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夜明け 4月28日〜365日の香水


なかなか扉が閉まらず上昇しないエレベーター、橋桁が欠損して遥か下に川が覗く吊り橋、把手が高い場所にあって手が届かないクローゼット。やがてエレベーターは一つ上のフロアに着く。薬とスナック菓子の売店。案の定、高い吊り橋から落下する、川の中で死にかけるけれど川岸に辿り着き助けられる。把手には手が届かないけれど、扉の下を持って開けたクローゼット、中身は空だった。
ここ数週間ほどの私の夢のいくつか。

夢の分析
chatgptに分析を頼むと、「次の場所」「足りない何か」「リスクと克服」そのような共通点が見つかった。ここ数週間にみた夢は、分析など依頼しなくても自分にとって、新しい方向、決定打の欠落、それでもやっていけることを示していることがよくわかる。
顕在化していない心のウチが夢になったのだと思う。
専門家では無いけれど、夢を見て記憶していることはよくあるから、興味本位で夢分析を試みることもずっとしている。
とにかく、何かが始まろうとしている。

夜明け前なのだろう。

demi-jour
夜明け前のことも夕暮れのことも、このようにいうそうだ。闇が半分、光が半分、二つに境界線はなく、溶け合いながら徐々に、どちらかが増していく。
この時間ですぐに思い浮かぶのはゲランのラールブルーだ。夜明け、夕暮れ、完全に朝あるいは夜が訪れる前の微妙な空の青にインスパイアされた香水。
この色合いに対し、ウビガンのデミジュールは、日の光そのものにフォーカスした。
半分くらいは日の下。
完全に一つになるよりも二つが溶け合い始めた時間は、安らぎと優しさに満ちてとても柔らかい。

夢分析では私には不安や不足感があるようだけれど、見方を変えれば、今いる場所と次に行く場所の境界線が滲みぼんやり心に映る今という時間は、希少で、そして優しい時間なのかもしれない。

demi-jour/houbigant/1987
魅力は、クラシカルなカットガラスのボトル、あえて懐古趣味でデザインされたものだろう。
18世紀の終わりくらいに気持ちが馳せてゆくボトルだ。
バイオレットが特徴的でこれをホワイトフローラルが柔らかく包む。アルデハイドの特徴もあるけれど全体にとてもクラシック。それはゲランに代表されるふくよかさ重厚とは一線を画すもので、安らぎ、控えめ、といったところだろうか。
軽さとは違う、けれど重さではない。
そこも「半分」の美なのかもしれない。
これから何かが変わっていく、そしてそのことにも夕暮れが訪れる。その時また、この香りを思い出したい。

香り、思い、呼吸

4月28日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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