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幸福のスズラン 5月1日~365日の香水

5月1日
今日、5月1日は「スズランの日」としてフランスでは大切な人や好きな人にスズランの花を贈り、相手の幸せを祈るという日だ。
「幸福の帰来」「聖母の涙」などスズランの花言葉は幸せと慈悲に関するものが多い。
香りの良い花として愛されてきたから、香水としても、この日にスズランを贈りあうように、香水をまとう人の幸せをイメージしているものが多いのだと思う。

幸せの概念
英語のHAPPYの語源は古語の「HAP」でこれは偶発性のような原義があり、「運がいいこと」が英語での幸せということになる。
フランス語のBonheurは、「bon」(良い)と「heur」(時、運)の組み合わせで、「よい運」がくることが幸せ、のようだ。
中国語の「幸福」も運の良さを表す文字の重なりのよう。
日本語の幸の文字も同じ意味だったのだろうけれど、もう一つ「仕合せ」という表記がある。これは「仕合せる」、つまり人と人の間に関係が生じることを表している。日本での幸せというのは運や吉兆ではなく、人と人の関りの中で生まれる、という見え方に思えてくる。
贈る人の気持ちと、受け取る人の笑顔の間で、スズランの日は成立する。

muguet du bonheur/caron/1952
香水を学ぶときに花香調(フローラルノート)から学んでいった。花香調の中にはシングルフローラルとフローラルブーケがあって、シングルは1種類の花香を表現の主としたもの、ブーケは複数の花香が主となったものだった。シングルフローラルは学ぶときはキャロン(caron)のミュゲドボヌール(muguet du bonheur)~幸福のスズランとコティ(COTY)のミュゲデボア(muguet  des bois)~森のスズランをよく”教材”にした。
muguetはフランス語でスズランのこと。
同じ種類の花をテーマにして、同じシングルフローラルタイプだけれど、趣やメッセージの違いを味わうというよりも、当時は”香りの違いを覚える”ことで必死だった。

キャロンのミュゲ
ボヌールの方はスズランのフランス語ミュゲ(MUGUET)がムスク(MUSK)の語源になったようにこの可憐で清楚な花の意外なほどの香りの強さを活かしているように当時思った。それは今もあまり変わらない。
香りはかなりリニューアルされて、現在はグリーンに寄っているけれど。
キャロンの香水と聞くだけで、創業のころからの独特の香りのポジショニングを思う。ゲランの格調、重厚感でもなく、COTYの革新性でもなく、キャロンの持つ独特のニュアンス。それは幸福のスズランと名のついたこの香水も持っている。
仕合せは、関係性の中で各々が独自のニュアンスを持つ、ということかもしれない。

香り、思い、呼吸。

5月1日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。



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