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バラライカ 1月16日~365日の香水

「バラライカ」って何?
耳慣れた言葉のようで、実は何のことか知らない、というものは少なくない。コレクションにあったアンティーク香水の「バラライカ」という名もその一つ。音の響きからなんとなく異国情緒を感じていた。
バラライカはロシアの民族楽器で、ギターのようなもの。
伝統の踊りの伴奏、民族音楽を奏でる弦楽器のことだった。
ロシアの文化というのはヨーロッパの人々にインスピレーションを与えるものだったようで、バレエがその代表だけれど、きっとロシア民謡や踊りも郷愁を誘ったのだろう。そして衣装などもそうだから、30年代から40年代が活躍の黄金期だったルシアンルロンも何かしら自身のクリエイティブにその影響を取り入れたのかもしれない。
ルシアンルロンからはこの「バラライカ」よりも先に「ロシアの皮」というレザーノートの香水が出ている。

BALALAIKA/Lucien Lelong/1939
リリースされた1939年は第二次世界大戦が勃発した年。
既にロシアはソ連になっていた。
やがてナチス占領下となったパリは屈辱的な時を過ごさなければならなかった。
シャネルやスキャパレリ、ランバンなどとともにトップブランドとしてモード界を牽引していたルシアンルロンの新作香水「バラライカ」は、どんな風に人々の目に映ったのだろう。

バラライカに寄せる思い
このコレクションはブロカントで見つけた。暖かみのあるウッディとフローラル、豊作を祝うような少し明るい舞踊をイメージしたのだろうか。優しい香りだ。
デザイナーがバラライカというロシアの民族楽器に託したのは何だったのだろう。
エキゾチック、近いけれど既知ではない世界観に触れたときの高揚感、そういう夢をパリの人々に見せたかったのかもしれない。楽器を模したユニークな形のボトルにもそんな遊び心が伺える。
その土地が、その人々の育くんだ文化、それはいつの時代も誰に対しても
互いに尊重されるべきものと、改めて思う。

香り、思い、呼吸。

1月16日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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