でも確かにわかる気もします……。

長村さん:
正確に言えば、実務に繋がらないことが嫌いなんですよ。研修は、単なる勉強の機会として捉えられることが多いんです。それは、普段の実務に対して100%で取り組まれているからこそ、思うことなのかもしれませんが。

ベンチャーやスタートアップ企業は、一つの部署単位で考えても、ライバル意識を持ち、業績のアップダウンが激しいことが特徴です。そんな危機感の中で仕事をしていればいるほど、研修のような身にならなさそうな時間を嫌います。僕も若い頃はそうでしたから、気持ちはとても理解できますね。


長村さんがこの仕事を始めたのはなぜ?

瀬川:
長村さんは、EVeMを創業する前は、さまざまな企業でマネジメント業務を行なっていたんですよね。会社を設立されるにあたって、何かきっかけになったことはありましたか?

長村さん:
そうですね。自分はこれまで合計3社で、マネジメントの仕事を行なってきたのですが、その中でも大きなきっかけとなったのが、起業をする直前に働いていた会社で起こった出来事でした。

入社当時は社員数は20名ほどの小さな企業だったのですが、この企業が作るプロダクトは本当に優れていて、ユーザーからもとても愛されていたんです。ただ、社長が従業員のほぼ全員に直接指示出しをするなど、誰もが見てわかるほど、マネジメント環境が整っていなくて。このままでは、社員は誰も会社についていくことはできなくなってしまい、ユーザー離れにも繋がってしまう……。つまり、危険な悪循環に陥ってしまっていたんです。

この状況は、すごくもったいないですよね。作っているサービスは素晴らしいのに、マネジメントができていないだけで、会社が思うように成長しないなんて。私は入社後すぐに、これまで自分が経験をしてきたことを社長に伝え、組織を組み立てていきました。幸い、人数も少なかったので、短い期間で組織はあるべき姿に戻っていったのですが……。

遠藤:
さすが、長村さんですね。

長村さん:
いえいえ。(笑) 自分が伝えたことは、本当に当たり前のことだけなんです。多分、マネジメントを扱うビジネス本に、僕が伝えたことはほとんど書いてあると思いますよ。

ただ客観的に見ると、そんな何の変哲もないマネジメントですら、当時の会社にはできていなくて。そしてそれは裏を返すと、世の中には同じような悩みを持つ企業が、特にスタートアップやベンチャー企業に多いのではないかと思ったんです。実際に、そういう依頼の声がかかることも多かったですしね。

とはいえ、ひとり一人マンツーマンで教えるというのは、決して効率的ではありません。そのため、会社を立ち上げて組織的に取り組んでみようと思い立ち、改めてマネジメントという分野に本格的に向き合うことを決めたんです。


EVeMの研修内容を少し体験! 
個人目標の設定について

遠藤:
「当たり前のこと」と言っても、実際にどのような内容の研修を行なっているのか、記事をお読みの方も気になるかと思います。この場で少し具体的な内容を教えていただけませんか?

長村さん:
はい、大丈夫ですよ。それでは、皆さんがよく抱えているマネジメントの悩みの一つ、先ほど少し話にも上がった「個人目標について」をお話しできればと思います

少し誤解されがちなのですが、個人目標は「単なる目標設定とその答え合わせ」をするためのものではありません。学校の筆記テストとは違い、人が人を評価するわけですから、正しい論理的な答えを導くことは難しいんですよね。
そのため、相手に納得してもらうことが、とても大事なポイントです。では、そのためにどのようにプロセスを歩むべきなのか。その点を弊社ではお伝えしています。

瀬川:
この話を聞いた後、私もすぐに研修の内容を実践しました。

長村さん:
例えば、目標に対しては、どの企業でもフィードバックをすると思います。「あなたは今期、このくらいの評価でした」といったような内容ですね。ただ、先ほどお伝えをした通り、必ずしも数字の結果だけで判断することはできません。特にデザインチームのような組織は、設定できる基準も少なく、判断材料が乏しいと思います。

つまり、目標達成度に加え、個人がどのような仕事をしたのか、どんな能力を身につけたのか、組織にどれほどの価値を生み出したのか……といった、極めて曖昧な目標を評価していくことになります。ひいては、日々事実を記録する必要が生じるんです

会議時の発言、資料の出来栄え、仕事の手順など、日常業務での事実を記録をしておく。そして、結果とセットでフィードバックをする。そうすることで、相手に納得してもらうことができ、反省点や次に繋がる点を、一緒に考えることが可能になります。

また目標も、決めた後から長い時間放置をせず、定期的に一緒にチェックをしてあげることも大切です。なぜなら、スタートアップやベンチャー企業は、組織目標が変わることは多々あり、その都度、個人目標も途中で変更しなくてはならないことが生じるからです。もちろん、途中まで取り組んだ仕事も評価をすべきであり、総じて柔軟性の高い組織を作る必要があると考えています。

遠藤:
改めてありがとうございます。私も受講時に、この話はとても腑に落ちました。以前まではわかっているようで実践していなかった部分でもあったので、こうして可視化していただくと本当に助かります。

瀬川:
そうですね。また、EVeMのカリキュラムは、整理されていてとてもわかりやすい印象でした。

長村さん:
それは嬉しいですね。基本的にカリキュラムは、同じものを使用させてもらっているんです。たまにカスタマイズして欲しいという提案をいただくこともあるのですが、それはお断りをしていて。

自分たちが作ったカリキュラムは、内容、回数、順番共に自信があります。あくまでも手順に沿って研修を行い、その上で「では御社だったらこの時どうするか」と、そこで初めて具体的な悩みや課題に向き合っていく。自分たちの最大限のパフォーマンスを出すには、その方法が一番早くて効果的だと思っているんです。

(遠藤が研修の時に使用していたノート)


研修の成果は?
ADWAYSクリエイティブチームの変化

長村さん:
最後にお聞きしたかったのですが、お二人は研修中、また研修を終えてから、組織に対してどんなアクション・変化を起こされましたか?

