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理想のキッチン検討会・第3回座談会① お気に入りの家電

 理想のキッチン検討会は、寒くて狭いキッチンを替えよう、と阿古が物件探しを始めたところから始まりました。キッチンについて語りたいことがある、という料理家、料理回りの編集者の方々に集まってもらい、3回にわたってzoomでオンライン座談会を開き、阿古のユーチューブチャンネルで少しずつ公開しています。その一部を編集し、レポートをまとめました。
 今回は、最終回で自慢の調理家電、動線、そして日本のキッチンの近現代史について語り合っています。特に歴史のところは、『主婦の友』の歴史をまとめた『ニッポンの主婦 100年の食卓』を編集したコンさんのレポートが秀逸です。

 コンテンツはこちらです。まず、今回は1のレポートをご紹介します。
1.電鍋とホットクック、どちらが使いやすいか?
2.コンロは右か左か? 冷蔵庫の位置は?
3.かまどの台所からダイニングキッチンへ
4.『主婦の友』が紹介してきたキッチン
5.昭和50年代以降のキッチン
6.これからのキッチン

1.電鍋とホットクック、どちらが使いやすいか?

阿古: まず、キッチン探しに苦労した阿古の結果をご報告します。夏に物件探しを始め、一度は挫折しかけたのですが、秋になって物件の動きが活発になり、何とか納得のいく部屋を決めることができました。
 そのキッチンの写真がこちらです。高さが今のキッチンは80センチから85センチへと、私にとってちょうどいい高さになり、奥行きも10センチほど伸びて広くなりました。横幅も30センチほど広く収納力が高くなっています。3口ガスコンロで、奥の3口目もそれほど小さくないものです。左側がリビング、写真の手前にも入口があって廊下につながっています。廊下にも収納があるので、パントリーにして、半切り桶とかも置けそうだなと思っています。おかげで、どんなキッチンが使いやすさを考える、プロジェクトとしての賃貸転居ができるようになりました。

