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メタル 4月29日〜365日の香水

未来的な御三家
前にも書いたけれど、パコ・ラバンヌ、アンドレ・クレージュ、ピエール・カルダンはデビュー当時にスペースエイジとカテゴライズされ、未来、宇宙時代を思わせるファッションでライジングしていった。
ミニスカートや幾何学模様、これまでファッションに用いられることのなかった素材、中でもパコラバンヌの代名詞といえばメタル。
幼少期にスペイン内線が始まり、父は処刑され残された一家はパリに亡命した。そんなパコ・ラバンヌのキャリアのスタートはバレンシアガへのアクセサリーの提供であったということなので、メタリックな素材はもともとデザイナーに馴染んだものだったのかもしれない。

未来は人工
大衆のイマジネーションは未来を考える時に、この上なく人工的、機械的になっていくのが面白い。
産業革命で、人々の生活も国家のあり方も激変したことが現代につながっているのだから、発展ということが、そういう想像になるのも道理なのかもしれない。
今のところ、人類を宇宙に導くのは科学の発達なのだ。ぼんやり、いつの日かたとえば月との間に雲の道ができて、渡って行けたりすることがあるかもと、想像したりする。

独創的な世界の進化
画像検索で見つかるパコ・ラバンヌのメタリックなドレスは、今の時代では当たり前にあちこちで見られる発想、技術のように思える。初めて目にした時、人々はどんな反応だったのだろう。驚き、そして当然のように批判もあったかもしれない。
彼はいつどのようにしてアクセサリーをドレスにしようと発想したのだろう。アクセサリーを着るようにドレスを着る。長いクリエイティブワークの中で、独創性のある一貫したテーマを進化させてきたことに敬服する。

metal/paco rabanne/1979
グリーンフローラルなこの香りは人工、機械的というより自然の緑、草原の花々を思わせる。
ヒヤシンスやミュゲ(鈴蘭)が香るあたりもオーセンティックと言っていいグリーンノート。
ただし、後半になってチュベローズやジャスミンの残香とモッシーが重なり、グリーンでありつつヘビーな感じが出てくる。これが、当時はそれまでになかったグリーン感で、デザイナーのクリエイティブとリンクする新しさ、だったと推測する。
メタル遠テーマにしつつ、アルデハイドの多様やオリエンタルに行かずに、グリーンを主香にしたことは、かなりの挑戦でもあったはず。
確かに、パコ・ラバンヌのメタルのドレスは、どれも金属質の素材を使いながら、体の線を柔らかく描き、しなやかな動きを感じさせる。
それを香水にするなら、やっぱり草木花々、だったのだろう。

香り、思い、呼吸。

4月29日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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