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時代に寄り添いながら、新たな挑戦を続ける!桜尾蒸留所訪問記

皆様ごきげんよう!
有限会社エィコーンのスガでございます😊

今回は、広島県廿日市市(はつかいちし)にある桜尾蒸留所を訪問した模様をお届けしたいと思います!

はじまりはじまり~~


まず、廿日市ってどこ?という方に…
ここです。

©Google Map

広島市の南西に位置する廿日市市。厳島神社がシンボルの、日本三景の一つである安芸の宮島も遠くありません。(広電で20分弱+フェリーで10分)ご見学に行かれる方は併せてお参りに行くのも良いかと。私たちも、広島市のホテル→市内の桟橋からフェリー→宮島→桜尾蒸留所、というルートを辿りました。宮島見学の模様はまた別の記事でご紹介したいと思います。お楽しみに!


広電廿日市駅
この少し北にJR廿日市駅もあります。

さて、電車を降りて徒歩6~7分程度でしょうか。海辺に佇む白いウェアハウスが目に飛び込んできました。

映えますね~✨

さて、ここで、今回の旅のメンバーをご紹介したいと思います。
池袋でアロハウイスキーバーを営むデイビッド・ツジモト氏!
(以後デイビッド)

暖簾から顔を覗かせるおちゃめなデイビッド。

彼は日系ハワイ4世で、血筋は日本人ながら生まれも育ちもハワイ。2013年より日本に移住し、3年前にアロハウイスキーをオープンしました。英語ネイティブ、日本語は一部の単語と「酒」という漢字だけ知っている、そんな状態で、英語の苦手な方とも身振り手振りで意思疎通を図り、無限に友達を増やせる特殊能力を備えたコミュ力おばけです。良質なウイスキーと出会いたい方、ハワイのぬくもりと風を感じたい方は是非アロハウイスキーへ足をお運びください。

ちなみに今回のツアーの発案はデイビッドです。日ごろから彼と親交のあるスガは、

デイビッド「桜尾行くけど一緒に来る?」
スガ「うん行くー」

ってな具合でお誘いいただき、ホイホイついてきてしまいました。
そして、ちょうど良い写真はありませんが、弊社エィコーンの若頭、ツタ氏(以後セイシューさん)!

デイビッドとセイシューさんとスガの珍道中(宮島見学含む)は、別途ラフな記事に致しますので、アップしたら是非ご笑納ください。

さて、本題の桜尾蒸留所見学ですが…

先ほどのグーグルマップのスクショを見てお気づきになった方もいらっしゃるかと思いますが、桜尾蒸留所は

SAKURAO BREWERY & DISTILLERY(以後SAKURAO B&D)

という会社の一部です!

ブルワリーということはつまり…醸造もしているんですねぇ。
写真を撮り忘れましたが、酒蔵の壁には「清酒 一代」の文字が塗装されていました。

日本酒も造ってる?桜尾ってどんな商品ラインナップがあるの?

そうなんです…ウイスキー以外にも、ジン、日本酒、リキュール、焼酎、ノンアルコール飲料等、幅広く製造しておられます。なぜそうなったのか、少しこの会社の歴史を紐解いてみましょう。

創業は1918年。
日本酒用の醸造用アルコールを作るために、数社が出資してSAKURAO B&Dの母体となる会社ができました。
1920年にはウイスキーの製造免許を取得。
1958年にはウイスキー設備を増設したとのことです。

また、1963年には清酒の製造を開始。
そして1967年、当時、世界初の紙パック入り日本酒、『はこさけ一代』を発売しました。

なお、缶チューハイも、宝酒造に次いで二番目に発売を開始されたそうです。

ウイスキーに話を戻します。その後、1980年代までウイスキーを製造し、このポットスチルはその頃まで活躍していたそうです。

ミステリアスなポットスチル。ロマンを感じますね🥰

しかし、ウイスキー冬の時代が到来し、製造を一時休止。原酒も豊富にあり、オフィシャルのブレンデッド戸河内18年を発売したものの、当時は全く売れなかったそうです。

時は流れ、ウイスキーの輸出を開始。これを機に、桜尾蒸留所建設へと動き始めます。
経営者、製造責任者等、3名が本場スコットランドの多様な蒸留所に赴き、製造工程や経営面に関する学びを得、2017年にウイスキー製造を再開。

