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グリーンティ・エコロジー5月4日〜365日の香水

ティーフレグランス
グルマン同様にすっかり定着したティーフレグランス。台湾発の中国茶の香りに特化したブランドもある。
その先駆けになったのが、今日の香水、みどりの日の香水はブルガリ(Bvlgari)のオパフメ(eau parfumee)である。実はラグジュアリーブランドのブルガリが香水を手掛けたのはかなり遅く、第一号にあたるこのオパフメが登場したのは1990年代に入ってからだった。
ブルガリが初の香水のテーマにしたのが「日本の緑茶」だった。これを皮切りに、ブルガリはジャスミン茶、ブラックティ、ラプサンスーチョンティーなどお茶をテーマにした香水を次々に世に送り、ティー系フレグランスの波及と定着を牽引した。

茶のマインド
オパフメが先駆者となり、これに他のブランドも追随し、その緑茶フレグランスがバズるなど、グリーンティーの香水はブームになった。
これまでにないナチュラルでユニセックスな香調は「エコロジー」志向が高まる世紀末にフィットしていたようだ。
緑茶といっても、そこには茶道に通じる精神性や日本的な繊細な美意識も重なり、香りだけではなくその世界観をブルガリは世に送りたかったのだと思う。
競争や争いに疲れ、ゴージャスやリッチに対するもっともっとという欲求に懐疑的になった人々が、日常の些細なことに美を見いだす、喜びを感じるマインドに注目し支持したのかもしれない。

eau parfumee/bvlgari/1992
調香師はジャン・クロード・エレナ。エルメスの主任調香師になる以前のワークだけれど、あの“庭シリーズ”に通じる透明感、繊細さ、軽さがある。
オパフメは、そのまま「香りの水」という意味だから、ティーフレグランスという新機軸を立てながら、誇張や装飾を極力排除したミニマルな展開がネーミング、コンセプト、香調に一貫している。
オレンジやベルガモットの柑橘系が品良く香り、ミュゲやローズがライトに広がる、この流れにグリーンティが加わることで、シンプルながら、これまでとは一線を画した香調になっている。
ライトなのにどこか心落ち着く、柑橘が香るのにどこか心静かな香りなのだ。
現在は若干のリニューアルがされて、「eau perfumee the vert」の名になっている。
心を研ぎ澄まし、自然と一体化する、そういう哲学が見え隠れする優れた香り。
ブルガリとジャン・クロード・エレナと日本の緑茶、20世紀末の奇跡の出会い。

グリーンティー・エコロジーという言葉はないけれど、オパフメのメッセージを直訳するとこうなるかもしれないと思った。

香り、思い、呼吸

5月4日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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