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オルガンザ 3月11日〜365日の香水

薄くて透明で軽くて張りのある平織り
厳密にはフランス語でもオルガンザ(organza)とオーガンジー(organdi)があって、今日のテーマの香水はオルガンザの方である。
これまで、オーガンジーのフランス語がオルガンザだと思っていた。
けれど繊維の世界では二つは似ているけれど別々のものを指すよう。
こちらのサイトでは、綿でつくられていたうすくて張りのある平織りのオーガンジーから派生した、ナイロン素材なども含めた平織り物を総称してオルガンザと呼ぶとあった。
いずれにしても、”透明感があって薄く張りのある平織りの生地”のイメージが今日の香水のネーミングだ。

オーガンジーを重ねたように
私は時々、香りに対してそういう表現を使うことがある。それぞれはライトなフローラルのアコードをいくつも重ねて、全体的に淡いイメージがありつつ、多層的で複雑さをもつ香り・・・特にフローラルノートをそう表現したりする。
薄く軽い布の重なり、ライトなフローラルの重なり、いずれも淡く柔らかい光の通りがあり、優しい。
ドレスにしても、ベールにしてもオルガンザやオーガンジーだけだと柔らかく優しい雰囲気で、そこにレースやスパンコールが彩られていくことで華やかさがでてくる。

穏やかな風
私がサロン活動の中で大切にしているファクト「ときめく会話」「目から鱗の大刺激」「穏やかな風」「エレガントな尊重」のうち、「穏やかな風」にオルガンザやオーガンジーの風合いは通じるかもしれない。
しなやかな曲線をつくり、首筋や肩のラインに添うように体を包む、オルガンザの創り出すのは、ゴージャスさや主張ではなく、穏やかな風になびくような優美さなのだろう。包まれて和らいだ心地になる。
それに、全ての光を通さないことも優しい。少しぼやけている、くらいが程よい時もあるのだ。

organza/givenchy/1996
創業者のユーベルドジバンシーが引退した翌年にこの香水は世に出た。
ホワイトフローラルにグリーンノートを織り交ぜながら香りは始まり、やがてチュベローズ、ジャスミンがラストノートまでを継承していく。
柔らかいオルガンザが風にそよぎ、纏う人を引き立てるように、香りもまた自己主張は控え、その人が通り過ぎた後に振り返り、感じる・・・そういう構成。ジバンシーが追求した優美さをこの香水は継承しているようだ。

香り、思い、呼吸。

3月11日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

そして、今日は東日本震災が発生した日でもあります。
これを書きながら、今も大変な思いををされている方に少しでも一時でも、
柔らかく穏やかな心地に包まれる時間が訪れるよう祈り、私にできることをしていきたいと思います。


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