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LOFTのバレンタイン炎上広告の問題点を解説&代案提示

今年もバレンタインがやってきました。
バレンタインは1年で最もチョコレートが売れる季節ですから、プレゼントやチョコを販売する広告主からいろいろな広告を見られる時期でもあります。
2019年に物議を醸したLOFTのバレンタイン広告の何が論点だったか、炎上させないためにどんな配慮が必要だったのか分析してみます。


問題の広告内容

広告の動画内容はこんな感じ☟☟

女子同士のやり取り
終盤のシーン
キャプションの入った屋外広告

構造理解!炎上ポイント解説

1    意地悪なやり取り
2 女性キャラの表出で主語が女性に
3 目的や意図が見えないストーリー
4 ターゲットをからかう構造

1  意地悪なやり取り 

最もTwitterで批判を集めたのがこの終盤シーンです。

終盤シーン

左端のキャラクターが左から2番目のキャラクターの髪を掴んでいる点、右端のキャラクターが最右のキャラクターのスカートの裾を握っており、パンツまで見えてしまっている点が、何か不穏な事が起こっているように見えます。
更に、その前のやり取りを見ても、2人のキャラクターのやり取りには間があるように見え、表情もいささか不安を思わす眉毛のさがりよう。
何か実際の会話の裏に意図があるように思わす演出となっていました。

それが、消費者の頭の中で「陰湿で意地悪なやり取りが行われている」と解釈されることは自然だと思われます。

2 女性キャラの表出で主語が女性に

広告中のキャラクターは、消費者に混乱と不快感を招いてしまいました。
理由としては、一連のやり取りをする金髪のキャラクターが、若い女性であることです。この陰湿で意地悪な行動があたかも「女性特有、女性はこういう意地悪するでしょ」と言われているかのように理解されてしまいます。

実際に、炎上の元となった「不快」「女性軽視」との批判をしたのは女性でした。現実の女性と近い見た目のキャラクターは女性のステレオタイプを表す傾向があり、この広告も、男性や、男性社会に溶け込んだ女性が外側から「女性」を定義して表現したものに見えてしまいます

3 目的が見えないストーリー

こんな茶目っ気あるキャラクターがいても楽しいよね、という文脈で制作された広告であると思われますが、その表現をする目的が伝わりませんでした。
ロフトの屋外広告には下記のようなキャプションがあります。ここから広告キャンペーンの意図を読み取ると「女子の特権」であるバレンタインを「思い思いに楽し」むこと。

2/14㈭はバレンタインデー。あれこれ悩んで楽しめるこの一日は女子の特権。楽しまなきゃもったいなくない?あげたい人に選んで包んで作って募って、撮って、載せて、思い思いに楽しめる2019年のロフトバレンタイン。
今年は人気イラストレーター竹井千佳さんとほかのロフトコラボも実践。
ポップなデザインがオトメゴコロをくすぐります。
さあバレンタインを楽しもう!

広告キャプションより

しかし、その意図は、消費者の頭の中で、動画広告でのキャラクターの陰湿なやり取りとつながらず、ただ不快で女性軽視な表現と受け取られてしまいました。

4 ターゲットをからかう構造

今回のロフトの広告の茶目っ気あるキャラクターのふるまいは、見方によっては良かったかもしれません。しかし、バレンタインに向けてロフトにいくターゲットである女性の共感は得られませんでした。
なぜなら、バレンタインに向けて広告中のキャラが行うようなやり取りを女性同士で行わない、経験した事がない人が多いからです。

広告にしろそれ以外にしろ、面白いコンテンツは、からかうような表現も少なくありません。
例えば、Tinderは「どこかにいい人いないかなーって、一生言ってな。」という挑発的なコピーを出しています。これが不快感を喚起しにくいのは、そこに消費者(ターゲット)の共感があるからです。

出会うために行動を起こすべきだ思っていながら行動できていない人には、「確かにそうだな」と思わせるコピーだと思います。
広告制作で炎上を考える際には、ターゲットから共感を得られる内容か、ターゲットをわざわざ敵に回していないか、を考えると良いと思います。

不快感ゼロの代案!共感を得るには?

時代背景を考える

色々な人に話を聞いてみると炎上のあった2019年ごろは
「男性に贈るバレンタインから、女性が楽しむバレンタインへ」
という風潮が始まったころだったそうです。
確かに、広告を見てもその傾向が強い。


時代にのらないと、と広告主も
手探りの中で企画した広告だった可能性があります。

新しいインサイト(バレンタインも女性だけでも楽しみたい)が見つかった時、それを当事者に確認できれば、今回の広告とは違った表現になり、炎上も避けられたかもしれません。

では具体的にどうするか、というのを考えていきましょう。

広告目的に合った演出にする

今回、ロフトには「女子の特権であるバレンタインを思い思いに楽しんでほしい」という意図があったと思われます。
女子の特権が何なのか、「思い思いに楽しむ」はどんなことなのか、定義し、そこに対してロフトが提供できる価値を広告で表せれれば良かったです。
例えば、代案としては、

女子の特権:バレンタイン前に人目を気にせずチョコ売り場で盛り上がれる
思い思いに楽しむ:友達といろいろなチョコを買って食べる

と定め、広告中の女子キャラクターが一緒に買い物に行き、家でたくさんのチョコを食べる、などの演出にすれば、よかったと思われます。

キャラクターの茶目っ気を保ったまま共感を得る

今回、広告中で髪を引っ張ったり、スカートをめくるという行為をしたのが女性キャラだったことが、女性軽視とされる一因になっていました。
これをハムスターなど小動物のキャラクターに変えることが代案として挙げられます。

例えば、意地悪ないたずらをするキャラクターでも、ひねくれキャラとして知られるムーミンのリトルミイは「茶目っ気あるキャラ」を演出し、人気を博していますが、不快感は少ないのではないでしょうか。

現実世界と乖離した見た目のキャラクターは、意地悪な行いをしても、女性や男性、といった現実世界の消費者と繋がりにくく、ステレオタイプの助長にはなりにくい傾向があります。

落とし穴に訪問客を落とすなど、意地悪さがあるキャラ


広告の良し悪しはどう評価するのか

広告炎上や批判可能性を抑えること、メッセージを適切に伝えるには、
社会背景や、ターゲットの傾向、感情など様々な要因を理解する必要があります。
広告評価を行った経験を活かし、広告内容のチェックを行っております。
もし自社広告、発信内容に不安がある方はお役に立てますので、ご連絡ください↓

https://coconala.com/services/2658106?ref=service_recommend_provider


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