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「自分のからだのことは自分で決める」

理想論としてはそうかもしれないけれど、でも、子どもが勝手に自分のからだのことを決めたら困る!???かも????

子どものからだの権利について、林間学校のお風呂に絡めて子どもたちに伝えた話を前回のnoteで書いたところ、「避妊する、しないも、中学生のときに自分で決めていい、というわけではないと思うので、もう少し、その権利の意味を知りたい」という内容のメールをいただきました。からだの権利について、今回は一緒に考えてみたいと思います。(メール主さんからは、記事化のご了承をいただいています。)前回の林間学校の記事はこちら↓。

自分のからだのことを自分で決める、とは、どういうことでしょうか。子どもが日常生活で「歯磨きはしない」「ご飯は食べずにお菓子だけ食べる」「夜は寝ない!」なんて決めたら、それを親も尊重すべきだ、ということ?

からだの権利として「自分で決める」というのはちょっと言葉をはしょっていまして、正確な表現は「正しい知識を得て、自分で判断する」です。なので、子どもが「歯磨きはしない」「ご飯は食べずにお菓子だけ食べる」「夜は寝ない!」などと主張してきた場合には、「歯磨きしたくないんだね」「ご飯よりお菓子が食べたいんだね」「夜は寝たくないんだね」と受け止めつつ、「歯をみがかないと虫歯になっちゃうよ」「お菓子だけだと栄養が足りなくて元気がなくなっちゃうよ」「夜寝ないと、明日辛くなっちゃうかもよ」など、なぜそうしなくてはいけないなかの根拠を伝えるのがいいのかな、と思います。

毎日いそがしいのに、こんな丁寧に対応できない!!という声が聞こえてくる気がします。その声にめっちゃ共感。(って、脳内で声がして共感もしちゃってますが) あわただしい日々の中、私たちアクロストンの二人だって正直なところ、毎回、こんな丁寧な対応してません。ただ、余裕があるときは、なるべく理由をたくさん伝えようと心がけています。そして、理由を伝えることができたら、自分をこっそりほめています。

子どもが小さいと理由を言っても理解できなくない?という声も聞こえてくる気が。たしかに、小さくてもある程度大きくなっても、また、そのお子さんの特性などでも、理解できない、ということは多々あります。そんなときは、正しいほうを親が選んで子どもの行動をを決めることは、保護者として必要なことだと思います。ただ、そのときも、子どもが決める権利を一時的に担っているだけ、という意識は持っていたいと思いますし、子どもの成長とともに、なるべくその権利を子どもに戻していきたいところです。

さて、冒頭の「避妊」について。こちらは、まず、ひとりの問題ではなく、パートナーと話し合うというのが大前提です。ふたりで、妊娠をしたいのかしたくないのかを、セックスの前に話し合う必要があります。セックスの際は、相手もセックスをしたいと思っているかどうかを言葉で確認しましょう、というのが性的同意ですが、全体的にふわっとセックスでの行為をまとめてしまうのではなく、さわられたくないところはあるか、途中でやめてほしかったら伝え合うこと、そして避妊や性感染症予防をどうするのかを話し合うところまでが、理想の性的同意です。ちなみに子どもが中・高生になったらこんなシートを渡すといいかな、と思っています。

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こちらは、アクロストンの書籍『思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!』(主婦の友社)の巻末についています。詳しくはこちら↓。

まずはこういったことを子どもに伝えること、それが子ども自身が『自分で決める』ための第一歩です。正しい知識を伝えることなく、子どもが決めてよいとすることは、権利を尊重していることにはなりません。

義務教育でセックスについて、性的同意について、性感染症予防・避妊について子どもたちに正しい知識を伝えないことは、権利の侵害といっていいと考えています。子どもが「自分のからだのことを自分で決められる」権利をちゃんと使えるように、教育の場で、全ての子どもたちに正しい知識を伝えてほしい。

しかし、なかなか学校での性教育はすすみません。わが子に伝えることで、その友達・恋人などにもじわじわと広がっていくことを期待して、家庭で伝えていくことも大切だと思います。

セックスについて話すと、子どもに「お母さん/お父さんも、セックスしてるの?」などときかれたらどうしよう、と思うかもしれません。その答えは、親が自分の気持ちに正直に答えればいいと思います。答えてもいいと思えば「してるよ」といえばいいし、答えなくない場合は、「性のことはとても個人的なことだから、お母さん/お父さんはこたえなくないな」と答えるのがおすすめです。

子どもの権利というもの自体を学校ではなかなか取り扱いませんが、自分のからだのことは自分で決める権利があること、大人はそのための知識や情報を提供する必要があり、子どもの権利を守る存在であることを、今回の授業のような機会があるたびに、子どもたちに伝えていきたいです。

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妻・夫。二人とも医師。子どもに必要な性の知識を楽しく・ポップで・まじめなコンテンツにしてお届けします。 https://acrosstone.jimdofree.com https://www.facebook.com/acrosstone インスタグラム:@acrosstone