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家具のデザイナーになりたいと思ったきっかけ

家具のデザインについて話す前に、私の自己紹介がてら家具のデザイナーになりたいと思ったきっかけについて書いていこうと思います。

私は4年制大学にてデザインの勉強をしていました。いわゆる美術専門の大学ではなく、総合学科の中のデザイン専攻です。
(なぜこの大学に行こうと思ったのかについては後日お話しできたらと思います。)

そこでデザインの基礎中の基礎を学びました。グラフィック、プロダクト、空間などさまざま。
小さい頃から手を動かしてモノを作ったり、自分なりに改造したりしてモノを作る楽しさを知っていたのもあり、ざっくりと「モノのデザイン」がしたいと思っていました。

ゼミはプロダクトデザイナーである先生の教えを受けることになり、スピーカー、時計、照明、椅子などさまざまなモノを制作しました。

そんなデザイン勉強をしていく中で気付いたことがありました。

「あ、自分は表面上の美しさだけを追い求めている」と。

考えてみれば当たり前のことなのですが、モノを作る際、「構造」についてよくよく考えなければいけません。

この「構造」というものは、必要な機能を実現させたり、重力に負けないように強度を持たせたり、モノそのものを成り立たせるためのものです。
しかしそんな当たり前のことを、見せかけの美しさだけに囚われて、ないがしろにしていました。

表現したいイメージと、それを実現させる構造が釣り合ってなかったのです。

そこで、構造について勉強を始めました。ひとくちに勉強と言っても何から始めればよいか分からなかったのでとにかく色々なものを見てスケッチをしたり頭の中で分解したりしていました。

そんな時に別件でプロダクトデザイナーの先生と話す機会があり先生の部屋を訪ねると‥

部屋には先生がデザインしたものから、スピーカー・雑貨・時計などデザインされた逸品が勢ぞろい。その中で自分の目に飛び込んできたのが、名作チェアでした。

「こ、これは.....!なんという美しさなんだ!」

造形的な美しさはもちろん、人が座ってもびくともしない安定感、無駄がない構造。一瞬で虜になりました。もちろんこれまで家具を書籍などで見たことはありましたが、実物を見ると何とも表現しがたい感動に包まれたのを覚えています。

それから家具を調べ、勉強し、卒業制作では「音楽を聴いてリラックスができる椅子」というものを作りました。

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(ヘッド部分にスピーカーを埋め込み、座面には音楽に合わせて振動するウーファーのような装置を埋め込んで全身で音楽を感じながらリラックスをする、というマニアックなものです。設計については人間工学に基づいているので大抵の方が心地良いと感じるようにしました。)

家具は構造が見た目の美しさに直結します。ごまかしがきかない厳しい世界でもあります。一箇所何か変更があると全てに影響してきます。

難しいけど、難しく考えすぎるとうまくいかない。家具は究極のデザイン作業であると思っています。

デザインとは‥と考え、構造に壁を感じ、家具に魅せられたわたしは、家具デザイナーになるぞ、と決意したのでした。

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