見出し画像

TrueLove 5月7日〜365日の香水

真実とは不変
真実、純粋、深い・・・愛という言葉にはいろいろな形容詞がつく。
結婚の誓いで用いられるのは真実の愛(TRUE LOVE)が一般的なようだ。
19世紀くらいからなのか、政治経済上の理由ではなく”愛情”から結婚相手を選ぶということが始まったと聞いたことがある。そして、愛に基づく結婚の方が政治経済上の結婚に勝るという大衆心理から「真実の愛」という誓いが結婚式で取りざたされるようになったそうだ。
ちなみに、TRUEの言葉のルーツをたどると古代インド・ヨーロッパ語で「固い、長持ち」という意味の言葉に行きつくらしく、人類は「真実」に対して、永続性、不変であることをその条件としてきたことがうかがえる。
朝は必ず訪れ、大地は永遠にそこにある。
人が生まれて生涯を終える短い間の視点では、それらは確かに不変であったかもしれない。

真実とは変幻
好き、一緒にいる心地よさから、役に立ちたいという気持ちの芽生え、感謝、存在そのものへの思い、のような変化は起こる。その逆で感謝することもなくなり、疎ましくなり不快になるという変化が起こることもある。
恋愛に限らず、人の温かい気持ちに触れたり、嬉しい評価に接したりすると、どうかそれがずっと続きますようにとつい願ってしまう。
それは、変わることの方がむしろ自然なのだけれど。
相手が変わらないことを願うのではなく、変わっていくものに対する自身のとらえ方、見方、あり方を変容させていく。
それが私が自己変容を重視するのは、そういうことだと思う。
諦めではなく、すべてはうたかた、というのが真理。
しがみつかずに、惜しまずに、粛々と川の流れを見つめたい。
つねに変幻することが、たぶん唯一の真実なのだから。

TRUE LOVE/Elizabeth Arden/ 1994
この香水については音声配信もしていた。調香師は尊敬するソフィア・グロスマン(sophia grojsman)で、年代を問わず「好きだ」と思える香りがことごとく彼女の手掛けたものだった。
もともとこの香水のコンセプトは、”ピュアな真実の愛の誓い”のようなものであったはず。ベビーピンクの液体や優雅であり慎ましやかなフローラルノートからも、それは感じ取ることができる。
フルーティとグリーンのバランス、ローズとイリス、ホワイトフローラルのバラス、アンバーやバニラのエンディング、これらの”加減”は彼女のどの香水に接しても絶妙さがあって敬服させられる。
ソフィア・グロスマンに固有のセンス。

”うたかた”の儚さ、心もとなさ、寂しさを受け入れつつ、この香りを目と閉じて味わえば、暖かい言葉や視線、笑顔とともに贈られた共感、折々にもらった”真実”が自分を支えてくれそうな気がしてくる。

香り、思い、呼吸。
5月7日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。


この記事が参加している募集

私のコレクション

with 國學院大學

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?