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ロザムンダ 5月6日〜365日の香水

薔薇の5月
鈴蘭祭のこともありミュゲ(muguet)〜鈴蘭の香水の紹介が続いたけれど、5月は薔薇の季節でもある。
この時期に咲く香料用途のローズセントフォリア種は南仏グラースでは「ローズ・ド・メ」(rose de mai)
の名で呼ばれる。メイローズ(may rose)、5月の薔薇という意味だ。
毎年、5月には「バラ」をテーマにイベントを開催している。
その時は、香料用の二大ローズであるダマスクローズとローズセントフォリア、それに加えて多くの人が庭先に咲くものや花屋の薔薇を通して感じる“総体的なバラ“のイメージを持つベース香料と3種類を用意している。

薔薇の古代史
薔薇と人類の関わりは古代からある。
アテネの女流詩人サッフォが、「もしも花の女王を決めるなら、それは薔薇」とうたい、このことから薔薇は「花の女王」の地位を獲得した。
クレオパトラがアントニウスとの謁見に向かう船には薔薇が敷き詰められ、沿岸のアントニウスは風に乗って運ばれてくる薔薇の香りにすでに心奪われていた、という実しやかな逸話も有名だ。
ギリシア神話ではヴィーナスの誕生に伴って生じた海の泡が薔薇になったという。
ヴィーナスにまつわるだけあって、アロマセラピーではローズの精油は女性の美に貢献し、また幸福感をもたらすと言われている。

薔薇ノ木ニ薔薇ノ花咲ク 何事ノ
不思議ナケレド
(北原白秋)
以前もnoteに書いたけれど私なりの解釈は「自分を生きる」ということ。薔薇の木に桜の花は咲かない、当たり前のように薔薇は薔薇、桜は桜を生きる。
その奇跡を見過ごすことが禍(不幸せ)なのかもしれない。
植物に学ぶことは多い。
何より、先日のミュゲといい美しく花が咲く情景は想像しただけで、心に刺さった棘が抜けるようだ。


rosalunda/laborarorio olfativo/2012
ラボラトリオ オルファティーボは直訳すると嗅覚のラボ(実験室)という意味になり、ニッチフレグランスであるこのブランドの哲学を現しているようだ。
この香りの調香師はマリーデュシェーネ(marie duchene)。
ブルガリアンローズ、ローズセントフォリアをふんだんに使い、パチュリやアンバーなどの深みとあたたかみのあるベースノートと程よい感じのアコードが取られている。ここにヴァイオレットやグリーンなトップノートになると意外と典型的なローズ系フローラルブーケになりそうだ。何かを取り除くという“実験”もなかなか面白い。それに勇気がいる。
香水は調合の結果が形。選ぶものと選ばないものがある。そこに何の不思議もないけれど、生み出される作品はやっぱり奇跡だと思う。

香り、思い、呼吸。

5月6日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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