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【広告・マーケNEWS】「!」型広告と「?」型広告=2大アプローチの秀逸事例を考察・・などトレンドニュースまとめ

毎朝1つずつ、広告・マーケの最新トピックから得た洞察を投稿しているホイポイプロダクションズのX(Twitter)の1カ月分の内容をテーマ・項目別にまとめて掲載します。

広告クリエイティブ

PickUP①:最大級の「?」型広告アプローチ

言論機関の広告が「キレイゴト」であってはいけない、とはいえ宝島社ほどタブーを題材に時代に大きな「?」を投げかけた企業はない。能登地震直後の24.0105掲載の「失われた30年じゃない。天才たちが生まれた30年だ。」はこれまでの暗部を抉るアプローチではなく、皆が諦めたものに光を当てるもの。
参考:「死ぬときぐらい好きにさせてよ」タブーだった「死」に触れた広告
▶当該ニュースを基に記事化しました:「!」型広告と「?」型広告。直近の広告事例を紐解きながら2大アプローチのさじ加減を考察

PickUP②:広告主と制作者の遠投キャッチボール

広告制作は依頼者と制作者の会話の中から生まれる。依頼者がオリエンの場で示す「テーマ」をどう打ち返すか?そのやりとりがいきいきとみえる宝島社の蓮見社長追悼連載だった。「今回のテーマは凄いぞ、世界平和だ!」「今回は嘘でいこう」など大きなディレクションがあり、それを見事に打ち返す制作者
参考:「噓つきは、戦争の始まり。」 宝島社が広告で問いかけた「平和」とは

PickUP③:「わかりやすさ」を突き詰める

秒数の少ない広告はコミュニケーションスピードを上げるために既存のモチーフを援用することが多い。味の素の「フードロスラ」はゴジラがモチーフでアカデミー視覚効果賞の白組・山崎貴監督を起用して注目度も上げている。半分の244万トンが家庭の残飯ということを怪獣としてわかりやすく見える化した
参考:廃棄食品の“悲しみ”が生んだ巨大怪獣が街を襲う 味の素Web動画

PickUP④:海外に向けての大声を近場に聞かせる

日常に溶け込みすぎたブランドは「海外向け」に打ち出す様子を日本人に見せることで新鮮な捉えなおしを促せる。森永製菓のチョコモナカジャンボはインバウンド旅行者向けに「A tastiness only found in Japan」をスローガンに忍者を起用した動画やサンプリングを実施。日本人にもリマインド効果は絶大
参考:森永製菓「チョコモナカジャンボ」を訪日客に 浅草寺で2万個のサンプリング実施

PickUP⑤:気持ちに寄り添うアプローチ

サンリオの新CMは「いかに上手くやるかではなく、いかに笑ってやるか」をテーマに深夜に頑張って仕事をする人たちにキャラクターが寄り添い、笑顔にさせるシーンを描く。タグラインの「笑おう、いっしょに。」が画面いっぱいに出るのが印象的。一緒=人々に寄り添うポジショニングを改めて宣言している
参考:キキ&ララやハンギョドン、キャラクターたちが日常に寄り添う サンリオ企業CM

PickUP⑥:利用シーンを絞り込んでブランド鮮度を更新する

ブランド鮮度を上げるアプローチの一つに利用シーンを絞って訴求することがある。ワンダの「朝専用モーニングショット」は有名だが、直近では野菜生活100が「朝を味方に。」をキーメッセージにして展開している。緑黄色社会の起用もブランドリフレッシュに一役買っている。
参考:カゴメ、「朝」の飲用シーンに着目 「野菜生活100」で新CM 

PickUP⑦:物性をチャーミングに遊ぶ

コンテンツはモノの物性を取り出し、遊ぶことでチャーミングな引力を発生させる。UHA味覚糖の塩あずきは石川さゆりのCMソングを展開させて「あずきと塩の許されない恋のゆくえ」というMVを制作。あずきと塩男の恋模様に母さゆりを絡めるという遊びゴコロが上手い。
参考:UHA味覚糖「塩あずき」、石川さゆりが熱唱のCM楽曲を実際に発売

PickUP⑧:恋する部品、という異物感

一般に馴染みの薄いBtoBでもチャーミングな打ち出しはできる、ということを証明したのが村田製作所。2000年代前半の「恋する部品製作所」「村田製作所は、きょうも、小さいことをやっています」はラジオCMも含め当時感心しながら観ていた。BtoBのブランディングはリクルーティングや社員満足につながる
参考:脱部品の村田製作所が目指した「エレクトロニクスで世界を変える。」が生まれるまで

