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1日20分の免疫学(3)免疫とは③

自然免疫について

本「獲得免疫と異なり、即戦力的な機構(自然免疫)がある」
大林「自然免疫は非特異的なんだよね、大まかにヤバいやつを判断して即応!」
本「リンパ球は、抗原レセプター自己非自己精密に区別する。でも、侵入してきた非自己に対応できるリンパ球は少なく、効率は低い。クローン増殖にも時間を要する」
大林「だから大まかに判断して即応できる自然免疫が必要になる……まぁ、進化過程としては、まず最初に、非自己を大まかにすぐに排除する自然免疫機構ができて、次に強力な獲得免疫の仕組みがつくられたんだよね」

自然免疫のレセプターについて

本「明らかな異物は精密な抗原レセプターを用いなくとも察知できる。食細胞である好中球とマクロファージは抗原レセプターを持たないので、リンパ球が作った抗体が標的に結合していない非自己だと認識できない
大林「おっ、そういう説明なの?つまり、リンパ球の作った抗体が結合していれば非自己=排除対象として認識(反応)するってことだよね」

本「非リンパ球でも、相手が自己とかなり異るものであれば反応できる。微生物に共通の物質(リポ多糖類や核酸など。病原体関連分子パターンPAMPS)に対するレセプター(パターン認識レセブターPRR)をもっているからね。このレセプターは、好酸球・好塩基球・マスト細胞・上皮細胞などにも存在するよ」
大林「出た!PAMPSPRR!英単語のpathogen(病原体)さえ知ってればフルネーム覚えられるんだけど、長いよねぇ」
※pathogen-associated molecular patterns:病原体関連分子パターン
※pathogen recognition receptor:パターン認識受容体

本「マクロファージは、死細胞に表出される物質に対するレセプターももつので、老廃組織や異物をどんどん処理する」
大林「そうなんだ、死細胞を貪食するのは知ってたけど、それ専用のレセプターがあるのは知らなかった。スカベンジャーレセプターかな?」


※スカベンジャー受容体:変性LDL(low density lipoprotein, 低比重リポタンパク)をリガンドとする受容体ファミリーの総称.変性LDLだけでなくマクロファージによる異物貪食や老廃物処理も担っている.

本「PRRには、細胞表面だけでなく細胞内小胞細胞質に存在するものもある」
大林「細胞内に入り込んだ異物を察知するセンサーってことか」
本「ウイルス核酸には、小胞や細胞質のレセプターで反応する」
大林「ウイルスは細胞内に入り込むもんね」

本「マクロファージ樹状細胞は、傷害を受けた細胞が発現するストレス蛋白や放出する尿酸・ATPに対して、細胞質のレセプターで反応し、炎症反応を起こすこともある」
大林「起こすこともある、というのは状況の諸条件によっては静観するってことだよね、Janeway’sで読んだぞ」

本「マクロファージや樹状細胞は、損傷細胞を察知することで、その処理や組織の修復の反応を起こしている」
大林「なるほど、炎症を起こすだけじゃないわけだ。マクロファージも樹状細胞も自然免疫の司令官ぽいなぁ」

本「損傷細胞から出る物質は、自分の細胞由来のもので、DAMPs(damaged cell or danger associated molecular patterns.危険関連分子パターン)という」
大林「DMAPSも多分Janeway’sに書かれてたけどちゃんとフルネーム見てなかったな……damaged cellも含まれてたんだ」

補体について

本「補体は通常、抗原と結合して分子構造が変化した抗体によって活性化される」
大林「通常じゃない場合があるってこと?」
本「菌や細胞表面のある種の物質によって直接活性化されることもある」
大林「直接活性化して、その標的の破壊やオプソニン効果を発揮できるってことか」

NK細胞について

本「老廃化細胞、腫瘍細胞、ウイルスの感染を受けた細胞などは、正常の細胞とは異った物質が表面に出ている。リンパ球にはストレスをうけた細胞が表出する物質などに対するレセプターを持ち、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞を破壊するものがある」
大林「NK(ナチュラルキラー)細胞だ!」
本「NK細胞には、MHC抗原十分に表出していない細胞(腫瘍細胞、ウイルス感染細胞など)に反応して活性化し、それらを破壊する性質がある」
大林「MHC抗原がしっかり出ているとNK細胞は抑制されるんだよね」

本「特定の糖脂質に反応するNKT細胞にも同様の働きがある」
大林「出たー!NKT細胞!早く詳しく知りたいなぁ」

本「補体も、変異細胞表面の物質によって活性化し、その細胞を破壊する場合がある」
大林「すごいな、補体も異常細胞を直接攻撃するのか……異常細胞に厳しい世界だぜェ」

自然リンパ球について

本「PAMPsやDAMPsに反応した細胞が産生するサイトカインの作用によって仕事を開始する自然リンパ球(ILC)もある」
大林「自然リンパ球についても、もっと詳しく知りたい…」

自然免疫の概略

本「特異的に反応する獲得免疫と異なり、食細胞やNK細胞、補体は、直ちに相手に作用できる。自然に備わっている非自己に対する抵抗性であるところから自然免疫 innateimmunity という。即効的ではあり、免疫学的特異性はなく(非特異免疫)、記憶も残されない
大林「その辺はばっちり学習済みだよ」

本「非特異免疫も、特異免疫が働くことによって助けられ増幅される。特異免疫であるT細胞の作るインターロイキンの作用で腫瘍細胞破壊作用を示すようになるリンパ球(LAK細胞)もある」
大林「特異免疫と非特異免疫はお互いに作用しあうんだよね。自然免疫は獲得免疫の発動も誘導する。LAK細胞についても詳しく知りたい…」
本「樹状細胞はどのような病原体物質に反応するかで、反応したT細胞をどのようなサイト力インを産生するT細胞分化させるかを決定し、病原体排除に合った反応を導くという指令役もしている」
大林「なにげに樹状細胞も重要な役割を担ってるんだよねぇ……ヘルパーT細胞は指揮官だし、樹状細胞はヘルパーT細胞の分化に対しての指令役だし、マクロファージも自然免疫の指令役みたいなところもあるし……指令役が多いな」

本「非特異免疫を中心とする自然抵抗性は、基本的な生体防衛機構。拙劣だが非自己の侵入にすぐ対応する。特異免疫発達した機構で精密で、自然免疫に引き続いて発動し、非自己を直接排除する場合もあるが、多くは非特異免疫を誘導し増強することで排除している」

今回はここまで!
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