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 その辺はまた、ビフォーアフターも映像に撮ろうと思っています。今のキッチンと新しいキッチンの動画を後日ご紹介します。
 本題に移ります。まずは料理がおいしくなる、時短になるといった調理家電がありましたら、ご紹介ください。
有賀:うちのミングルは、複合家電みたいなものでもあります。ダイニングテーブルにIHコンロと食洗機が内蔵され、上に空気清浄機能がついた照明もつけています。
 流行の家電としては最近、大同電鍋を導入しました。いろいろな機能がある調理器とうたわれていますが、基本は蒸し器です。
 私はよく、「毎日の生活に蒸す調理法を入れると、すごくおいしくて楽に食べられます」と伝えているんですが、蒸し器はハードル高いと思われがちです。ところが電鍋は、スイッチを入れて加熱し水が蒸発すると電気が切れる、というプリミティブな機械で、タイマーも温度調節機能もない。デザインもレトロです。電鍋がはやるのは、こういう「ゆるさ」を皆が受け入れているからではないかと思います。
 大同電鍋で蒸すようになると、正直肉まんをレンジで温める気にはならないです。水蒸気が入るとしっとり仕上がるし、しっとりふんわりした食感が好きな日本人にすごく合っていると思うので、もっと使われるといいと思います。
阿古:昔は蒸し器が家庭にありましたよね。四角だったり丸だったり家庭によって違うんですけど。
綛谷:うちは四角でアルミ製だった。
有賀:うちもそれ! 茶碗蒸しを入れやすいんです。
阿古:茶碗蒸しは、昭和の家庭でデフォルトでしたものね。でも、今の若い人はそれを体験していない。簡易的な台だけの蒸し台も売っているので、蒸し器を持っていなくても鍋を蒸し器にして使えるんですが。
有賀:それだけだと情報として地味で、なかなか取り入れる気にならないでしょう。電鍋のスイッチを、ポンと入れるのがちょっと魔法みたいに見えるのかも。裏を返すとアバウトな機械なので、ある程度自分で判断しないとできないんですが、そのぐらいは自分でやる、という人にとってはすごく気軽だと思います。ホットクックとは対極にあります。
綛谷:では、私はホットクックをご紹介しますね。うちのホットクックは、一番初期型で普通のキッチンの扉に入らない大きさがつらかったのですが、今の機種はコンパクト化しています。蒸気もたくさん出るので、使うときにはテーブルの上に置いていています。かき混ぜてくれる機能がついているので、火の前に立っている時間が惜しいときは、これに食材を突っ込んでスイッチを入れれば調理できるのでラクです。
 煮込みより蒸し調理がラクだし早い。私は豆好きなので、たまに500グラムぐらい一気に蒸すんです。1時間ぐらいゆで機能で戻し、いったん水を捨てて蒸し機能にすると90分で、ホクホクに蒸しあがる。
有賀:豆専用の家電と考えると、値段が……。
綛谷:そう!5万円じゃ辛すぎる。
有賀:普通の鍋で調理するのと違って水分が蒸発しないので、水が減らない。シチューでもなんでも、最初の時点で味が決まっていないといけないんですよね。専用レシピがないものを一発で作るのは、私でも難しくて。
綛谷:難しい!たいてい2回目の挑戦があるもの。開けて、様子を見て、煮込みが足りないからもう1回とか。
有賀:1回では味が決めきれない。煮汁もおいしくないとダメじゃないですか。肉じゃがでも角煮でも、普通に煮詰めるだけでは足りないので、普通のレシピ本が使えないのが最大の難点かな。
綛谷:野菜から出る水分も、計算に入れていかないといけない。
有賀:電鍋もそういうところがあるんですが、もうちょっとカジュアルな使い方もできる。
綛谷:シャープの公式のレシピでいい、という人も。毎日分ぐらいは入っているので、十分使える。
阿古:すごく今っぽい調理家電ですね。昔の人は、「調味料どのぐらい入れるんですか」「適当よ」という人のほうが多かったと思うので、難しかったと思うんですが、今はきっちり測りたい人が多いから。
有賀:勝間和代さんがiPadを1台ずつ置いて、計算用に。ああいう理論的にものを考えられる人にはいいから、男性にはいいかもしれない。
綛谷:だから勝間さんがいいと言って、カツマーたちの間で大盛り上がり。
阿古:ホットクック以外にご自慢の家電はありますか?
広瀬:私も自慢する、というほどでもないですが、ちょっとあります。背面収納の棚の右側に置いているのが炊飯器、その横にあるのが精米機です。1合単位で分搗き米にもしてくれる。できたぬかは、ぬか床に足したりしていて。胚芽米、七分搗き米は、「栄養価は欲しいけれど、玄米を食べるのはちょっと」というときに便利です。
 電子レンジは20数年冷凍ご飯などの解凍にしか使っていないので、わが家ではほぼいらない気がします。オーブントースターも使っていたんですが、壊れた後は買い替えていません。魚焼きグリルで焼けますし、うちはガスオーブンがあるのでたくさん焼くときはそれでいい。
 バーミックスは、ポタージュスープが好きなので必需品。しまい込むと使わなくなるので出しっぱなしです。メーカーがそういう使い方を想定しているからこそ、台がついているんですよね。20年以上使って一度刃を取り替えました。あとは冷蔵庫ぐらいで、あまり調理家電を使っていません
阿古:電子レンジは、人によってずいぶん必要度が違う家電だと思うんです。ご飯温めしかしない人もいれば、調理まで全部やる人もいて。うちは、私が2回分炒め物を作って、2回目に電子レンジで温めなおすのと、ご飯を冬場温めるのがメインです。物件探しのときに「オーブンがある部屋だったら、電子レンジいらないよね」と夫に言ったら「いやいやいる」と返されました。彼はニンジンやジャガイモの下茹でをほぼ電子レンジでやっているんです。夫婦間でもこんなに違う。
コン:うちはキッチンが狭いから家電を買えない。ホットクックはすごく欲しいなと思いますし、バーミックスも。電子レンジはうちは温めだけだから、単機能の安いやつを買って、リビング側に置いています。
 家電ではないですが、最近仕事で出会ったガスボンベを使うホットプレートが、コードがないのですごく便利で。火力が安定しているし、質がいい。ちゃんと火加減ができる。アウトドアでパンを焼く仕事だったのですが、とてもおいしくできるのでとても便利でした。コードレスだからベランダでも焼ける。

阿古:皆さんありがとうございます。家電はいろいろ欲しい、ということとスペースとの戦いだと思うので、その辺の折り合いがつくものを厳選して皆さん入れていらっしゃる。あるいは家電をずらっと置けるような棚を作るか、という感じになっちゃいますね。

 とまあ、それぞれに自慢の家電をご紹介いただきました。

 次はキッチンの動線について語り合います。お楽しみに! 今回のレポート、動画はこちらです。

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