モルト&ジン用の蒸留器が設置されている施設と、左下にセイシューさん

そして会社創設100周年の2018年、広島の味を世界へ発信したい!という想いから、ジンの販売を開始しました。

なぜ、ジンが広島の味を世界に届けることになるのかというと、ジンの香味の主原料となるジュニパーベリーを含む、多くのボタニカルが広島で採取できるから。桜尾蒸留所は三種のジン(オリジナル、リミテッド、ハマゴウ)を製造していますが、特に、可愛らしいピンク色のボトルのリミテッドは、ボタニカル17種全てが広島県産。また、クールな水色のボトルのハマゴウは、広島県内の実に1/3を超えると言われる多様なボタニカルが採取できる大自然が残る、宮島をイメージしてつくられたそう。ハマゴウとは、宮島に自生する、紫色の小さな花を咲かせる植物。さわやかな香りで、昔からお香の原料として利用されてきたそうです。

ディスプレイされているボタニカルの一部

ジンの開発には2年ほどかかったとか。ロンドンドライジンの香味を分析し、地元の農家の方や林業に携わる方と接する中で、広島県産素材の加工技術を試行錯誤しながら確立させ、ようやく発売までたどり着いたとのことでした。

上の画像はボタニカルの一種、クロモジという樹木。地元の方はこのクロモジを細かくし、お湯をかけてレモンティーのような香りを楽しまれているそうです。枝を割ってみると、たしかに柑橘系の爽やかな香りが漂い、実に興味深い体験をさせていただきました。
(※今回は取材ということで特別に触らせて頂きましたが、普段は触ることができません。悪しからず💦)

ちなみに、ハマゴウの売上の一部は宮島に寄付されています。世界遺産として名高い宮島ですが、建物の老朽化もあり、寄付金はその修繕等に充てられているそう。

また、『ジュニパーベリーの森』という活動も行っていらっしゃいます。林業は体力的に大変な仕事ですが、携わる人がいなければ、山が荒れ、私達の生活にも悪影響を及ぼしかねない、大切な産業の一つ。ジュニパーベリーの森を地元の方と一緒につくっていくことで、桜尾ジンを通して、地元資源・環境を生かし、守る、素晴らしい活動です。

少し話が逸れてしまいましたが、SAKURAO B&Dは、時代の変化に応じて様々な酒類に注力してきた結果、豊かなラインナップが揃ったということですね。それも、地元に根付きつつ、メッセージを発信しながら、先進的であり続ける。めちゃかっこいい…

冒頭の説明だけで心を鷲掴みされたスガですが、この後もモルト、グレーン(グレーンも作ってらっしゃいますよ!!皆さん!!)の製造工程のご説明にも、更に心を奪われました。

ところで、桜尾蒸留所にはビジターセンターがあり、2000円で中の設備を見学させて頂けます。上記の説明も、モルトやグレーンの製造工程も、見学すると詳細に聞くことができます。そして、「せっかく来ていただいたお客様に、サプライズをとっておきたいので…」と、大変丁寧にご案内くださった、洋酒マーケティング部門の藤野様のお言葉もあり、ここからのご紹介はシークレット🤫を織り交ぜつつ、一問一答スタイルでお届けしたいと思います!

アーノルド・ホルスタイン社製のポットスチル。コラム式。
左が初留器で容量は5500L、右が再留器で容量は1500L。
銅製のスチルの外側、下の銀色の部分がジャケットになっており、それで加熱しているとのこと。

Q. ジンはどの蒸留器で蒸留している?
A. 再留器。ウイスキーとジン、それぞれ時期を分けてつくっている。
(※もちろん、交代する際は念入りに洗浄を行っている。)

Q. 麦芽はどのような種類を、どの地域から?
A. 海外産の麦芽と、一部国産を使用。大きく分けてノンピート麦芽と
ヘビリーピーテッド麦芽(50ppm)の二種類を利用している。

Q. 麦芽の粉砕具合は?
A. 品種やその時のロットによって変えるが、フラワーが多めになるように粉砕している。(ハスク(殻):グリッツ(殻と粉の中間):フラワー(粉))が2:7:1となるように粉砕するのが一般的だが、桜尾ではフラワーの割合は1より大きい。