遠藤:
EVeMの研修を受講している際は、平行してチームのビジョンを刷新し、短期・長期における目標、方針、戦略、アクションを再構築しました。

現在、新たな指針はチーム全体に徐々に浸透してきたように感じています。今後より組織一丸となって成長していくためにも、私はこの研修をクリエイティブチームのマネージャー全員に受けて欲しいと考えています。

デザイナーは、組織に所属していても、個人で取り組む仕事が多いため、対人とのコミュニケーションを行う機会が他部署に比べると比較的少ない職種です。そのため、マネジメントのハードルも少し高いのではないかと考えていて。ただ、研修を通じて自信を持って皆がマネジメントに向き合えるようになれば、体系化した共通言語で会話ができるようになると思うんです。

各々のマネジメント力が強くなり、組織としても育ち、結果としてチームのメンバー全員のパフォーマンス力も高くなる……。そうした良い連鎖を積み重ねることで、マネジメントの仕事が楽しいと思う人が増えていく。この一連の流れは、ひとつの目指すべきゴールだと思っています。

瀬川:
社員の人数がこれからさらに増えていく中、マネジメントの共通言語を自分たちの会社だけで作るのは、とてもハードルが高いですしね。

遠藤:
はい、そう思います。また、チームをデザインするという意味では、マネジメントもひとつの「デザイン」なのではないかと思っています。組織のメンバーに届ける課題をどうやって定義していけば良いのか。それは、普段私たちが行なっている、ユーザー思考で考えるデザインの仕事と、一緒だと思うんですよね。

マネジメント研修というと、どうしてもお硬いイメージがあるかもしれません。ただ、チームをデザインするプロセスを学べると思うことができれば、すっと頭に入ってくるかもしれない。新しいデザインを学ぶスタンスで、研修に望んでいって欲しいですね。

長村さん:
そういう意味で言うと 、私たちはこの研修を設計するプロセスのことを「プログラムデザイン」と呼んでいるんです。皆さんに提供をしているカリキュラムは、コンテンツの順番、教材、宿題の提出期限、講師の声のトーンなども実はきちんと設計をしていまして……。

例えば、少人数クラスにこだわっているのは、きちんとフィードバックができる環境を作りたいからなんです。厳しい言い方をしてしまいますが、単なるインプットを受けただけでは、人は何も変わりませんからね。

私は、人のアップデートは、アウトプットに比例すると思っています。
そのため、仮に大人数クラスで研修を行なうと、全員が発言する機会、つまりアウトプットが極端に少なくなってしまうことになります。

僕らは、あくまでも学びを提供することがゴールではなく「できるように」なっていただくことがゴールだと考えていますから。そのため、一緒にゴールを目指していくためにも、講義に対して好き放題にフィードバック(=アウトプット)をして欲しいんですよ。良い点・悪い点、どんなことでも良いので。反論だってしてくれても構いません。

遠藤:
なるほど、今のフィードバックの話は、日常業務でも生かせそうです。
改めてまた勉強になりました。ちなみに、実際に研修を行なっていただいて、私たちは客観的に見てどのような生徒でしたか?

長村さん:
それで言うと、名コンビ、ですよね。(笑) 役割分担がきちんと出来ていて、バランスが取れていると感じました。将来像を描くのが得意な遠藤さんと、今生じている問題をロジカルに解決していくことが得意な瀬川さん。
スキルやタイプが似ている方達が一緒に仕事をすると、ぶつかり合うことがありますが、お二人はそういった点が無さそうだと。

仮に会社を作る時があれば、二人で起業をしたらどうですか?

遠藤・瀬川:
いえ、まだまだアドウェイズでがんばります。(笑)

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座談会を通して、皆さんのマネジメント研修のイメージは変わりましたか?

知識を教わって終了ではなく、その先の実践するところまでを対象とする、まさに「マネジメントをインストールできる実践型の研修」であるEVeM。
実際のマネジメントを伴走してくださるイメージに近いように感じました。

また、マネジメント研修を「チームをデザインするプロセスを学べる」として捉えると、クリエイティブ職の方でマネジメントに距離を感じている方も、グッと身近なものにできるのではないでしょうか。

本記事にて、マネジメントに少しでも興味を持っていただく機会になれたら幸いです。

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なお、今回ゲストとしてnoteに出演いただいた、長村禎庸さんの著書『急成長を導くマネージャーの型 地位・権力が通用しない時代の“イーブン”なマネジメント』(技術評論社)は、全国の書店ならびにオンラインストアにて発売中です。


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今後もADWAYS CREATIVE BLOGでは、メンバーや環境、取り組んでいることなどをお届けする予定です。ぜひチェックしてみてください!


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