▶このNEWSを基に作成した記事はコチラ➡「符牒」としての広告コピー。一行でパッとイメージが拡がる脳のスイッチの押し方

PickUP⑨:「ほどける」プロモーション

小芝風花とマカロニえんぴつのはっとりさんを起用した紅茶花伝の2024ブランドメッセージは「あなたがいると、ほっとする」。ショルダーの「ほどけるひととき」が効いている。また「休み時間」をコンセプトにしたinterfm「ほどけるラジオ」の展開もあわせて多層的に世界観をカタチづくっている。
参考:「紅茶花伝」新CMでマカえんと小芝風花がコラボ 深川麻衣出演ラジオも開始

マーケティング

PickUP⑩:「誰もやらない」というブルーオーシャン

普通に考えたら筋が悪くて誰もやらない、だからこそブルーオーシャンを満喫できる。という勝ち筋はある。テオリは値段がつかないから手入れもされない竹林の竹を集成材にして、竹ならではの「しなり」を味わえる家具を製造。30-50年かかる杉に対して3-5年で出荷できる竹材の活用は成長余地も大きそう。
参考:「しなる」ものづくり、「しなる」経営

▶このNEWSを基に作成した記事はコチラ➡編集部が思わず取り上げたくなるアイテム。メディアインサイト埋め込み型のプロダクト開発とは

PickUP⑪:スポンサーからパートナーへ

広告モデルが生まれて70年以上が経過し、綻びも目立つようになっている。本来番組制作を支援しているスポンサーへの感謝を視聴者は完全に忘れ、邪魔者扱い。そんな状況を打開するBEAMSのZ世代向けの取組みはスポンサーからパートナーへの切り替え。制作により深くブランドが入り込むことで売上も上がる
参考:積極的パートナーシップが生み出した、Z世代を動かす波

デジタルマーケティング

PickUP⑫:AIを愉快な相棒に

AIは人の仕事を奪うという目線ではなく、上手に使って人生の味わいを増す方向で考えていきたい。たとえば視覚障害者のためのAI実況。人的リソースが割きづらい領域にAIを活用することで、人生の楽しみを増やせるが、これを子どもの運動会や草野球、家族のボードゲームに応用すればさらに楽しそうだ。
参考:AI実況はスポーツ観戦をどう変える? 「Voice Watch」

PickUP⑬:文字通り「ムズムズを逃さない」広告アプローチ

同じメッセージでも、受け取るタイミングによって受け止め方は大きく変わる。花粉なら「ムズムズ」してきたタイミングで広告接触すると購買行動に直結し、タイミングがズレるとロスが発生する。気象データをもとにエリアごとの飛散予測に基づいたTVCMキャンペーン展開なども現在では可能になっている。
参考:「売れどき」を外さない!シーズンインとピークをビッグデータで予測せよ

PickUP⑭:ビッグデータをこねくり回したらイノベーションは生まれるのか?

データをこねくり回しても新しいサービスは生まれない、がこれまでの通説でしたが、世の中の全オープンデータと購買履歴を含むファーストパーティーデータをベースにAIに任せたら話は変わるかも。というサービスをNECが開発した模様。まずはENEOSのスタンドごとの併設サービス最適化に活用するという。
参考:ニーズありそうなサービス立案 NEC、生成AIで事業化へ

消費者インサイト

PickUP⑮:シンプルの選別に残るブランド戦略

決済サービスだけでもいくつもある現代、あらゆるモノが煩雑でその取り扱いが私たちの隠れストレスになっている。一人の人間が関われるブランドは有限なので生活者は付き合うブランドをシンプルに絞り込みたいと志向するようになっており、その限られた選択肢に入ることがブランドマーケティングの目的
参考:米州地域を読み解く dentsu Americas マイケル・コマシンスキCEOインタビュー

PickUP⑯:オンラインの「意味」が問われ直している

キレイゴトだけの一方通行な会社説明会ならオンラインで、むしろ動画コンテンツ一本で充分。移動コストでオフラインは地方の有能な学生を取りこぼすだけ。既に86%の就活生はオンラインがメインである。オフラインの接点を作るならOBOG訪問の代替となるようなリアルコミュニケーションの場とすべき。
就職人気企業ランキングはもう古い!?今の就活生インサイトとは

PickUP⑰:最適化の先にうまれる居心地の悪さ

最適化を進めた先がニンゲンにとって全然最適解じゃない問題。タイパ重視で失敗したくないといわれたZ世代は現在、むしろ最適化されていない「余白」からもたらされる偶発性やガチャ感による新たな自分の価値観の発見こそがパフォーマンスだと感じるようになっている。偶発性効率って矛盾してるけど...
参考:若者がまちに求めるのは「ネットでは味わえないガチャ感」~ツギクルまちのカタチとは?