ハスク・グリッツ・フラワーと、麦汁

Q. 発酵期間は?
A. 約3日間。
 
Q. なぜグレーンウイスキーの製造を?
A. 当社はブレンデッドウイスキーも販売しています。現在は海外から原酒を調達していますが、いずれは全て自社製造の原酒でまかないたいという想いから、製造を始めました。
 
Q. グレーンウイスキーの製造はいつから?
A. 2019年。
 
Q. グレーンウイスキーの原料には何を?
A. 麦芽と、国産大麦。
 
Q. グレーンの蒸留器はどのようなものを利用している?
A. 🤫(面白いです!!直接現地で御覧ください!!)
 
さて、ウェアハウスへと移動した我々は、あっと驚く🤫な仕掛けを見学し(面白いです!!本当に、直接現地で御覧ください!!!!)、呆けているのも束の間、藤野さんが「カスク、転がしたことありますか?」とお声がけくださり…

ウェアハウスマン、デイビッド。 私も転がさせてもらいましたが、約250kgあるバレルが、
片手でも簡単に転がせるほどでした。ダンネージすごい。

ここで一問一答を再開!

Q. 樽の管理方法についてお聞かせください。
A. モルトはダンネージ式、グレーンはパラタイズ式。分けている理由は🤫(直接現地でお尋ねください!!)

Q. 樽のバリエーションについてお聞かせください。
A. バーボンバレル、シェリー樽、ワイン樽、ミズナラ樽などなど…中には、かの有名な〇〇〇島の蒸留所のウイスキーが入っていた、ex-ほにゃららカスクも🤫

Q. ウイスキーのラインナップとして、『桜尾』と『戸河内』を出していらっしゃいますが、両者の違いについてお聞かせください。
A. 熟成環境の違いです。『桜尾』のウイスキーは、ここ、桜尾蒸留所のウェアハウスで熟成させています。海からの温かい潮風と、山から吹き下ろす冷たい風にさらされています。また、年間を通じた温度差も大きく、夏は35℃を超え、冬は雪も降る。エンジェルズシェアが高いです。一方、『戸河内』のウイスキーは、トンネルの中で熟成させています。夏は涼しく、冬は少し暖かいくらい。湿度も高いため、アルコールだけ少しずつ揮発しても、樽の中の液体の量自体はさほど減らない。どちらかというと『戸河内』の方が長期熟成に向くと思っています。

ここで、桜尾のウェアハウスで熟成した樽と、戸河内のトンネル内で熟成した樽の見た目の違いをご覧いただきましょう。

桜尾熟成の樽
戸河内熟成の樽。金属が錆びているのがわかりますでしょうか?
トンネル内の湿度が高く、金具が腐食するようです。

Q.クーパレッジはお持ちですか?
A. 今は漏れを直したり、補修ができる程度。今後は持ちたい。

さて、いかがでしたでしょうか?
一通り見学を終え、最後に、待ってました!テイスティングタイム!!

宮ノ鹿とは、桜尾蒸留所のマスコットキャラクター。翼の生えた天使の鹿です。この鹿に樽の中の原酒をシェアしているそうです!

何をテイスティングさせていただいたかは🤫

ちなみに、一番おいしいと思ったのは…🤫



本当に美味しかったです。楽しい時間でした。
ご丁寧にご対応頂き、本当にありがとうございました!!

最後に、このツアーでもらえるグラスとストラップをご紹介します。

ロゴ入りテイスティンググラス!
ストラップつきで便利!!

この記事をきっかけに、SAKURAO B&Dに一層興味を持って頂けたら大変光栄です!

それでは、次回はゆるい記事でお会い致しましょう。
タイトルは『アロハウイスキーのデイビッド・ツジモト氏と巡る、広島珍道中(仮)』

すらんじばー!