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NO.5 eau de toilette 5月15日〜365日の香水

オードトワレとして美しく
シャネルの五番(N°5/chanel)にはパルファン(parfum)とオーデパルファン(eau de parfum)とオードトワレ(eau de toilette)が現在はある。
今日の香水はその中のオードトワレ。
オードトワレは与えられた腑香率(香水に含まれる香料濃度のこと)の中で、”最も美しく””最も五番らしく”あろうとして、この世に存在している。
※腑香率については末尾に記載

シャネル五番の推察
1930年代から40年代にかけて、パルファン・シャネル社は”買いやすい価格設定”のため「小瓶」で販売する工夫を始めた。
そこで思うのがこの時、腑香率によるラインアップがすでにあったとしたら、ということ。パルファンではなくオードトワレを主力にするという判断もあったはず。価格的にはオードトワレの方が遥かに手に取りやすいからだ。
ただし、当時まだパルファンしかなかったのなら、この「小瓶」の戦略はうなづける。

オードトワレの作者は誰なのか?
こう考えたきっかけは、シャネル五番のオードトワレの調香師を調べたら、1921年に五番のパルファンを手掛けたあのエルネスト・ボー(Elnest Beaux)となっていたためだ。
(シャネルのウェブサイトでも現在のオードトワレが明確に現在の調香師により手直しされたという記載はない。)

私は五番のオードトワレはエルネスト・ボーより後世のものと思っていた。長い間、香水、香料に従事してきたつもりでいたけれど、今日、未知で未調査のことがたくさん出てきた。それは、五番のパルファンとオードトワレについて書き分けようと思ったところから始まった。
疑問も持たずに過ごした日々・・・新しい疑問を見つけられたことがなんだか幸せだ。

腑香率(香料濃度)によるラインアップ展開はいつから?
歴史に名を刻む名香の発売された年は資料やデータベースでも収集できる。けれど腑香率ごとに厳密にパルファンはいつで、トワレは何年でということはあまり資料にないし、これまで意識していなかった。
そもそもこの腑効率でラインアップする習慣はいつから始まったのだろう?

N°5 eau de toilette/chanel/????
マイナーチェンジを重ねてきたのはパルファンもオードトワレも同様。
最新のバージョンと半世紀ほど前のものを比べてみたけれど、微妙に過去のものの方がバニラやウッディ、アンバーなどが早くやってくる。
最新版はアルデハイドに促進され豊かなフローラルを特にトワレでは顕著に感じ取ることができる。

「オードトワレとして美しく」
与えられたこの香料濃度で五番の世界観を最大限に表現するための処方が組まれている。パルファンの時から調整、変更されたからこそ、オードトワレとして美しく、香る設計になったのだ。
ココ・シャネルが体現した新しい時代の活動的な女性像を思うと、いまの時代にはフローラルな広がりと軽やかさがあるオードトワレの方が、躍動感をより強く感じられる。

香り、思い、呼吸
5月15日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。


腑香率についてはこちらのNOTEをご参照ください。

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