見出し画像

ダリの水 3月19日〜365日の香水

ダリ美術館の思い出
サルバドール・ダリの香水を最初に見つけたのはモンマルトルのダリ美術館だった。
モンマルトルはもうかなり昔のことで、そしてその旅の精神状態はあまりいいものではなかったので、"びっくりさせようとするダリ"とどうしても気分が沈んでしまう自分との対比の中の記憶になっている。
それでも、遭遇する世界に結局、”びっくりした自分がいた”。
6年前に訪れたフィゲラスではダリが常連だったレストランのある小さなホテルに泊まって、実際にダリコースなる夕食をいただいた。
翌日訪れたダリ美術館はダリの全てだった。
様々なパロディも含めて、物事を違った捉え方をしようとする視点、遊び心、妻ガラへの愛、思い出してもワクワクしてくる。
私自身の気分もあったと思うけれど、フィゲラスではよりダリの多面に触れられた気がしてる。奇の発想、賛美、憤り、愛情・・・。

ダリと香水
ダリのフレグランスは、その着想に基づいてアーティストがまだ存命だった1983年に始まった。香水ラインは現在も新作を出し続けている。
初期のシリーズは唇の本体に鼻がキャップになって、「メイ・ウエストの部屋」がモチーフと思っていたけれど、絵画「クニドスのアフロディーテの顔の出現」からインスピレーションを得たものだった。パッケージにはその絵が施されている。モンマルトルでみつけた漆黒のボトルのDali Parfumが第一号だ。

EAU de Dali/salvador dali(Cofinluxe)/1995
第一号が黒のイメージカラーを纏っていたけれど、こちらはパッケージもボトルもベビーピンク。けれど「クニドスのアフロティーテの出現」がモチーフであること、カラー以外のデザインはボトル、パッケージともDali parfumと同じ。
香りはどうか。
トップノートでは柑橘系と仄かにピーチ。ミドルのフローラルもダリが好きだったらしいローズを中心にホワイトフローラルがバランスよくでてくる。
いい意味で癖がなく、奇の発想というよりも心地よいナチュラルな香りという感じになっている。
イメージカラーのベビーピンクそのままの優しい心地よさ。
この手の香水は、有名なアーティストの名前だけ関して中身はお土産香水レベルということも少なくないけれど、生前からダリとガラが制作に関わっていただけあって、その思いを継承してダリの亡くなった後に出たこの香りは”ちゃんとしている”というのが率直な感想。
冒頭で、ダリを”シュールレアリズムの”作家と敢えて書かなかったのは、モンマルトルやフィゲラスを訪れ、実に多面的な作家の世界に触れたからだ。ダリの香水シリーズも同様だ。
オードダリeau de daliは、ベビーピンクのダリ。

香り、思い、呼吸。

3月19日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?