PickUP⑱:たった一人、から始めて洞察の解像度を上げる

「なぜ買わないのか?」は愚問で(答えは、知らんがな1択)インサイトを掘り出すには生活者がその領域自体をどう捉えているかを掴むこと。そしてたった一人の視点から解像度を上げて、鮮烈な一点を発見すること。バリキャリが急に育児に入ると閉塞感を感じる。その「ちまちまインサイト」が基点になる
参考:顧客インサイトを発見する能力を高めるには? 味の素マーケター育成の取り組み

プロモーション

PickUP⑲:「気づいてくれる人がいる、という幸せ」を拾う

ちょっと頑張った自分を祝福するご褒美消費は割と定着したが、それに気がつける距離感の誰かに祝福されると喜びも増幅する。よなよなエールの「隠れ節目祝いセット」は卒乳などの個人的な節目にお祝いが贈れる。そもそも酒はコミュニケーションツールだが、モノを起点に豊かな会話が生まれる仕組みだ。
参考:卒乳お祝いで「よなよなエール」 ヤッホーブルーイング、24年度事業方針

▶このNEWSを基に作成した記事はコチラ➡編集部が思わず取り上げたくなるアイテム。メディアインサイト埋め込み型のプロダクト開発とは

PickUP⑳:CXついでにシズる素材開発

CXは現場での体験価値という視点だけではなく、平面クリエイティブのエモい素材開発に活用するという方法もある。帝京大学は学生にフィルムカメラを300個配って「リアルな日常風景」を集めてコラージュした。まずインナーで盛り上げつつ素材を作り、シズル感ある表現でアウターに訴求するという方法。
参考:フォトグラファーは大学生?在学生視点で帝京大学の魅力を伝える「#帝京生のリアル」

PickUP㉑:機会食を日常食に

イベントごとに連動した商品は定期的な需要は確保できるが、日常の需要が落ちる。パーティーでシェアするための機会食だったピザを個食需要に合わせて普段食向けにチューニングしたのが「マイドミノ」。平日のひとりランチだけどサクッとピザ食べたい、を叶える提案。帰り道のショート花見にもよさそう
参考:“ひとりで食べるピザ”発売1年で400万食突破「マイドミノ」がヒットした理由

メディア

PickUP㉒:三振かホームランか、というディレクション

同じメディアでも享受するチャネルによって受け止め方は変わる。チャネルごとにリスペクトを持って、文脈に合わせて作り方を変えていく必要がある。佐久間宣行氏はプロとして使い分けがすごい。また、あちこちオードリーの「ハズレもあるけど大当たりもある番組」というディレクションも意志が明確。
参考:ヒットメーカー・佐久間宣行の発想法


広報・PR

PickUP㉓:トレンド×ギミックで広告無しのプロモーション

トレンドの太い線を押さえつつ、メディアが取り上げざるを得ないわかりやすいギミックを組み込むと広告無しで売れる。領域特化メディアと組めばさらに確実性が上がる。たとえばリバースが運営する移動型サウナバス「サバス」。サウナ検索サイト「サウナイキタイ」と開発から連携している。
参考:自走するサウナで集客支援 路線バスを改造した移動型サービスを展開、リバース

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PickUP㉔:ニコラ・テスラ VS エジソンのPR戦争

プロパガンダによるPR情報戦は何も現代に限った話ではなく、140年前から行われていた。電流戦争においてエジソン率いるGEは直流を、ニコラ・テスラのWHは交流で対抗。電気椅子にも使われる交流の怖さを訴えるため「死刑=ウェスティングハウスする」といった慣用表現をエジソンは広めようとしたとか。
参考:企業間競争にプロパガンダを持ち込んだ発明王、トーマス・エジソン

企画の幹は、言葉でつくる。

今回取り上げたような最新の広告・マーケ情報をアップデートしながら、現在様々な企業・ビジネスの支援を行っています。2021年に淡路島移住と同時に立ち上げたひとり会社ホイポイプロダクションズで、代理店サイドと事業部経験、また広告発想と編集視点を身につけた二刀流ライターとして腕を振るっています。単にコピーだけではなく、そもそもの問題点抽出や課題設定から戦略➡表現定着まで一気通貫で手さばきよく対応しますので、モヤモヤした案件があればお気軽にご相談を。マニフェストLPはコチラ▼


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